コントラチェックの適性&作戦は? ノーザンF天栄・木実谷場長を直撃!
2019/5/15(水)
2019年の春もノーザンファームの関東馬が旋風を巻き起こしている。桜花賞をグランアレグリアで勝ち、ヴィクトリアマイルはノームコアが制覇。オークスにはコントラチェックを送り込む。3勝はすべて先手を取って直線で後続を引き離す圧巻の内容。桜花賞には出走せず、樫の舞台に照準を合わせてきた。抜群のスピードを示した良血馬の距離適性は……?昨年のアーモンドアイに続く連覇へ向け、ノーザンファーム天栄・木実谷雄太場長に手応えを聞いた。(取材、構成=競馬ラボ・狩野)
-:オークス(G1)に出走するコントラチェック(牝3、美浦・藤沢和厩舎)についてお伺いします。前走のフラワーカップ(G3、中山1800m)は速めのペースで逃げて後続を突き放す強い内容でした。
木実谷雄太場長:二の脚が速くてすぐ先手を取れる馬ですし、持ち味のスピードを発揮することができました。これまでのパフォーマンスを見ても、スピードの持続力はかなりいいものを持っていると思います。
-:桜花賞へは向かわず、オークスを目指すローテーションは決まっていたのですか?
木:フラワーCを使って桜花賞となると中2週になってしまうので、日程的なことを踏まえてローテーションは考えていました。距離とか輸送という問題ではありません。
ヴィクトリアマイルの表彰式。左端が木実谷場長
-:前走後の調整はいかがですか?
木:レース後はノーザンファーム天栄に戻ってきて、疲れを取りながら状態を見つつ、すぐに運動を始めて坂路とコースで乗り込んでいきました。1カ月ほど滞在して、4月24日に美浦トレセンに帰厩しました。
-:逃げたレースは3戦全勝で、逃げていないレースは2度とも負けています。やはり逃げる形がベストでしょうか?
木:現状は自分のリズムで走ることが大事です。たまたま逃げる形で結果が出ていますが、控えても競馬はできると思います。負けたレースは2回とも内に閉じ込められて、少し追い出しを待つような形になってしまいました。例えば、外めからスムーズに追走できていれば違ったでしょう。
-:速めのペースで逃げても止まらないスピードの持ち主ですが、2400mの距離に不安はないですか?
木:逃げても止まらないというか、先頭から差しているようなイメージですね。オークスは距離を経験していない馬の集まりですし、この馬に関してもやってみないとわかりません。当日の馬場状態もありますからね。
重賞初挑戦のフラワーCも逃げて快勝
-:札幌や中山といった直線の短いコースで勝っている馬で、東京コースも初めてです。これまでより相手も一気に強くなりますが、手応えはいかがでしょう。
木:スンナリ自分のペースで行ければ、コースは問題ないと思います。やはり相手が強くなれば自分の競馬をさせてもらえない可能性が高くなります。他に前へ行きたい馬もいるでしょうし、自分のリズムで走れるかが鍵になります。
-:血統的なところでは、お姉さんのバウンスシャッセはオークスでも好走しました。牡馬はムーンクエイクなど短めの距離を走った馬が多く、4頭すべて去勢しています。やはり気性的な難しさはあるのでしょうか?
木:この馬も気性的な部分は注意して進めています。現状、自分のリズムで走れなかった時に結果が出ていないのは、気性の面が関係しているとも考えられます。ただ、この血統にしてはスタートダッシュも速いですし、その点では今まで携わったきょうだいとは違う点と言えます。
-:前走に続いて、予定していたルメール騎手が騎乗停止で急きょ乗り替わり。今回はレーン騎手とコンビを組むことが発表されました。どのような展開が理想ですか?
木:オーストラリアの上位ジョッキーで、すでに日本でも結果を出していますからね。事前に映像を確認して長所を把握してくれれば、しっかり力を発揮させてくれると思っています。これまではたまたま逃げる形になっていますが、オーバーペースにならず、自分のリズムで走って脚を溜められれば弾けるイメージを持っています。
1週前追い切りを行うコントラチェック
木:グランアレグリアと一緒に去年の3月末に入厩して、こちらは体質的にまだ弱い部分がありました。最初に見たときはここまでのパフォーマンスをするとはイメージしていなかったですが、着実に成長してくれていますね。まだ一線級とは戦っていないですし、今回が試金石のレースになると思っています。
-:昨年のアーモンドアイに続く連覇がかかります。
木:そうですね。でも、今年は今年です。毎年出るからには勝ちたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
プロフィール
【木實谷 雄太】Yuta Kimiya
1980年8月5日生まれ。東京都出身。国学院久我山高から東京農工大へ進学し、馬術部に所属。卒業後の2003年からノーザンファーム空港で勤務し、同12月から山元トレーニングセンターへ。2011年10月からノーザンファーム天栄に移り、2015年から場長を務める。趣味は野球観戦で、東北楽天ゴールデンイーグルスの大ファン。