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並床恵二調教助手

並床恵二調教助手


フェブラリーS、JCダートを制したトランセンドがJRAのダート界の頂点に君臨した2011年。しかし、充実一途のワンダーアキュート(牡6、栗東・佐藤正厩舎)も侮れない。前走の東京大賞典こそ2着に屈し、初めてのGⅠタイトルを逃したものの、ご存知の通り、あのスマートファルコンを苦手としていた大井コースで追い詰めたのだ。3歳時には当該コースで行われる武蔵野Sを快勝と、今回は待ちに待った舞台設定。初戴冠の可能性について、引き続き、担当の並床調教助手に伺った。

-:本日はよろしくお願いします。まず前走の東京大賞典は、誰がみても勝ったか負けたかわからないほどの大接戦。こちらも手に汗握る大接戦でした。レースを振り返ってもらってよろしいでしょうか?

並:こちらこそ、よろしくお願いします。そうですね、大井では結果が出ていなかったので、どんなものかなと思っていたのですが、あれだけ接戦のレースができたのですから。僕たちも正直驚いているくらいです。

-:大井を最も得意としているスマートファルコンにわずか3.5センチまで迫りましたからね、アワや勝ったかと思いましたよ。

並:ありがとうごさいます。ここ2走で本当に強くなっていると感じました。

-:以前は先行のイメージが強かったのですが、ここ最近の調教を見ていますと、差し傾向の動きに転じてきたように見えます。その辺りはどうでしょう。

並:明け6歳になったのですが、最近は最後までシッカリ走ってくれるようになりました。

-:それって珍しいですよね。普通、年齢を重ねることによってズブさが出てくるパターンが多いと思うのですが。

並:そうですね、兄のワンダースピードも年を経てから走り出しましたから、そういう意味でも良く似ていると思います。それでもまだ気性面の幼さとか、馬体の完成度からすれば、まだまだ良化する余地はありますね。

-:すごくセンスのある走りをしますよね。

並:はい、センスはありますね。それと怖がりな面が良かったのかもしれません。普段は我がままなんですよ、ズブとい面も見せますし。

-:レースを見ると、とてもそうは感じられませんけれどね。

並:レース前に入れ込む癖があるんですよ。ですがそれが本来の姿ですね。気合が漲っているというか。



-:そうですか。前走のジャパンCダートから2ヶ月間隔を開けてのフェブラリーS出走になりますが、今の状態を教えて下さい。

並:東京大賞典が終わって馬体重が528キロ。これが今までの上限だったんですが、今は538キロまで増えたんですよ。ですが見た目に太いという感じでもないですし、カイバ食いも前と変わりませんしね。おそらく全部成長分。感触的には上がっていると思います。もう上限がわからないくらいなんですよ。

-:それだけ代謝が良くなったということですかね。食べた分が実になって。

並:それもあります。最近GⅠ級の馬と競馬をしていることで、この馬自身も強くなってきていますね。東京大賞典は勝てれば申し分なかったのですが、負けてもいい経験ができたなと。

-:今回は久しぶりの1600m戦ですね。

並:自在性のある馬なので心配はしていません。むしろ長い距離のほうが心配です。2000mが限界かなと思っているくらいなので。

-:ダートで2000mをこなせれば問題ないのではないですか。

並:ええ、もう十分ですけどね。

-:2000mのパワーとスタミナをマイルで爆発させると?

並:そうです。実際に09年に今回と同じ条件である武蔵野Sを勝っていますし。東京ダート1600mはスタートしてから、すぐに芝から始まるというのが、この馬にとって有利に働くんじゃないかなと思いますね。

-:そうですか。ちょっと意外にも感じました。

並:阪神のダート2000mもそうですが、スタートしてすぐに芝のコースで一度も負けていないんですよ。もっと言えば芝でもやれそうな感覚があります。

-:スタートして芝がダメという馬も良く聞きますが、この馬は逆だと。

並:乗り役の和田君も「テンが芝からのスタートになっているのはコイツにとって最高の条件」とお墨付きをもらっていますし。なのでコースは気にしていません。

-:枠順はどのあたりをお望みですか?

並:脚質的に内枠が欲しいですね。でも、テンが芝なので、どこに入ってもスッと対応してくれると思いますよ。

-:ハイペースになった時の対策は何かありますか?

並:前走もハイペースについて行ってますので心配ないです。本当に自信を持っていきますよ。展開がどうのこうのではなくて、ぜひガチンコ勝負といきたいですね。



-:今回も馬具はパシュファイアーを装着しますか?

並:府中で勝ってますけれど、特に入れ込みがひどかったイメージがありますので、今回もパドックでは二重メンコにパシュファイアーを着けます。

-:3歳の時とは違ってキャリアも積んだし、精神的にも落ち着きが出て大丈夫じゃないですか?

並:東京大賞典が終わってから強めに4本やっているのですが、馬が非常に落ち着いているんですよね。こういう状態の時にいい結果を残しているんですよ。あと当日、馬体が大きく減る可能性がありますが、これはいつものことなので、ファンの方々は気にしないでください(笑)。

-:これまで至極順調にきていると判断していいわけですね。

並:はい、体質的にも相当強くなりましたし、レースが終了してから筋肉痛もありませんでしたし、今が最高にいい充実期に入っていると思います。

-:ジャパンCダートの1着馬(トランセンド)、2着馬(ワンダーアキュート)がフェブラリーSで激突します。豊富をお聞かせください。

並:とにかく……、今回は是が非でも勝ちたいですね。

-:レース前の世論では逆転を望むファンが多いみたいですよ。

並:ここ2戦で自信をつけさせてくれましたし、大器晩成型の血がそろそろ爆発してくれることを願っています。

-:並床さんにとってワンダーアキュートはどんな馬ですか?それと最後に今回の意気込みをお聞かせ下さい。

並:常に私たちが思っている以上の結果を出してくれて、本当に一所懸命に頑張ってくれる素晴らしい馬です。今回も状態が良く、今までで一番強いアキュートをお見せできるかと思いますので、応援のほど宜しくお願いします。

-:応援しています!お忙しい時間にありがとうございました。

並:こちらこそ、ありがとうございました!






【並床 恵二】 Keiji Namitoko

トレセン歴16年目。競馬好きの父の影響と、「自分も体を動かすことが好きだった」こともあり、競馬の道へ。中学校を卒業して京都の京北牧場へ。トレセンで従事することになってからは吉永忍厩舎に勤務。当時は重賞4勝を挙げたタマモストロングを担当した。 吉永厩舎の解散に伴い、佐藤正雄厩舎に移籍。現在はワンダーアキュートとサウンドアフリートを担当している。