シゲルピンクダイヤ オークス惨敗の敗因とは? 秋はコース追いを解禁へ
2019/9/13(金)
G1・2着馬が待望の2勝目となるか。2歳未勝利勝ち以降に繋靭帯炎を患いながらも、チューリップ賞、桜花賞と人気以上のパフォーマンスをみせてきたシゲルピンクダイヤ。しかし、前走のオークスでは初めての環境、条件に戸惑ったか、見せ場なく終わってしまった。不安視されていた気性面なのか、それとも距離?前走の敗因と秋初戦への見通しを陣営に訪ねた。
(取材=競馬ラボ小野田)
-:ローズステークス(G2)で秋の始動戦を迎えるシゲルピンクダイヤ(牝3、栗東・渡辺厩舎)ですが、まずは渡辺先生からお聞かせください。個人的には、レース後にも何度かお話は伺っていましたが、改めてオークス(12着の)の敗因をどう捉えていますか?
▲渡辺調教師(左)とシゲルピンクダイヤを担当の上浜調教助手
渡辺薫彦調教師:敗因として、一番はゲートで出遅れてしまったことですね。ゲートを入るのに手ごずって、自分で自分の脚を蹴っちゃたんですよ。それがけっこう長引いて、今も痕が残っている程。出血も酷かったですからね。治療をするにも長い時間が掛かってしまい、オークスから2~3週間在厩させて、治療をしていたんですけどね。獣医さんも「蹴ったことで(レース結果に)影響はあったと思います」という話をしてくれました。
-:いくら距離が長かったとしても、持ち味の末脚が使えなかったあたり、痺れもあったのではないかと、僕はレース後に感じました。
渡:そう思いますけどね。ゲートで手こずって、イレ込んじゃったというのもありますし、正直、スタート前に終わっちゃっていた感じはありますね。
-:ただ、スタート前までは、レース前におっしゃっていたみたいに、担当の厩務員さんが途中までパドックでひいて、待機所で早めに待機させておいて、なるべく精神面のケアに務められていましたね。
渡:そこまでは上手くいったのですけどね。あそこまでゲートを渋るとは思っていなかったので、今回はゲート練習もビッシリやりながら、乗っています。
-:傷が癒えた後の過ごし方はどうでしたか。
渡:北海道へ放牧に出させてもらって、1カ月前くらいに戻して、乗っていますけどね。やっぱりリフレッシュ感はすごくありますね。オークス前までは張り詰めている感じがあったので、ピリピリ感は随分マシにはなっていますね。
-:春は馬房を見させてもらっても、けっこう気の張っているところがありましたからね。
渡:そうですね。まあ、ちょっとやっていく内に、また戻ってくるとは思うんですけどね。
-:あれはあれで闘争心に繋がっている部分もあるということですね。
渡:そうですね。気の強さが良い方に出ていると思っているんですけどね。
-:肉体面ではいかがでしょうか。
渡:ちょっとフックラしていて、体重も+10キロくらいで出られれば良いなと思っていますけどね。
-:ローズSの外回りという舞台は合うのかなと思います。
渡:そう思いますよ。小回りでゴチャゴチャするよりは良いとは思いますけどね。
-:ただ、馬群を割って出てこられる馬でもありますよね。改めて距離はどう感じられていますか。
渡:前回で一概に決めつけるのは…と思いますし、1800くらいまでは持ってくれるのかなという希望はありますね。
-:あの時は一気の距離延長やパドックで崩れたと思いますけど、馬具に関しては何か。
渡:前回と同じ感じで行こうと思っていますけどね。
-:期待大ですね。
渡:ええ、そう思ってもらえれば。
-:担当の上浜助手にも伺います。秋に向けて帰ってきて率直な印象はいかがですか?
