関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

濱名浩輔調教助手

濱名浩輔調教助手(栗東・石坂正厩舎)


実績以上の魅力


-:前回のレースを終えて、浜中騎手は何と言っていましたか?

濱:「馬は大丈夫だった?」という話をしましたが、レースに乗って、手応えは掴んでくれたと思いますね。「最後、バテたぶんは休み明けだから仕方ないな」と言っていましたが、攻め馬の感触でも「まだ休み明けって感じですね」なんて話をしていたし、彼が思っていたよりも走ったはずです。3コーナーでもアクセルをふかし過ぎっていうか(笑)、ビューンといったので、予想以上に動いたんだと思います。もともと攻め馬はバリっと動く馬ではなく、54の13(秒)くらいだし、“追って、追って、追って”って感じの馬ですからね。

-:去年のダービー前で上がりが12秒台くらい出るようになったくらいですよね。

濱:神戸新聞杯前が53の12で、12秒台後半くらい。あの時は今より坂路の馬場状態が出易かったのもあると思うんですけれど、動くようになっていた。今回は馬場が悪くて、時計は出なかったんですよね。見た目にも悪いという程ではなかったんですけれどね。でも、ジョッキーには速い脚がつかえる印象は薄かったはず。やっぱり、早目に動いていかなきゃズブさをみせるという印象はあったはずです。

でも、行くという仕草をみせれば、速い脚はつかえるし、あそこからマクっていって、そりゃバテるだろとは思いましたが(笑)、だけれども、思ったよりも動けるという印象は掴んだんじゃないですかね。


-:その点、今回はどんな競馬になりそうですか?

濱:次はじっくり競馬をしたらいいかという気はしています。前が飛ばすなら飛ばしても良いし、焦っても他の馬がとらえに行くのは僕の馬じゃないし、ジッとあの馬の競馬をしたら、いい結果がついてくるんじゃないかと思いますから。ジョッキーともそういう話はしようと思っています。でも、今の彼も乗れていますからね。もともと、うちの厩舎で名をあげてくれたようなところはあるし、うちの厩舎の馬で勝ちたいと思ってくれているから、こっちも勝たせてあげたい。頑張って欲しいですね。

-:当日の目方はどれくらいになりそうですか?

濱:そんなに変わらないんじゃないかな。500前後でちょっと増えているくらいか。そんなに体重の増減がそんなに出る馬ではないですし。背が伸びて、こないだは増えて出たんですけれど、502キロよりも細く見せて、「500はないな」と思ったほど。次、実が入ってくれば、少し増えていると思いますし、もっと増えてもいいと思います。

-:さっきの質問と重複する部分はありますが、休み明けを走ったことで、二走ボケというか、反動は気になりませんか?

濱:僕たちも一番心配したのは競馬後の反動ですね。休み明けであれだけの厳しいレースをしてきたから、ガタってくるのが一番怖かったです。だけれども、普段の雰囲気や、攻め馬も再開していますけれど、今のところそんなところは感じないですね。獣医さんにもみてもらったりはしていますが、大丈夫だと思います。

-:最終追い切りはどんな内容になりそうですか?

濱:まだハッキリとはわからないですね。今週はボケさせないようにサーっとやる程度ですが、来週は馬にはしっかり負荷をかけるように一杯にはなるんじゃないでしょうか。時計的にはわかりませんが、悔いなく目一杯やる予定です。



-:厩舎のムードとしては、二週間前は桜花賞を勝ち、先週は皐月賞で惨敗。酸いも甘いも感じさせられるGIシーズンだと思います。スタッフの方々はどんなムードですか?

濱:う~ん、悪い雰囲気はないですよ。皐月賞は残念な結果でしたが、だからといって、厩舎の雰囲気が悪くなることはないですし、それだけ大きいレースで結果を出すことは容易じゃないし、それに挑戦していく事にも意義があると思います。桜花賞を勝った後もジェンティルドンナらはオークスがあるし、ドナウブルーもヴィクトリアマイルがあり、僕の馬も天皇賞につかう。これからビッグレースに出る馬も多いし、今は厩舎にオープン馬も多いので、かなり厩舎に活気はあります。むしろ、桜花賞、皐月賞を連勝していたら、「さすがに天皇賞はないだろう」。なんて流れになっていたかもしれないですね(笑)。

-:その厩舎の勢いを引き継いで、クレスコグランドには頑張って欲しいところです。最後に天皇賞へ向けての意気込みをお願いします。

濱:馬の状態は問題ないですし、能力も上とヒケはとらないと思っています。なので、まずは無事出走させたいところですね。周りが思っている以上にけっこう期待はしています。今は“脇の脇”くらいの存在かもしれないですけれどね。

-:でも、ダービーは天候や馬場も本来の条件ではなかったですし、ローテーションもベストとはいえない中でのレースじゃないですか?それで今年になって、長い休み明けでのレースでしたし、どれだけのモノを持っているかというのは、まだ見せていないと思うんです。それが今回、出し切れはしないとしても、まだまだ未知の能力を秘めていると思いますよね。

濱:僕は可能性を感じていますからね。色々な意味を含めて、普通の馬じゃないというか……。

-:過去に担当したブルーメンブラットと比べたら。

濱:あの馬は僕がやり始めた頃は完成の域に入っていて、こっちが何もすることなく、馬が勝手に仕上がってくれましたからね。自分の力ではないし、僕が教えてもらうことの方が多かったくらいだから。クレスコグランドは二人三脚と言うか、「こうじゃないよ、ああじゃないよ」と教えてあげないと、間違った方向に飛んでいってしまいそうだから。

まだまだそういう面で幼い面があるし、キャリアも浅い。そういう意味でまだまだ上積みがありますからね。現時点でトップクラスの馬との競馬が出来るだけのものがあるし、先を期待してしまいますよね。こっちが思っている以上に走る馬だと思うんです。

今年は豪華メンバーが揃っているし、厳しい競馬になると思いますけれど、意外と僕は「やってくれるんじゃないか。このレースが終わって、この馬の評価が変わっているんじゃないか」という気がしますけれどね。楽しみにしています。競馬は何があるかはわからないですから。



「長期戦線離脱も、大事には至らず」
濱名浩輔調教助手インタビュー前半→

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【濱名 浩輔】 Kousuke Hamana

1984年8月1日生まれ、兵庫県出身。 中学2年生の時に友人の影響で競馬に興味を持ち、乗馬を始める。
武豊騎手がタニノギムレットでダービーを制したレースを観て、「豊さんがインタビューに答えて、関係者が喜んでいる姿を観て、テレビで観ている立場じゃなくて、自分もその輪の中に入りたい」という思いから、競馬界での就職を目指す事を決意。

知人の紹介もあり、重賞ウィナーのダイタクバートラムなどがいた時代に太陽ファームへ約2年半勤務。競馬学校厩務員過程を経て、石坂正厩舎に所属。
キャリア2年目にして、「馬自身が色々知っていて、私について来れば大丈夫と言われているようだった」と評する転厩当初のブルーメンブラット(府中牝馬S~マイルCSを連勝)を担当。現在はクレスコワンダーとウインスラッガーを担当している。