【秋華賞】クロノジェネシス 実は乗りやすい優等生 最後の1冠で決める
2019/10/6(日)
悲願のG1タイトルへ。デビューから世代トップクラスと評されるも、阪神JF2着、桜花賞、オークスはともに3着と、あと一歩で涙を飲んできたクロノジェネシス。秋はトライアルを挟まず、この秋華賞本番から始動。ひと夏を越しての成長、そしてタイトル奪取への手応えを陣営に語ってもらった。
心身ともに大きく成長
-:クロノジェネシス(牝3、栗東・斉藤崇厩舎)ですが、秋華賞はオークスから直行となります。夏場の成長がどれぐらいあったのか、ファンは気になる所です。
和田保長調教助手:夏は北海道のノーザンファームに放牧に出ていて、向こうでは500kgぐらいになっていて、9月の頭ぐらいに直接栗東に戻ったら468kgでした。
-:だいぶ減りましたね。輸送で30kgぐらい減ってしまったのでしょうか?
和:元々1日の中でも10kgぐらいの増減はあるんですけどね。春に比べると大分成長してくれました。
▲北村友騎手を背にした2日の1週前追い切り
-:体高が高くなったとか、筋肉量が増えたとか、見た目の変化はどうでしょう。
和:牧場でそれだけ増えていたということは、体高は多分高くなっているのでしょうね。栗東に帰ってきた時は筋肉がちょっと緩んでいるというように感じられたので、乗り込んでいく内に、徐々に付く所に筋肉が付いてきたかなという感じですね。
-:その増えた筋肉、体格などの他に、見た目以外で春から成長して点はありますか?
和:精神的にちょっと落ち着いてきたかなという感じはしています。テンションがカッと上がりやすい所があるんですけど、いい休養ができた様子で、その分リラックスしていますね。
-:桜花賞、オークスと3着、3着。オークスは先行策でしたが、今回はどういう競馬になりそうですか。
和:枠順によって、多分変わってくると思います。僕は乗りやすい馬だと思うので、上手く直線で外に出せれば、内枠でも外枠でも関係ないと思うんです。内回りなので、あまり外を回るのも良くないですよね。強い馬だったら勝つのでしょうけれど、その辺は先生とジョッキーで決めると思います。
-:先週、今週と併せ馬で追い切りをされて、馬の動きはいかがでしたか?
和:追い切りは結構シッカリやりましたね。「今週ある程度シッカリやって、仕上げる感じで」という先生の指示だったので、その指示通りに北村友一ジョッキーがシッカリやってくれました。併走馬のミレニアムクロス(2歳未勝利)は最近すごく動くようになってきていますし、あの馬も血統馬で走りますから。この追い切りで負荷が掛かって、これからレースに向けて、また一段階上げていけるようにしたいですね。
-:デビュー前からある程度評判にはなっていたと思いますが、和田さんがここまで走るなと思ったのはいつ頃からですか。
和:最初の追い切りの時ですかね。指示を出してストライドを伸ばした時に、長く良い脚を使ったんですよ。最初はビューンと伸びて行ってスッとなるんですけど、クロノジェネシスは加速してからスピードが落ちなかったんです。
-:かなり驚かれましたか?
和:そうですね。あまり乗ったことがないような感じでしたね。
-:クイーンCでの能力を見れば、G1をそろそろ勝って良い順番かなという気もします。
和:G1なので相手も強いですよ。ダノンファンタジーも強いですし、他にも強い馬がいますからね。もちろんチャンスとは思っていますけどね。
武器は世代屈指の決め手
-:クロノジェネシスは「ちょっとテンションが上がりやすい」という話でしたけど、普段気を付けていることはありますか?
和:なるべく馬が緊張しないように、背中を硬くしないように、そこは気にして乗っています。
-:競馬場に着いてから、装鞍所からパドックと徐々にスイッチが入ってくるのでしょうか。
和:そうですね。パドックでは少しチャカチャカするタイプです。1人で曳けないこともないんですけど、2人で曳いた方が歩きやすいみたいなので、一応春の桜花賞とオークスは2人曳きでやりました。今回は直前の雰囲気を見ながら決めると思います。
-:パドックでチャカチャカすることはいつも通りと見ていいのでしょうか。
和:そうですね。でも返し馬で走り出したら、結構落ち着いくれているので、レースで引っ掛かるとかはないですよ。
-:普段パドックではメンコを二重にしているのですか?
和:していないです。いつもゲート裏で取っているんです。レースはメンコなしで特に問題ないですよ。追い切りでも取っていますし、物音に驚いたりとかではなく、自分で気持ちを上げていくような感じです。
-:レースでは、騎手の思った通りに乗れる優等生ですね。クイーンCは王道の正攻法でした。
和:そういう風に乗ってくれていますからね。阪神ジュベナイルフィリーズの時はちょっとスタートで遅れてしまいましたが、それ以外はゲートを上手く出ています。ただ決め手が身上の馬だと思います。
-:その決め手を使うには、オークスよりも少し脚を溜める競馬をしたほうがいいのでしょうか?
和:オークスは少し距離が長かったかもしれません。時計も速かったですし。それでも3着ですからね。
▲リラックスした表情を見せるクロノジェネシス
-:今度は輸送もない京都に舞台を移します。直線も平坦ということで、また違う結果が出るかもしれないですね。
和:そうなって欲しいですね。非常に能力を感じている仔なので勝ちたいですね。
-:最近は天候が悪くなる時があります。当日にもし馬場が渋ったりしたらどうでしょうか?
和:渋った馬場ではまだ走っていないので、やってみないと分からないですね。フォーム的にはそんなに気にしないんじゃないかなという感じはしています。
-:最後に応援しているファンに一言お願いします。
和:馬体も成長して、春よりも大人びた感じで帰ってきました。少しでもいい状態になるように持っていきたいです。クロノジェネシスも頑張ってくれると思いますので、応援よろしくお願いします。
プロフィール
【和田 保長】Yasunaga Wada
父が荒尾競馬場の調教師という家庭に生まれる。生まれた時から厩舎育ちで、自然と競馬関係の仕事に就くことを決め、大学の馬術部を卒業すると浦河のビクトリーホースランチへ。3年修行を積むと、競馬学校を経て名門・松田博資厩舎に配属される。その後厩舎解散に伴い、斉藤崇史厩舎に移った。
思い出の馬は桜花賞3着のトレンドハンターを始め、タガノプルミエールやトリップなど。『なるべく基本を大事にする』ことをモットーとし、常に馬をリラックスさせ、馬と仲良くすることを心掛けている。