秋初戦を迎える個性派・ナムラクレセント
2011/11/5(土)
![房野陽介調教助手](https://www-f.keibalab.jp/img/old/pic/column/interview/y_fusano7_header.jpg?1473839561)
房野陽介調教助手
-:取材に応じていただくのは天皇賞(春)のレース以来となります。その際は自信をのぞかせていた通りの結果、人気薄での3着でしたが、どう感じられましたか?
房:あの時はデキも良かったし、楽しかったですね。ただ、今の感覚と、あの時の僕の感覚では違うところがあるので、説明はし辛いです。宝塚記念で色々あって勉強もしましたし、自信満々に「走る」と言っていて3着にもなりましたが、結果的には今振り返るとわからないです(笑)。
確かに体つきや雰囲気は良かったんですよ。でも、今の状態とあの時を比較して、今がどれくらいとはわからないですからね。今もあの時を目指そうとはしていないですし。レース自体は、本来のこの馬の競馬の形“ラスト5F勝負”というのは、正しいレースでしたよね。3F勝負だと並のオープン馬にも負ける馬ですから。
-:レース前にも簡単にお話しは伺わせてもらいましたが、宝塚記念への過程は順調さを欠いたんですね。
房:状態そのもの爪が最悪でした。あの時ならば準オープンを走っても負けていますよ。周りは「(レースで)あれだけ飛ばしたら……」とは言いますけれど、先行馬が全部潰れたのならまだしも、その後ろに走っていた馬が勝っているわけですから、いい訳にもならないですし、そもそもがまともに走れる状態じゃなかったですから。
-:その爪の状態とは具体的にはどんな状態だったんですか?
房:う~ん、ザ石や裂蹄でもないので、ファンには伝えづらいですね。例えるならば、“あまりにも合わない靴を履いていた”ような感じです。和田(騎手)さんにも「すいません」と言ったほどですから。
-:その後の夏の過ごし方は?
房:とにかく爪を良くするためにしっかり休ませました。蹄鉄を履かせずに馬用のブーツを履かせていたくらいです。この馬はもともと本来、爪が生える部分が生えてこなくて、エクイロックスで偽爪を造って釘を打っていたんです。でも、エクイを塗ってしまっているだけで、そこが生えないんですよね。それが夏を通して今は本来あるべきところが生えてきているんですよね。だから、爪そのものに関していえば、競走馬生活の中で一番です。
だからと言って、爪が良くなればもっと走るのかはわからないですし、その経緯もあるから「比較が出来ない」と答えたんですね。今振り返れば、宝塚記念の前は僕も「これくらいでも走れるかな?」と思っていたんです。それを考えれば、今はあの時のことは反省したいです。
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-:走ってみないとわからないということですね。
房:でも、(これまではゴネる仕草をみせるのがナムラクレセントの特徴でもあった)いまは調教もスムーズなんです。あれって、馬が出しているシグナルだと思うんです。前に調教で止まった時も「もう走りたくない。勘弁して」という意味だったと思うし。
そう考えると、天皇賞の直前1週間は凄く乗り易かったんです。和田さんにも「今だったら競馬にいっても引っ掛からないと思いますよ」と言っていたし、乗り易いということは、こっちが我慢させることに馬の体が付き合えるということですからね。やっぱり、どこかが苦しいと、馬は走らなかったり、妙に引っ掛かったり、もしくは走ろうとしないと思うんです。今は周りの馬が暴れてもボーっとしているし、そういうストレスがないんですよ。
あ……、そういう意味では(今のナムラクレセントの状態は)イイか(笑)!
-:そんな変化があったナムラクレセントですが、この秋、アルゼンチン共和国杯以降の展望はどう考えていますか?
房:この秋は爪のこともありますし、まずは走ってみないとわからないですね。走れればジャパンカップや、有馬記念もあるでしょうけれど、負けてしまえば、休ませてしまっていいくらいです。
今の感じでアルゼンチンを走ってくれるなら、楽しみは膨らみますけれどね。あとは今6歳ですから、その能力値でしょうかね。ただ、馬そのものは若いですから。まずは無事に走ってくれればと思いますよ。
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