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小牧太騎手

小牧太騎手


小牧太を語る上で欠かすことのできない存在・ローズキングダム。その盟友と約2年半振りのタッグ再結成に多くの小牧太ファンは色めきたったが、当人の心中は如何に? また、マイル戦線の僚馬・シルポートと挑む秋緒戦の毎日王冠も見逃せない。いずれにおいても、レースへ向けての手の内、胸中に迫った。

-:2年5ケ月振りにローズキングダムの実戦に乗る訳ですが、その間に1度だけ調教で乗られたそうですね?

小牧太騎手:1度だけ跨いだことがあるね。

-:今年の春でしたか?

太:そうでしたかね?もう、忘れるぐらい乗っていないですね。

-:その時、調教に乗った際の感触は3歳の皐月賞直前と比べるとどうでしたか?

太:まあ、あんまり変わらないなという感じだったんですけどね。



-:それは相変わらず「走るな」ということですか?

太:うん。

-:ローズキングダムにとっては相性の良い京都大賞典ですね。

太:ねえ、去年(後藤騎手騎乗)も勝っているんですよね。まあ、今から追い切り(写真はいずれもローズキングダム。赤木調教助手騎乗のツルマルスピリットと併せ馬。坂路4F53.4-13.2)に乗るのですけれど、状態が良ければ能力的に十分勝つ力がある馬だと思うので、楽しみにしています。

-:良いイメージだけを持って。

太:そうですね。

-:今年の春は足踏みをしたというか、結果は残せませんでした。

太:ちょっと馬がねえ、以前に比べると力んでいるような感じがするんですよ。レースを見ていたら。その点がどうなのかなと思います。まあ、その点はあんまり固定観念を持たないで乗っていこうとは思うんですけど。

-:使っていたレースが春の天皇賞の後は安田記念と距離が長かったり、短かったり、極端だったので、馬自身の戸惑いもあったかもしれないですね。

太:うん。

-:京都大賞典はこの馬にとっては走りやすい距離だと思います。その点はどう感じますか?

太:今は馬の感じが折り合いを欠くレースが多いみたいなので、その点が何とも言えませんよね。上手く乗れるか……。馬がどういう風な感じになっているのかがね。



-:今から坂路で追い切りをするのですが、そういうレースが続いているということは、坂路での入りも(ハミを)噛み気味になっているかもしれませんね。

太:まあ、それも含めて楽しみにしているのですけど、どんな感じなのかね。でも、前と同じ感覚で乗っていこうとは思っています。

-:前と同じ感覚とは?

太:乗りやすかったんですよ。僕が乗っていた頃は。何せ、自由自在に乗れる馬で、何も考えることはなかったですからね。

-:朝日杯を勝った時も1頭1頭余裕を持って交わしていったという感じでしたからね。

太:そうそう。もう、乗る前から自信満々でした。あの頃はね。放牧から帰ってきてから、ちょっとリズムが狂ったね。馬のね。

-:結局、皐月賞(4着)の後は小牧さんが騎乗停止になりましたからね。

太:そうなんです。あれが一番堪えたね。まあ、そういうこともあるし……。

-:ダービー(後藤騎手騎乗で2着)は実家で見られていたという苦い思い出ですね。

太:そう、勉強になりました。この馬で。まあ、また戻ってきたので、チャンスをモノに出来たら、次もあると思うのでね。何せ、良い競馬、自分の技術を存分に全部集中してぶつけたいですね。

-:春の結果にはこだわらず、良い時のイメージを持って、馬を信用するということですね?

太:そうですね。

-:従来なら毎日王冠と京都大賞典を一緒に乗るということは出来ないのですが、来週は3日間開催で、日程がバラけているので、毎日王冠ではシルポートに乗られますね。

太:その点は良かったですね。シルポートには来週、調教で乗るんですが、この前も坂路を52秒台で動いていたと言うし、仕上がりは良いと思います。あの馬に関しては逃げあるのみなので、いつもの競馬をするだけです。どこまでやれるかは相手関係だけですね。他の馬がカラんでこなければ良いですね。

-:この馬はハイペースで行く方が良い馬なのか、タメ逃げする馬なのか判りにくいのですが?

太:そうですね、馬場の関係もあるし、僕は結構、タメているんですけど、ちょっと離れているね。2馬身ぐらい離した逃げになっている。あんまり抑えず、普通に乗っているんですけどね。

-:じゃあ、他の馬にはあんまり付いてきて欲しくないということですね?

太:うん。もう、それだけですね。

-:こういう馬は枠順にも敏感な感じがするのですが。

太:内が良いね。外ばっかり当たるからね。内が良い。

-:それは奇数枠でもですか?

太:そうですね。



-:開幕週ですしね。

太:基本、開幕週は内ですね。

-:開幕週の府中なんかは一番、枠順の差がはっきり出ますからね。

太:何せ、この馬に関しては逃げあるのみですから。

-:カレンブラックヒルとか似た脚質の馬が出走予定ですが、兼ね合いはどうしましょうか?

太:いや、もう行くだけです。まあ、相手も見ているでしょうからね。

-:カレンブラックヒルが小牧さんの後ろという位置取りですか?

太:うん、強いね。あの馬。あの馬は強いですよ。NHKマイルCでは、僕はクラレントに乗って3着でしたから。力があると思いましたし、古馬とやってもイイ勝負が出来るほどの馬だと思いました。

-:シルポートを応援してくれているファンに一言お願いします。

太:いつもの逃げを見せたいと思うので、あとはどこまで粘れるか。それと、相手関係。それだけです。


(写真・取材)高橋章夫




【小牧 太】Futoshi Komaki

1967年 鹿児島県出身。
1985年に園田競馬・曾和直榮厩舎からデビュー。
2004年にJRAに移籍
JRA初騎乗
1993年 3月 6日 2回中山3日 6R ナトルーンフラワー
JRA初勝利
1993年 12月 4日 5回阪神1日 8R ダイゴストロング
JRA通算成績は638勝(12/9/30現在)


■最近の主な重賞勝利
・12年 シリウスS(ナイスミーチュー号)
・12年 マイラーズC(シルポート号)
・12年 きさらぎ賞(ワールドエース号)


地方・園田競馬のトップジョッキーとして活躍。園田競馬に在籍していた頃にも、ローズキングダムの母であるローズバドでフィリーズレビューを制す。04年に中央に移籍すると、08年には桜花賞で涙のGⅠ制覇。 橋口弘次郎調教師の管理馬に騎乗する事が多く、所属こそしていないが、主戦騎手として活躍。なお、弟は元騎手で、現在は園田競馬の調教師の小牧毅師。