インティ 大差負けの初戦から快進撃 小さな牧場の夢乗せて
2019/2/13(水)
-:先生とこのオーナーさんとの出会いというのは、いつぐらいだったのですか?
野:開業した時からだから、一番最初から預けてもらっていますしね。
-:野村(彰彦)先生のところに入っていたオーナーさんですかね?
野:そうそう。藤岡(範士)先生とかも知り合いでしたたからね。
-:師匠である藤岡先生からの流れを受けてですか?
野:このキティというのは中竹君から紹介してもらった気がします。何か色んな縁ですね。
-:しかも、血統的に地味じゃないですか?ケイムホーム産駒で日本のダートのテッペンまで行くという?
野:地味ですね。今の流れだったら、余計にファンが大好きなユタカが乗って、オールドファンにとっては……。小牧場から出て、地味な血統で、ユタカが乗って。何でも盛り上がれば良いですね。
-:大したお母さんですね?初仔ですか?
野:はい。仔出しが悪くて、インティの下も腸炎を起こして死んじゃったしなぁ。その下は今年の明け1歳の牝馬で、やっと順調に来ています。
-:色んな人の思いを乗せて?
野:そうですね。ずっと繋がっているから。
-:フェブラリーSだけじゃなくて、今年のチャンピオンズCでも?
野:どっちかと言えば、チャンピオンズCの方が本当は戦いやすいんでしょうけどね。
-:実際に勝っているコースですしね?
野:マイルのこの距離はやってみないと分からないですね。みんな経験済みですけど、ウチは東京も使ったことがないですしね。
-:これまで東京で使ったことがなかったというのは、何かあったのですか?
野:いや、たまたまですね。時期的なもので、この馬のスケジュールに合わなかったということですね。何せまだ7回しか走っていないですからね。
武豊騎手の左隣が武田茂男オーナー
-:負けたのは新馬(初戦の3歳未勝利9着)だけですからね?
野:初戦は既走馬相手に負けただけですからね。
-:それだけ最初から能力を秘めていたんでしょうね?
野:秘めていたんでしょうね。それでも2~3走前の追い切りで小崎(騎手)を乗せたって「これで走るんですね……」と、反応とかももう一つでしたからね、ハハハ。
-:ということは、追い切りよりも全然レースの方が良いということですね?
野:それは良いんですけど、やっぱり緩いところがあるから、チップとかだと余計にちょっと動けないというか、どうしても滑るからね。繋が緩すぎて、ちょっと動けないから、余計ですね。
-:未勝利を使っていた頃に比べたら、特にトモの完成度が上がってきたということですか?
野:そうですね。やっぱり筋肉がちゃんと付くところに付いてきました。
-:関節なり筋なりが強化されたということですね?
野:そうそう。筋肉が付くと、やっぱりそれに伴って、腱とかがちゃんと強くなってくるからね。
-:支えられるようになるということですね。今はもうクモズレは大丈夫なのですか?
野:これで不良馬場とかになったら分からないですけど、昔ほどは全然ないですね。
-:クモズレする馬はすごくしますからね。
野:調教でも、東海Sの1週前は雪が降ったから、ウッドチップでユタカを乗せて追い切ったら、クモズレじゃないけど、結構繋を擦ってきて、痛がってしまって、まだ弱いところはあるんですけど、みんなでケアするのに大変だったんですよ。
-:調教中は擦れるのを防止するために何か特殊なことはやっているのですか?
野:やっていますね。やっているけど、凍ったりしてやっぱり馬場が悪くなったりした時に、今の時季は余計に……。
-:だから、地面の温度がなるべく高くなる後半にやりたいということですね。なるべくフカフカの時に?
野:そうですね。この馬は本当に大変ですからね。
-:お忙しい中ありがとうございました。
フェブラリーSへ最終追い切りを行うインティ
プロフィール
【野中 賢二】Kenji Nonaka
厩務員だった父の影響で10歳から乗馬を始める。昭和57年10月から藤岡範士厩舎に入り、厩務員から助手へと転身し、その後は厩舎を開業するまで所属。
藤岡範師を「父であり人生の師匠」と尊敬しており、番頭を任される中でタフネススター(カブトヤマ記念を勝利)などを育て上げた。2008年に厩舎を開業し、当時の雰囲気を自厩舎で継承しながら、カゼノコ、グリムといった活躍馬を輩出。馬に対して「生きてきたそれそのもの。本当に感謝しかない」と語る。