エアウィンザー 遂に目覚めた大器 G1参戦に賞金加算が命題の一戦へ
2019/3/3(日)
良血馬が一気の頂点獲りへ。母エアメサイア、兄エアスピネルという血統背景から注目を浴びデビューしたエアウィンザー。2戦目に重賞を制した全兄とは裏腹に、2勝目を挙げるまでに時間を要したが、じっくり育てられてきたことで昨年、ようやく素質が開花した。年明け初戦に選んだのは金鯱賞。これまでよりもグンとメンバーレベルは上がるが、目標とする大阪杯へ向けて、賞金加算だけでなく、G1級のメンバーに伍する力があることを示したいはずだ。
-:金鯱賞(G2)に出走するエアウィンザー(牡5、栗東・角居厩舎)なんですけど、前回のチャレンジCで重賞初制覇ということで、おめでとうございました。
上村典久調教助手:ありがとうございます。
-:それまでの重賞挑戦となると、共同通信杯(6着)で敗れて、今回で2度目の挑戦だったわけですが、4連勝で重賞を制覇したレースを振り返っていただけますか。
上:思っていた以上のパフォーマンスでしたね。使って段々パフォーマンスを上げてくる馬で、放牧から帰ってきて西宮S~カシオペアS~チャレンジCと3走したのですが、今までは1回使っては放牧、1回使っては放牧ということが多かったところ、初めて連続で使いましたから。2回目のカシオペアSの勝ち方がすごかったですし、馬も使う度に良くなっていったので、チャレンジCでも良い勝負はするだろうなと思っていたんですけどね。ただ、あそこまで完勝の強い勝ち方を出来るとはちょっとビックリしましたね。
▲現在、エアウィンザーとシャケトラを担当する上村典久助手
弟は先日、厩舎を開業した上村洋行調教師(元騎手)
-:3歳の時というのは、全兄(エアスピネル)と比べると。
上:前評判が高くて、能力もあったんですけど…。馬が緩かったですもんね。力がつききっていなかったのですが、その時から心肺機能はすごく高いということは分かっていました。追い切りでも楽に時計は出るのですが、結局それがレースに結び付かなかったですね。それで、気もちょっと散漫なところがあったので、追い切りでも嫌気を差したら、併走している馬を抜かないとか、手応えがあるのに抜かないなど、気性面もズルかったですね。オーナーにもその辺は分かってもらっていて「1回使ったら休ませようか」と言ってもらっていたようです。大事に、大事に使わせてもらっていて、やっぱりすごく良くなって一変したのは、むらさき賞の時ですよね。
-:寿ステークスが1月でいたから、そこから4カ月くらい空いた訳ですからね。
上:ウチの追い切りはCWで3頭併せをやるのですが、後ろから行って大体70-40くらいで来るのですが、それでもあの馬は(併せた馬と)一緒にしか走らないので…。
-:自分の限界まで走ることがないということですね。
上:それくらいからだいぶ体もシッカリしてきたので、一瞬で瞬発力を乗せていくような調教に切り替えたんですよね。坂路でも一杯追うんじゃなくて、鞍上がサインを出した時に動いて、いかせて待つみたいな、スッと動ける調教に切り替えてからですね。体もだいぶシッカリしてきたので、そういう調教も出来てきたと思うんですけどね。
-:それが、先ほど言われていた「ちょっと散漫なところを遊んでいても最後は集中してくれよ」ということですね。
上:そうですね。
-:その結果、レースに結び付いての連勝ということですね。
上:むらさき賞でも普通ならあそこからは届かないだろうというところから、最後まで頑張って走ってきたので、あの辺りから真面目に走っているなという感じでしたね。あの後も馬は良かったんですけど、馬を大事にして「もっと良くなるから」ということで、もう一遍放牧に出させてくれましたね。
-:体重に関しても、カシオペアSでは(西宮Sの)500キロから+8キロの508キロになりましたね。
上:触っていても、筋肉の付き方が一回りくらい大きくなっているような感じがしますもんね。
-:今回の金鯱賞ですが、今度は左回りに替わって、休み明けでのレースになります。帰厩されてからの調教の内容というのを教えていただけますか。
上:ベースとしては、今回は(休み明け)緒戦からG2ということもあるし、相手も強いので、追い切り以外は普段坂路での調整でしたが、中間はCWで1周回ってから坂路1本など、強めの負荷を掛けて、運動量を増やしていますね。今はそれくらい出来る体もあるので。
-:昨日(2月27日)の朝イチに(武)ユタカ騎手が跨って、CWコースで追い切りをされた訳ですけど、跨る時に何かお話をされていましたね。
上:ユタカさんは共同通信杯の追い切り以来だったので、「昔より馬は良くなっています。前よりトモもパンとして、指示を出した時にだいぶ自分からスッ動けるようになってきているので、そういうところを確かめて下さい」ということを伝えました。
-:実際の追い切りでも、エアウィンザーの1組前がダノンプレミアムなど中内田厩舎の追い切りだったんですけど、もう追い付きそうでしたね。
上:ユタカさんも上がってきて「いや~、馬が良くなっているし、全然違うよ」と言っていましたね。
▲1週前追い切りに武豊騎手が騎乗(写真右が上村助手)
-:それは、反応と集中して走れているところが違うということですね。
上:そうですね。最後の50mくらいで、ユタカさんがちょっとアクションを起こしただけでスッと抜けたので、動けるようになって、今までの調教が良い方に出てきていますね。
-:これまで3歳の時に物足りなかったトモの張りや、精神的に散漫なところというのはだいぶなくなったということですね。
上:解消しつつあると思うんですけどね。
-:金鯱賞ではどんな戦法が合いそうですか。
上:ユタカさんのようなトップジョッキーなので、ペースなんかも即座に判断してくれると思いますね。位置を取りに行っても、別に引っ掛かる訳でもないので、どんな競馬でも出来ると思うんですけどね。
-:あまりスンナリした流れよりも、4コーナーでちょっとゴチャゴチャする方が、もしかしたら闘志に火が点くかもしれないですね。
上:良いかもしれないですね。終いは絶対に来てくれるので、これまでのどんな競馬でも、どんな競馬場でも上がりは絶対に上位3番までくらいの走りはするので。
-:逃げ切られたようなレースを差していますからね。ということは、馬場も良いに越したことはないですね。
上:馬場はいい方がいいですね。
-:お兄ちゃんのエアスピネルなんかは、どちらかと言ったら、馬場が悪いのは上手いタイプだと思うんですけど、その辺は全弟でもちょっと違うのですか。
上:そこまで悪いところでやったことがないんですけど、それでもパワーはあると思うんですよね。丸っきり無理かどうかは、やってみないと分からないですけどね。
-:ちょっと心配があるとすれば、休み明けよりも使って良いタイプというところですか。
上:それはいえますね。