上浜智幸調教助手:順調に夏を過ごしてくれたと思います。気性も少しリフレッシュできたみたいで、調教もまずまずスムーズ感はあります。脚元の状態もとても良いので、山(坂路)ばっかりだったんですけど、「馬場(CWコース)に入れて追い切りをしようか」と言っているくらい状態が良いですね。
-:ケガをした後はそういう調教は出来なかった訳ですよね。
上:そうですね。靱帯を腫らすような馬だったけど、本当に落ち着いてくれているので、良いところがあるんじゃないかなと思っているんですけどね。
▲休養によるリフレッシュ効果を口にする上浜助手
-:オークスは残念ながら、力を出しきれませんでした。
上:テンションも途中まで落ち着いていたんですけど、競馬前になって一気に硬くなるくらい急にテンションが上がっちゃったので、それもあるのかなと。すごく上手に競馬をしてくれたんですけどね。ゲートに行くまではかなり落ち着いていたので、和田(竜二)さんも「今回は良い感じやなぁ」と言っていたほど。やっぱりファンファーレが鳴る前くらいには、雰囲気がいつものこの馬になってきたな、という感じだったんですけどね。
-:ゲートに向かう際も馬の隊列から敢えて外して歩いていましたね。
上:そうですね。いつも通りではあるんですけどね。テンションが上がってしまうと、他の馬を蹴ってしまう可能性もあったので、僕もそれは嫌ですから、少し輪から離して。馬が近くにいるとダメという訳ではないですけど、何かあったら申し訳ないからというのが一番ですね。毎回競馬に行く度に、あまり近付けないようにするけど、普段は全くそういうことはないので、競馬やあれだけの観衆がいる雰囲気になると、そうなるんですよね。
-:先生にも伺いましたが、脚を蹴ってしまったことで痺れや痛みもあったのではないかと思います。
上:もしかしたらあったのかもしれないですね。その点もスッカリというか、気にしないくらいの感じなので。場所は右トモの球節の左側ですね。走っていて気にする感じは全然ないですし、嫌がるとか触らせないとか、そんなことも全然ないので、思っていたよりも不幸中の幸いといいますか、そういう感じはするんですけどね。
▲春とは異なり、怪我前同様にコース調教も解禁できている
-:ただ、オークスも終わってみれば、ハイレベルな争いだったと思います。その中で力を出しきれなかったので、今回はどうなるか。
上:時計も速かったですね。結果論を言ってしまえば、長距離輸送の影響もあったかもしれないですし、今回はローズSなので、無事使えたら関西なので、その心配はないので。当日のテンションやどれだけ落ち着いてゲートに入れてあげられるか、というところですね。練習にも行ったりして、色々と考えたりしているんですけど、練習と本番は多々違う所はあるので、そこですよね。基本的には大人しいし、扱いやすいのは扱いやすいですよ。エサもよく食べてくれるし、けっこうたくさんあげているんですけど、それでも全部食べてくれているので、牝馬の割にはやっぱり歩様もシッカリしていますよね。前回は454キロだったから、なるべく最低+10で、もうちょっと…470くらいでの競馬を目指しているんですけどね。
-:桜花賞の時も「減らしたくない」ということでしたけど、許容範囲には収まった訳ですね。
上:あの時は許容範囲に収まって、なるべく増やしていきたいと思って、カイバをシッカリ食べさせて、それに応えてはくれているので。
-:体的に大きな数字の変化はないと思いますけど、見て感じられる部分というのは。
上:この馬は元々良いシルエットなのですけど、追い切りが増えてきて、お尻などがワッと張ってきたりするので。桜花賞の時が本当に良かったので、ああいう感じですよね。実際に目標は秋華賞なので、今回、叩いてもっと良くなってくれることを期待しながら、という調整にはなると思いますね。これで3着以内に来ないとダメとか、そこまで置き込まれている状況ではないから、とりあえず1回使って、間違いなく良くなってくれると思うので。
-:フォームは綺麗な方ですよね。
上:たとえは悪いですけど、乗ってくれている人は「未勝利馬や他の馬と比べると跳びが全然大きくて、速いところに行っている感じがしない」と言っているので、フットワークは綺麗みたいですね。帰厩後は先生の弟が乗ってくれているんですけど、やっぱり絶賛はしてくれていますよね。この馬はジョッキーを変に乗せない方が良いと思いますね。馬の気持ちがちょっと入り過ぎちゃうので。
-:この夏、上浜さんは函館におられましたけど、秋が楽しみだったんじゃないですか。
上:そうですね。やっぱり関東の牧場時代の後輩とか、知っている人に僕が「この馬をやっている」と言ったら、けっこうビックリしていたので。そういう反応はなかなか嬉しいですし、また頑張らないとなみたいな気持ちにはなりますね。まだ1勝馬ですからね(笑)。
-:ローズSの条件はかなり合うと思うのですが。
上:1800の距離ですね。乗り手に乗っている感触を聞くと「距離は絶対に持つ」と言っているのですが、(テンションが)上がり過ぎて、やっぱり距離が持たないということも競馬にはあるので。こちらも掴み切れていないところもありますし、どうしてもマイルで結果が出ているも事実。でも、1800は良いと思います。僕は正直2000でも持つと思っているんですけど、結果的に着順を見たら、2400は持たなかったなと言われてもしょうがいないですからね。
-:それを証明する感じですね。
上:そうですね。証明したいですね。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【渡辺 薫彦】Kunihiko Watanabe
1994年に幸英明、吉田豊騎手らと同期として騎手デビュー。師匠である沖芳夫調教師とは非常に強い絆で結ばれ、騎手を引退する2012年まで沖厩舎所属としてジョッキー人生を貫き通した。1999年のきさらぎ賞をナリタトップロードで勝って重賞初制覇。皐月賞3着、ダービー2着と春のクラシックはあと一歩で涙を呑んだが、菊花賞で悲願のG1初制覇。競馬史に残る名コンビとしてその名を刻んでいる。騎手引退後は沖厩舎で調教助手を務め、2015年に調教師へ転身。2016年3月に厩舎を開業して初年度は12勝。2019年のシンザン記念を制し、重賞初勝利を決めた。