2歳女王ローブティサージュの本年緒戦!
2013/3/3(日)

須貝尚介調教師(S.R.S)
今後も重要なのは精神面のケア
-:阪神JFはおめでとうございました。レース後は2カ月ちょっとの休養明けになるんですけれど、この中間の状態はどうでしょうか。
須貝尚介調教師:良いリフレッシュができてるし、ノーザンファームしがらきでも一生懸命、手を掛けてくれて、良い状態で戻って来れました。まあ、1週前まではメニュー通りにこなしてくれているから。馬の状態も悪くないしね。
-:2カ月休ませていた間の変化は何かありますか。
尚:あまり大したものじゃないんだけれど、少し目に傷を負っていて、その時は運動だけになってたんです。でも、それは放牧に出て、すぐに発見できたので、何ら影響はないです。その後は普通に乗り込みができているのでね。
-:体が大きくなったとか、体重が増えたとかはありますか。
尚:プラス体重では行けると思うんだけど、見た目にそんなに変化はないと思います。ただ、動き自体は素軽くなっているね。ウォーエンブレムだから、ちょっと前向き過ぎる面を注意しながらやってきているんだけど、今の所は爆発的に悪い所が出てきているということはないからね。

-:ウォーエンブレム産駒の中には爆発的に……。
尚:悪くなって、後々の競馬に影響をして、あんまり上まで行けないタイプが多いんだけれど、そうならないように気を使いながらやらせてもらってます。
-:それ以前にウォーエンブレム自体が仔出しが良くないというか。
尚:血統背景が貴重な存在だから、せっかく2歳の時期でも勝ってG1を獲れたので、ここら辺で、もっと希少価値を高めてあげなきゃいけないなと思っています。
-:元々、ローブティサージュはオークスぐらいが一番良いのかなという見方をさせてもらっていたのですが。
尚:そういう固定観念はなしにして、今の時点で馬と相談してやっていかないといけないのでね。
-:それだけ早い時期に阪神JFで結果を出せたというのは、この馬の持っている能力の高さが……。
尚:能力が高いけれども、精神面でどれだけケアができるかに掛かってくると思う。やっぱり成長過程にしても、新馬を勝ってから札幌2歳Sを使うことはなかったんだけれども、あの時点では詰めて使いたくなかったというのが、正直なところで。それが良い結果に出てくれたのでね。
-:このまま良い結果を繋げるには精神的な成長と肉体的な成長が。
尚:平行線で見ながらやっていきたい。まだまだ、やっていない相手で強いのが出てくるみたいだから。それらと2歳の時のG1馬、女王なので、恥ずかしくない競馬をさせないといけないので。
馬も騎手も硬くならず自信を持って
-:今朝(2/20)の追い切りも見させていただいたんですけれど、そんなに時計的には?
尚:時計云々じゃないですね。動き自体はジャスタウェイをアオるぐらいで動いていたのでね。まあ、1週前としたら、これで良い雰囲気に持っていけそうな気がします。
-:来週の本追い切りがあるんですけど、当日の体重というのはどれぐらいで行けそうな見込みですか。
尚:ちょっとプラスで行きたいなと思っている。それは成長面があるから。


-:阪神JFを勝ったあのレースを振り返って、先生がこの馬の良さを改めて分かったことを教えて下さい。一番のセールスポイントというのは?
尚:秋山君もずっと乗っていて、この間は本当に絵に描いたように乗ってくれて、馬も絵に描いたように応えてくれてG1を勝った訳だけれど、距離に融通が利くし、その辺はこの馬の賢さを証明できたんじゃないかなと。
-:そういう賢い所というのはビッグレースに行って強みになると。
尚:当時の状態をキープできればね。ただ、天才と馬鹿は紙一重と言う言葉があるけれど、その天才的なレースの仕方が、馬鹿の方に行かないように調整をしていかないといけないね。今の所はそういうのは牧場も分かっているんで、こちらもそれを注意しながらやらしてもらっている状態です。今の所は天才の方が大きいから。
-:休み明けだけじゃなく、この先の桜花賞、オークスを見据えていかないといけないですからね。
尚:肉体的な体もそうだけど、そういう面よりも精神面を大切にしてあげたいかなという、女子だしね。
-:なるほど。そういう面ではある程度、ゆったりとしたローテーションで?
尚:だから、このレースは1600で同じ距離で同じ競馬場で、本番を見据えて使うことになるんだけど。
天才と馬鹿は紙一重と言う言葉があるけれど、その天才的なレースの仕方が、馬鹿の方に行かないように調整をしていかないといけないね。
-:この馬の走り方を見ているとやっぱり、良馬場でこそ良さが出る馬かなと。
尚:その辺はまだ、やってみないと分からないけれど、北海道の函館の深い洋芝で結果が出てるから。ただ、馬場が悪くなった時にその馬場を気にするかどうかという所に鍵がある。幾ら能力があって不良馬場に対応ができても、その不良馬場によって気持ちが失せて、全然、全く競馬をしていない馬も結構いるから。
ウチにもやっぱり、そういうのもいるし、そういうところを勉強しているから。だから、走る馬というのはどんな状況であれ、どんな馬場であれ、結果を出せるようにしていかなきゃいけないなと思うから。あの子はそういう所で、キャリアがまだ、薄いから、勉強する所が多々あるんじゃないかと思いますね。
-:厩舎はジャスタウェイとかオツウとか、ちょっと悔しいレースも続いてますんで、ここら辺りで……。
尚:まあまあ、それはその時の状況にもよるから。コレはあくまでも2歳の女王なんだから、それに恥じない競馬をして欲しいとは思います。
-:差して良い馬ですよね?
尚:自分でレースを作れるしね。ペース、距離、競馬場に合わせて、競馬ができると思う。まあ、勝っているコースだし。
-:今度はジュベナイルフィリーズの時よりも2歳女王というタイトルを持っているので、マークされたり、人気になったりもすると思うんですけれど、その辺りは重々承知の上で乗りきれると。
尚:それは秋山君も分かっているだろうし、自信を持って挑んで欲しいなと。馬も人間も硬くならず、フフフ(笑)。レースに挑んでくれたら良いんじゃないかな。
須貝尚介調教師インタビュー(後半)
「看板馬ゴールドシップも帰厩」などはコチラ→
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■重賞勝利
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父は定年により引退を迎えた須貝彦三 元・調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。 09年から厩舎を開業し、初年度は年間10勝だったが、年々勝ち星を伸ばし、昨年はゴールドシップ、ローブティサージュ、ジャスタウェイを筆頭に勝ち星を量産。先日はあの矢作芳人厩舎の記録を塗り替え、史上最速でJRA通算100勝を達成。一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。 「トレセンLIVE!」でコラムを掲載している榎本優也調教助手が在籍していることでも、競馬ラボではお馴染み。 |
