“大器”…まさにこの2文字にふさわしい素質馬・コントレイル。新馬戦、東京スポーツ杯2歳Sを共に上がり3F33秒台の次元の違う末脚を駆使。他馬を圧倒するその姿は、来年の主役を想起させる。陣営も「半信半疑だった」と語る大器のホープフルS展望、そしてその先に迫る。

“半信半疑”の東スポ杯をレコード勝ち

-:ホープフルS(G1)に挑むコントレイル(牡2、栗東・矢作厩舎)ですが、前走の東京スポーツ杯2歳Sを5馬身差の圧勝となりました。結果、1番人気ではありましたが、前評判では他にも人気を集めている馬もおりましたよね。戦前の手応えはいかがでしたか。

金羅隆調教助手:2戦目でしたし、良血馬もいましたし、半信半疑というのが本音。新馬も目一杯の競馬はしていないから、あそこまで良い競馬が出来るとは思わなかったですね。あの日の東京は速かったですけど、時計も速かったですからね。ゲートに行っていたので、勝ったことは分かったものの、口取り撮影の時にレコードだと分かって驚きましたね。

-:言わば毎日王冠のような時計でしたね。「ゲートに行っていた」という話で言えば、ジョッキーがレース前に落馬されていたそうですね。

金:そこまで酷い尻っぱねじゃなかったんですけど、放り投げられちゃって。僕は口を取りに行っていたので、その時にビョンとはねて、肩が痛そうだったので、大丈夫かなとは思ったんですけどね。ジョッキーは「首が痛い」とボソボソと言っていましたけどね。

コントレイル

▲東スポ杯2歳Sは圧巻のレコードV

-:「半信半疑だった」という中で挑んだレースとのことですが、“疑”の部分は初めての輸送の問題でしたか。

金:輸送自体は大人しかったんです。もともとカイバもよく食べる馬じゃないですし、ちょっと繊細なところがありますからね。先生も、厩舎に置いておくよりは少しリフレッシュさせていこうということで、前回は2週間前くらいに帰厩させていました。実質2本追いでレースに行ったので。放牧先である程度は乗り込んでいましたけどね。それもあって、やってみないと分からないところがありましたね。輸送で東京競馬場も初めてでしたし、左回り自体もそうですからね。今回も3週間前に入れています。

-:ちなみに、新馬の時の乗り込み量と比較するとどうでしょうか。当時と今ではまた気候も違いますが。

金:ゲートを受かって、僕が乗って1本目でいきなり52秒くらいを馬なりで動いていたので、走る素質のは感じていましたけどね。それで、(福永)祐一さんに1本乗ってもらって、次の週がレースだったという感じですね。それでも気持ち早いかなと。もう1週やっても良いかなというのもあったんですけど、気がいいですいし、カイバがあがってまで煮詰まってくるよりは、使った方が良かったなと思いますね。もともと血統は短いところですからね。

コントレイル
コントレイル

▲1週前はCWコース(上・内)、今週は坂路で追われた(下)

-:兄・姉と同じ矢作厩舎で手がけられた馬ですね。

金:お姉ちゃん(アナスタシオ 父ダイワメジャー)とお兄ちゃん(バーンフライ 父ゴールドアリュール)たちはテンション高めですからね。その辺は気を付けないとダメですね。

-:来年のダービーへ向けて、タイトルを手にして世代のトップクラスのパフォーマンスを示しましたが、追い切り後にジョッキーが「先々距離を持たせていかないといけない」と言っていたのはそういうことなのですね。

金:今日(12月18日)の追い切りもちょっと前半折り合いを欠いているところがありましたけど、馬の後ろで折り合いを付けて、何とか操ったみたいでした。でも、あれくらいの時計で来ますからね、凄いですね。

偉大な厩舎の先輩の蹄跡を追って

-:先々に向けて、精神面や距離の課題もあるわけですが、同じ厩舎でいえば、ディープブリランテにもそういうところがあったのかなと思います。

金:その頃、僕は厩舎にはいなかったですけど、今回の2000m自体はこなせると思いますね。走りは素軽いですよ。思っているよりも時計が出ているので、普段もちょっと気を付けながら、乗るように。ちょっと遅すぎたなと思っても、それなりに出ているので。東スポ杯の最終追い切りの時も、54秒くらいのつもりで行っていたのに、あの時計(51.9秒)だったので。

-:それだけ感覚の違いが出るほど、走る能力があるということですね。

金:「馬なりで」という予定はしていました。輸送もありますし、まだ2歳で、初めて東京まで行くから最後は馬なりでの調整の予定だったんですけどね。

コントレイル

-:では、今回は3週前に帰ってきていますけど、まだまだギリギリに仕上げるというよりは、先々も見据えつつ…ということでしょうか。

金:賞金はあるので、目一杯仕上げるとはならないかと思います。でも、これを使ったら、当分の間、レースは空きますからね。牧場(大山ヒルズ)でもその辺は気を付けて乗ってくれたみたいなので、ちょっとフックラして帰ってきましたし、輸送で減ることも考えて、470キロ以上で帰してくれましたからね。あれだけの強い勝ち方をしたら、牧場も期待しているでしょうからね。

-:阪神、東京と走りました。右回りと左回りでの手前の変え方はいかがですか。東京の時のコーナリングは気になるところがありました。

金:左回りはちょっとコーナーがぎこちない感じがありましたね。調教で1回CWに入れた時も、右に張る感じがあったので、それだったら右回りの方がまだいいと思います。ただ、今回はコーナーが4つですからね。それも含めて、今日は祐一さんにCWコースで乗ってもらったんですけどね。

-:そこを確認して欲しいということだったのですね。

金:ええ。一流ジョッキーですし、1回競馬で乗っているので、そこまで心配しなくて良いですけどね。「馬の後ろに行くまではちょっとハミを噛みそうだし、ちょっと反応が鈍かったから、終いをやっておいたよ」と言っていましたね。敢えて、今日は動く相手(3歳3勝クラスのスマートセラヴィー)とやったので、良い負荷が掛かりましたね。馬場も時間が経っていたので、決して良くなかったと思いますし、80秒台で終いもあれだけ来ているので、見た目はそんなに時計が出ているのかなという感じでしたけど、これでスイッチが入ると思うので、あとは1週間であまりスイッチを入れないように。

-:今、体重はどれくらいですか。

金:474ですね。減るのは想定していますけどね。前回もこっちで466くらいありましたけど、向こうに行ったら、456でしたからね。

コントレイル

▲コントレイルと金羅調教助手

-:コントレイルの成長度は同世代と比べても早そうですね。

金:早いですね。夏過ぎくらいに厩舎に入ってきましたから、ある程度、進みは早かったんじゃないですかね。実はこの馬、担当する予定だった人が2頭とも埋まっていたので、僕がたまたま入れ替えるタイミングで、やらせてもらえることになったんですけどね。小倉で2頭、土日で勝って、放牧に出すからということで、たまたま入ってきたんですけどね。本当は違う人がやる予定になっていたんですけど、たまたま空いていたので、そのまま担当させてもらうことになって。

-:そこは馬運が良かったわけですね。レースに向けて、意気込みをお願いできますか。

金:無事に何もなければ。まずはそれだけですけどね。楽しみや期待が半分、心配も半分、2歳のこの時期ですからね。

-:ありがとうございました。