スプリンターズS・3着のドリームバレンチノが始動
2013/1/27(日)
加用正調教師
高松宮記念から逆算しての始動
－：シルクロードSを予定しているドリームバレンチノですが、スプリンタースSから半年ぐらいの休み明けになります。
加用正調教師：帰ってきたのが12月の中頃になるね。放牧に出す時から、ここに使うという予定にしていたからね。
－：あの馬自体は放牧明けよりも、2回ぐらい使った方が状態としては良くなるタイプですよね。
加：今の時期は体が絞れないからね。だから、それだけの分だと思うけれど。去年の夏場とか連勝して、函館スプリントSまで勝った時は結構、詰めて使ってたしね。距離の1200は合ってるんだけれど、京都の内回りの1200というのは、この馬はハナに行く馬じゃなくて差し馬だからね。休み明けもそうだし、見ていてハナに行く馬の方が有利だと思うよね。条件戦の時も負けているし。
－：先週にひと雨きて、内しか伸びなかった特殊な京都の芝コースが、若干イーブンで、内外関係なくなりつつある状況だと思うんですけれど、その面は良いんじゃないですか。
加：良馬場だと分が悪いよね。時計が速くなって、先行が有利になるから。この前みたいに馬場がちょっと緩くなったら、また違うかもしれない。
－：バレンチノ自体は緩くなっても対応ができるタイプですか。
加：良馬場でも苦にはならないと思うけれど……。やっぱり、前に行くスピードタイプの馬が、良馬場だったら残るケースが多いからね。
－：あと、函館ではロードカナロアを破っているじゃないですか？
加：まさかあの馬を負かすとは思わなかった。あの時は向こうが詰まっている間に(松山)弘平が上手いこと外に出して、先手先手で乗ったのが、功を奏したようなレースだったからね。
－：上手く立ち回って勝ったという見方もあるんだけれど、それが競馬の難しさですからね。その馬の能力だけでは勝てないというところが。
加：でも、展開のアヤというのもあるからね。紙一重の馬同士が戦った場合は。
－：このロードカナロアが香港(スプリント)まで勝って。
加：今まで香港スプリントは日本の馬は、コッチで強い馬でもことごとく良い結果が出なかったからね。今回は強い勝ち方をしたから、また高松宮記念で一緒に戦うことになると思うけれど、それまでに1、2回使って、良い状態で臨めたらなと思います。
－：G1から逆算して、ここから始動すると。
加：そうそう。
－：そういうことなんですけれど、先週、トラブルというか、寝違えて、打撲したというか……。
加：いや、そんなに大したことはないよ。その週に15－15ができたしね。
－：それを心配しているファンが多いと思うので、ちょっと触れさせて下さい。
加：心配するんだったら、今日だって併せ馬でこんなにできないから。今週、攻め馬を休んだんだったら心配だけれど、先週も週末にやっているし、今日だって併せ馬でビシッとやってるんだから、そんなのは別に心配いらないよ。
－：ちょっと腫れがあったから、追い日がズレたと捉えておいてよろしいですか。
加：使う週にそういうアクシデントだったら痛いけれど、まだ来週だから。先週の段階では今週も来週もあったからね。そんなのは別に。
－：能力が落ちるとかそういうことはないですね。
加：うん。ただ、やっぱり冬場で体重が、この前もまだ「10何キロ太い」と言うから、その分だけだわね。あとは1200の京都の内回りというのが、今までのこの馬の実績から、あまり良い感じじゃないからね。ましてや、内枠、外枠の差で、内に速い馬がいたら尚更、コッチの方が分が悪いと思うし。
－：でも、能力的にはみんな評価しているでしょうから。
加：でも、ここだけがレースじゃないし、春の初っ端、無事に走って、次に繋がるレースができれば。
ハンデと枠順には注目。理想は真ん中
－：この馬のお父さんのロージズインメイなんですけれど、結構、芝馬は珍しいのかなという印象があるんですけど。
加：どうなんだろうなあ。他のロージズインメイでも走っている芝馬はいると思うんだよね。
－：条件馬で中山や小倉のダートとかでよく見たり……。あまりポンと出てくるビッグネームがいないですね。
加：でも、お母さん(コスモヴァレンチ)が2戦目で重賞(小倉2歳S)を勝ったぐらいのスピードタイプだから、ロージズインメイが合っただけじゃなくて、お母さんの血が出ている部分も多いんじゃないかなと。
－：お母さんはどんな馬だったんですか？
加：結構、立派な大きい馬だったけどね。初戦でそれこそ、小倉の1000ｍで良い時計で走って、連闘で2歳Sを差して勝ってね。マイネルラヴの初年度産駒だから。
－：マイネルラヴというのはすごく気がキツいというか。
加：う～ん、まあ、お母さんはそういうところがあったけどね。
－：ドリームバレンチノはそういうところはあまり。
加：うん。この馬はそんなに競馬でガンガン引っ掛かる馬でもないし、普段も大人しいしね。そういうことを考えると、それが1400でも距離が持つんじゃないかと思うね。オープン(安土城S)を勝っているしね。
－：高松宮記念という大一番に向けて。
加：今度は昔と違って、中京は坂もあるし、直線も長いから、こういう短距離の差し馬には向いているんじゃないかなと思うね。京都のああいう内回りの1200よりはね。
－：例年、シルクロードSの直前に淀短距離Sがあるじゃないですか。先週あって、先生がおっしゃるようにアイラブリリが逃げ切ったんですけど、そこがリンクしないんですよね。淀短距離SとシルクロードSが。結構、差し馬が来る。時期が近いのにシルクロードSは結構、差し馬が来てますからね。
加：手堅く勝ちたいスピードタイプの馬はオープン特別の方に回るんじゃない。重賞なんかに使わないでね。
－：このクラスも結構、色んな馬がいますからね。
加：あとはハンデがどれぐらい課せられるかだね。
－：先生はどれぐらいで見積もっているのですか？
加：コレより上の馬を基準にして、ハンデキャッパーが決めるだろうから、ダッシャーゴーゴーとか、中尾さんのところのマジンプロスパーも重賞を勝っているから、あの辺がどれぐらい背負うか。あとはメンバーを見ればそれほど……。伸び盛りの軽ハンデの馬の方が怖いと思うけど。
－：もうちょっと内の馬場が荒れて、普通の馬場にならないと応援するコッチも内の馬場しか来れないというのでは……。
加：コッチは行く馬じゃないから、あまり内枠というのも包まれて出れないから。昔、ウチにリミットレスビッドという馬がいたけど、それもやっぱり行く馬じゃなくって、ちょっと脚を余して負けたというところがあったから。今回もあんまり内枠より、真ん中ぐらいの方が、この馬には合ってるんじゃないかと。乗り手もその方が、気が楽に乗れるんじゃない。
－：だからと言って、あんまり外は嫌ですよね。
加：うん。まあ、外は不利だもんね。短いところの距離ではね。
加用正調教師インタビュー(後半)
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■最近の主な重賞勝利 |
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夏休みにフジテレビで騎手の養成所があることを知り、衝動的に馬事公苑の教育科に連絡し、この世界を目指す。昭和44年から競馬に携わるも、昭和49年に瀬戸口勉厩舎に所属し、21歳の昭和51年に騎手デビュー。重賞30勝を含む559勝を挙げて引退。初勝利が特別戦のカクノヤシマで、思い出の馬は初重賞勝利のノトダイバー。忘れられないレースはレインボーアンバーの菊花賞2着、代打で勝ったダイタクヘリオスの高松宮杯。 |
