【フェブラリーS】インティ 大敗を引きずらず上昇ムード 連覇で完全復活へ
2020/2/19(水)
昨年、未勝利戦から破竹の7連勝でフェブラリーSを制し、一気に砂の頂点へ。しかし、その後はかしわ記念2着、帝王賞6着。ひと息入ったみやこSでは大きな不利があったとはいえ、勝ち馬から3秒7の15着と大敗。強さと脆さも見せたインティ。それでも大敗直後のチャンピオンズCでは、見どころ十分の3着、前走の東海Sでは差す形で3着と改めて能力の高さを示し、迎えるフェブラリーS。連覇へ向けての手応え、そして普段は“食いしん坊”という、その素顔にも迫った。
-:連覇を狙うインティ(牡6、栗東・野中厩舎)のフェブラリーS(G1)ですが、今朝(2/12)の追い切りは2番乗りのハロー明け1番で上がって53.7-12.3でした。追い切りの動きはいかがでしたか。
和田将人調教助手:野中先生からの指示は53~54でした。指示通り乗れて、変わりなく順調に来ていると思います。いつも通りのインティという感じでした。
-:前回のレースの1週前と比べて、反応の違いはありましたか。
和:やはり使った上積みは感じられます。休養明けというか、2走目としては前回よりも上向いているんじゃないかと思っています。
-:東海Sでは「差す競馬を試した」という武豊騎手のコメントがあったのですが、今回はどんな競馬になりそうですか。
和:枠次第になるでしょうし、相手の出方を見ながらになると思います。乗るのは武豊騎手なので、お任せすることになると思います。
▲差す競馬で東海Sは3着。武豊騎手も手応えありの表情
-:インティの成績を見ると、右回りも左回りも満遍なく結果が出ていますが、イメージとしては左回りの方が良い気がします。
和:馬自身も、乗っていて左周りの方がコーナーリングがスムーズに感じます。僕は、どの馬も左回りの方が得意なんじゃないかなと思っているんですけどね。馬も人間も一緒だと思います。
-:チャンピオンズCは惜しくも3着だった訳ですが、チャンピオンズCの上位組がサウジアラビア遠征で不在となればメンバー構成は楽になりますね。チャンピオンズC3着のインティが能力上位ということになります。連覇に向けた手応えというのはいかがですか。
和:チャンピオンズCの時の勝ち馬クリソベリルや2着のゴールドドリームとは1600mで、もう一度やってみたいなという気はありました。今回はこのメンバーになりましたが、厩舎としては自分たちの競馬をするだけです。昨年のフェブラリーSから1年間ずっと勝てていないので、目の前のG1をもう1回勝たせてやりたいという思いが強いです。
-:ここ1年間勝てなかったというのはインティの持っている強さもありますが、脆さもあるからという所でしょうか。
和:やっぱり噛み合わないと脆い所がある馬なんですよね。G1を勝つまではトントン拍子で来て、本当に運も味方してくれていたようなことも多々ありました。ちょっと噛み合わなくなると、勝てない時が続いてしまって。でも、力は落ちていないので、もう1回G1を勝たせてやりたいですね。
-:特にみやこSでは直線で急激に下がっていくアクシデントがありました。あの時はケガでもしたんじゃないかとヒヤッとしました。その後は遺症もなく、次のチャンピオンズCでは3着と好走できた所がインティの切り替えの早さですね。普通、精神的にトラウマが残ったら、次のレースもダメだと思います。
和:最下位からチャンピオンズCは3着ですからね。でも、みやこSの後は獣医さんや装蹄師さんにケアしてもらって、肉体的な回復をサポートしていただきました。インティに関わる周りの方々にすごく助けられて本当に感謝しています。
-:精神面以外にも筋肉痛など、さまざまなケアが必要だったということですね。
和:アクシデントを抜きにしても、毎回レースを使った後はいつも疲労はあるんですね。走る馬は筋肉の質も良いみたいで、回復も早いと言われます。もちろん治療はしてもらいましたが、そういった治療にもすぐに応えられる質のいい筋肉を持っている……そんな強い馬みたいですね。
-:あのようなアクシデントの後、気の弱い馬だったらすぐには立ち直れないと思うんですけどね。
和:インティは大敗したことをあまり深く考えていないんでしょうか(笑)。やはり男馬で、女の子と違って鈍感な所もあるんでしょうね。とても神経質な所もありますが、みやこS後の調教でも折り合いはついていました。あの時はちょっと頭に血が上ったんでしょうね。
-:普段の調教で、インティを良い状態でレースに持って行くために心掛けていることは何ですか。テンションを上げ過ぎないことでしょうか。
和:とにかくこの子の邪魔をしないように心がけています。そんなに強い調教をしても、あまりプラスにならないタイプだと思っています。とにかくインティの邪魔をせずマイナスを出さないことですね。
-:今日の坂路のコンディションも、時計を出そうと思ったらもっと出たと思うのですが、ある程度加減した中での追い切りだったのでしょうか。
