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ジョン・ハモンド調教師

ジョン・ハモンド調教師


-:カナディアンインターナショナルSの優勝おめでとうございました。ウッドバインでのレースを振り返っていただけますか?

H:ありがとうございます。まずは現地での調整が非常にうまくいったことが最初の勝因ですね。輸送の疲れもほとんどありませんでしたし最終追い切りで動いたので、人気はありませんでしたが、“これなら楽しみはある”と、確信していました。2つめの勝因は、C・スミヨン騎手の好騎乗に尽きるでしょう。最内枠を最大限に生かして、とても上手に乗ってくれました。その前のヴェルメイユ賞では前が詰まってしまって、まったく力を発揮できませんでしたが、ウッドバインでは道中はインぴったりを回りながら、直線ではのびのびと走ることが出来たんです。モンジューの娘でG1レースを勝てたのですから、最高の気分でした。

-:カナダ遠征後のサラリンクスの状態はいかがですか?

H:カナディアンインターナショナルSの後は、一度アムステルダムを経由して、そこから陸路でシャンティーに戻りました。合計で12時間以上は掛かりましたね。それでも輸送中も水をよく飲んでいたそうですし、帰厩してからの馬体を見ていても疲れもないし、“すぐにでもまた使えるような状態だな”と感じたんです。レース後はBCからの招待もありましたし、香港遠征も選択肢のひとつでしたが、スミヨン騎手も“日本の芝にあいそうだ”と話していたので、ジャパンカップを使うことに決めました。それに、ジャパンカップでは何度も悔しい思いもしていますからね。



-:サラリンクスの長所はどんなところですか?

H:まずは非常にタフなところですね。牝馬ですが長距離輸送をまったく苦にしません。馬はとても小柄なタイプで、ヨーロピアン血統ですが、軽いフットワークの走りを見せます。3歳~4歳の冬にかけて、弱いところがなくなって馬体に身が入ってきました。ブリンカーをつけているように神経質なところがあり、レースでは乗り難しいのですが、今もどんどん力をつけています。カナダでのレースは相手もかなり揃っていましたが、4馬身差の圧勝でしたからね。

-:12年前のジャパンカップに参戦したモンジューは大変な注目を集めました。

H:モンジューは間違いなく私が手がけた最高の名馬でした。99年のジャパンカップに関して言えば、決して力負けではないし、日本の馬場が合わなかったとかそういうことでもないのです。というのも、当時はアラスカを経由して日本まで遠征するしか手段がなかったため、輸送に非常に時間が掛かったんです。今だから話せますが、東京競馬場に到着してからも筋肉が痙攣しててしまい、まともに調教が積めませんでした。そのなかでベストを尽くし、レース当日に朝追いまでしてなんとか間に合わせたような状態だったのです。あれでは普通は4着にも来れないでしょう。あの馬は真の怪物でした。日本で本来の姿をお見せできなかったことは今でも悔やまれます。

-:今回はその雪辱を果たすレースになりますね。

H:そうなれば最高ですね。今はシャルルドゴール空港から成田までの直行便がありますし、さきほどもお話したようにサラリンクスは輸送に強いので、東京でも上手く調整ができると思います。今回は凱旋門賞の1、2着馬も出ますし、日本勢もかなり強力だと聞いていますが、どんなレースになるか楽しみです。日本の熱い競馬ファンの皆様にお会いできることも心から待ち遠しく思っています。




【ジョン・ハモンド】 John Hammond

1960年6月27日、イギリス生まれ。

1987年フランスのシャンティイで開業。


最近の主な重賞勝利
・11年カナディアンインターナショナル
・11年ポモーヌ賞(共にサラリンクス号)


1960年6月27日生まれ。開業わずか5年で凱旋門賞を制した(91年スワーヴダンサー)天才調教師。フランス・シャンティーに厩舎を構える英国人。99年のジャパンカップではその年の凱旋門賞馬モンジューを出走させ、スペシャルウィークとの日仏最強馬対決は注目を集めた。近年は成績低迷が続いていたが、今年10月の国際GⅠ・カナディアンインターナショナルをモンジュー産駒のサラリンクスで優勝。7年ぶりのG1制覇で見事に復活の狼煙を上げた。

サラリンクスはカナディアンインターナショナルSを勝ったことで、今回のジャパンカップで3着以内に入れば報奨金獲得の権利も持つ。01年、02年シーズンには武豊騎手を主戦として招聘。このコンビではインペリアルビューティーでG1アベイユドロンシャン賞などを制している。現在の主戦はC・スミヨン騎手。