レッドジェニアル 末脚は常に上位 敗戦糧にタイトル掴んだ人馬
2019/5/20(月)
-:タイプとしては、流れとしてはどういう流れが理想的でしょうか。
酒:ある程度流れて、変にタイトに詰まる競馬になるよりも、ちょっと流れてくれている方が良いですね。あまり馬群が密集するよりは…。でも、京都新聞杯もすごく色々な部分をクリアしてくれましたし、思っていた以上にしっかりとした競馬をしてくれたなと。競馬は負けて良いことはないですけど、負けて得るものは一杯あったなと思っていますね。それが、上手く今回に噛み合ったというか、信じて乗って良かったなと思いましたね。
-:肉体面で、ここが良くなった方が良いというところはあるのですか。
酒:まだ伸びしろが大きいですね。最後の直線でやっぱり内にモタれる部分というのはあるのですが、京都新聞杯の時の方がまだマシだったので。(未勝利を)勝った時もグッと内にモタれるような格好をしていたのですが、前走もそうだったのかな。京都新聞杯の時がマシだったから、それだけ体もちょっとずつ実になってきているのだろうし、もう一つ真っ直ぐ走れるようになればという部分はあります。今のところ、ダービーはすぐそこなので、大事なのはメンタル的な部分で、何とかテンションをせめて前走くらいで臨めればと思いますけどね。
▲坂路で1週前追い切りを行うレッドジェニアル
-:今回に関しては、輸送やローテーションが課題となるのでしょうが、馬体重もデビュー時より、減ったままですよね。
酒:そうですね。でも、前回でも結果は出ているのでね。ただ、ダービーに関しては、ダービーの乗り方がまだピンと来ないというか…。菊花賞ならイメージはしやすいんですよね。
-:それは、(トーホウジャッカルで)菊花賞を勝っていらっしゃるからではないですか。
酒:勝ったからというよりも…。やっぱりこれで正解だったのかなと、勝ったから思いますけど、今までの菊花賞をずっと見てきて、菊花賞で勝とうと思ったら、こんな乗り方がベストなのかなというイメージは作っていましたし、それでしっかりと勝てましたしね。
-:あと10日間くらい、イメージを膨らませてということですね。
酒:そうですね。ジェニアルの脚質や性格を考えて、それを前提に置きながら、今までのどういう競馬がダービーの勝ち方なのか考えたいです。本当に想像が付かないですよね。どの乗り方が一番勝ちに繋がっているのか、ダービーはそういう法則がない気がするんですよね。
-:たとえば去年と一昨年で、展開は全然違いましたからね。
酒:そうなんですよね。
-:そんなダービーは、今年はCコース替わりになりますが。
酒:先週の時計はとても速かったですし、馬場状態もどう影響してくるのかも、気になるところではありますけどね。パワーがいるようなドボドボ馬場になるくらいだったら、速い馬場の方が良いでしょうけど、速すぎてもどうかな…と思います。
-:枠は選びますか。
酒:あまり内目はどうなんだろうとは思いますよね。ただ、18頭出てきて、ピンク帽やオレンジ帽で上手くいけば良いのですが、そう簡単ではないですよね。正直、京都新聞杯もまた外(12番)かと思ったんですよ。上手いこと外に壁が作れたから良かったんですけどね。枠で言えば、帽色として6、7枠くらいが良いのかなぁ。外にいる馬が前に行く馬なのか、同じようなポジション取りの馬なのかによって色々ありますし、自分だけじゃないからね。
-:特別なレースだと思いますので、酒井さんなりの思い入れはありますか。
酒:ダービーはやっぱり1年で一番乗りたいレースだと思いますし、初めてダービーに乗った時(2014年スズカデヴィアス)の感覚…本当に毎年、乗りたいレースだなと思いましたしね。今回ようやく3回目のチャンスをいただいて、あの日、ダービーに乗るジョッキーとして、昼間のイベントから参加出来るというのは、本当にワクワクするというか、だからもう2週くらいあって欲しいです(笑)。そのワクワク感をもっと楽しみたいなという、終わったら終わったで、寂しくなるはずです…。
-:待っている最中の方が楽しかったりしますからね。
酒:ただ、早く来て欲しいともありますね。こんなことを考えていたらダメなのですが、騎乗停止になって乗れなくなったらどうしようとか、ダービーだからこそメッチャ思いますね。とりあえずダービーまでは無事に。自分は騎乗停止、ケガもなく、無事に行ってくれ、馬も順調に行ってくれ、という思いは一層強くなりますよね。トライアルではないですけど、前哨戦を勝って臨めるというパターンは今回が初めてなので。
-:改めて、レースに向けて意気込みをお願い出来ますか。
酒:この間、クラブの会長さんともお話をさせていただいて、「まずは楽しんで来てほしい」という言葉をいただきました。変に緊張するというよりも、ダービーという雰囲気をしっかりと肌に感じて、楽しみたいです。京都新聞杯の時くらいに馬を信じて、ドッシリと乗れれば良いのかなと思いますね。本当に良い時に乗せてもらって来ているので、何とか納得出来る競馬が出来ればなと。それで、結果が付いてきてくれると思うので。
レースが終わった後に、自分自身も納得がいって、見ている関係者の方からも頑張ったなと言ってもらえるような競馬をすれば、と。もちろん一番欲しいのはテッペンですけど、勝とう、勝とうという変な意気込みよりも、楽しんでやろうというくらいの感じですね。それで、勝てるレースではないと言われちゃうかもしれないけど、とにかく今は楽しみしかないですね。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【酒井 学】Manabu Sakai
1998年に二分久男厩舎所属からデビュー。池添謙一、太宰啓介、白浜雄造、中谷雄太騎手らと同期にあたる。
デビューイヤーこそ25勝を挙げたが、その後、勝鞍が減少。7年連続で年間の勝ち星がひと桁に留まった時期も経験。しかし、所属した西園正都厩舎や、「ニホンピロ」の冠名で知られる小林百太郎オーナーのバックアップもあり、勝ち星を伸ばすと、2012年はニホンピロアワーズとのコンビで涙の初G1初制覇。西園厩舎のハクサンムーンで京阪杯を制し、恩人であるオーナー・師匠に報いたことはファンの感動を誘った。2014年にはトーホウジャッカルで菊花賞を制してクラシックジョッキーの仲間入りも果たしている。
父は現在では廃止となった公営・新潟競馬の厩務員、兄は川崎競馬の酒井忍騎手。