和:いつも乗っていますので、大体この完歩ではこれぐらいの時計で走るというのは分かっていますから。折り合いを重点に置いて、2ハロンは我慢をさせて、残り2ハロンは一つずつ時計を上げていくようなイメージで乗っていました。
-:グッと来た時の手応えはいかがでしたか。
和:良かったですよ。坂路よりCコースの方がそれは感じ取れるかなと思いますけど、ものすごく調教で動く馬ではないので、この馬なりに良かったと思います。
-:あともう1週で、上げ潮で行けそうですか。
和:もう驚くような時計は必要ないと思います。本当に現状維持で、仕上がるところまできています。
▲1週前追い切りでも軽快な動きを見せた
-:季節的には調整しにくいんじゃないですか。急に寒くなったり、意外に暖かくなったり。馬体重の変化はありそうですか。
和:ずっと担当させていただいているのでインティの体重も調整できています。大体、今は東海Sと同じぐらいの体重で出られているんじゃないかと思いますけどね。
-:前回の体重が518でしたが、今回は輸送がありますからね。
和:今回も大幅な変動はなくマイナス2~4ぐらいを想定しています。
-:そんなに微量ですか。輸送してもそんなに減らないんですか。
和:減らないですね。競馬場に到着してから食べるので。食べる馬はインティに限らず、そんなに減らないですね。
-:インティは食いしん坊なんですね。
和:食いしん坊ですね。インティが食べる乾草の量は多いと思います。普通の馬だと、食べ切れない量じゃないですかね。飼い葉の量に関しては厩舎や担当者によっていろんな考え方がありますから一概には言えませんけどね。僕は燕麦や配合飼料の他に乾草も食べてほしいんです。ご飯を食べる前にサラダから食べるようなイメージです。その方が食も進むんじゃないかなと思っています。
-:ファンがパドックでインティを観る時のポイントはどこですか。
和:僕はこの馬を傍から見ることはそんなにないんですけど、たまに先生が乗ってくれたときに下から見ると、乗っている感じよりも案外スラッとして見えますよ。
-:ダートの力強さというよりは。
和:ゴールドドリームやクリソベリルを見ると、すごく大きい感じがしますが、この子は何かちょっとスラッとして見えると思います。もし体重増があったとしても、僕は別に気にしなくても良いと思います。
-:そこは種馬も違うし、スラッと見えるのがインティの個性なんでしょうね。
和:だから体型はパワフルなダート馬ではないけどスピードタイプの体だと思っています。乗ればすごく安心感のある馬で、見た目以上にパワーもありますよ。
-:パドックで大きく見える時はダメかもしれないですね。
和:普段はまったりしていますが、レース前の2~3日ぐらいにはピリッとなるので太くは見えないはずです。
-:特に競馬場に行ったら、どの馬も体は締まりますからね。
和:インティはちょっと緊張するタイプですから、そこでちょっと体重を減らします。今は525~6ぐらいありますけど、府中に行ったら2キロマイナスぐらいですね。
-:516でちょうど(前走比)マイナス2キロぐらいですね。
和:おそらくそれくらいになると思うんですけどね。大体いつもそんな感じですね。
-:パドックでのテンションというのはどうですか。
和:最近は結構抑えられていています。1年前と違うのはそこかなと思うんです。以前はもっとテンションが高かったので。
-:トレセンでもちょっとテンションが高い時がありますからね。
和:それをコントロールさせるために、普段調教はしていますけど、全部が全部コントロールしてしまうのは、この馬の良い所を消すことになるので注意しています。
-:許す所は残しておかないと、ということですね。
和:望むとすれば、もう少し返し馬でユッタリ走ってほしいです。勢いよく行くので、武豊騎手もそこが心配だろうと思います。普段からトレセンでは出来ても、なかなか本番に繋がっていかないところなので、それが課題ですね。
-:出来れば、返し馬をもうちょっとソロッと出したいと。
和:こっちとしてはソロッと出してあげたいですし、引っ張る側としてもユッタリさせてあげたいのはあげたいですけどね。返し馬で勢いよく行っても、レースで影響はありませんが。
-:それでも結果は出ている馬ですからね。去年のフェブラリーS以来、1年をかけて厩舎サイドもオーナーも一丸となって次の1勝を目指し、頑張っておられると思います。最後にインティを応援しているファンにメッセージをお願いできますか。
和:いつも応援をしていただいて感謝しています。ファンレターも何通か送っていただいたりもして、本当にありがたいです。この1年間、勝利から遠ざかっていますが、それでもいつも1番人気に推していただいているのは本当に嬉しいです。今度はその人気に応えたいですし、当日まで気を抜かずに頑張りますので、これまで通りの応援よろしくお願いします。
-:ありがとうございます。