関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

横山和生騎手



横山典弘騎手のご子息として注目を集めたデビュー年が4勝。父が偉大であるが故に厳しい声も少なくなかった横山和生騎手だが、昨年よりメキメキと頭角を現し、3年目である本年度はブレイクといっても過言ではない成績を上げている。今夏は激戦区の函館滞在で腕を磨いているが、素質馬ルナをオープンまで導くなど、主戦としての手綱も定着してきた。デビューしてからの道程や現在の騎乗理論、父親との関係性など、少々答えにくいであろう質問にまで真摯に対応してくれた。

勝ち星激増中の原動力はルナ

-:それではよろしくお願いします。デビュー3年目で、初年度は4勝、2年目12勝、今年はもう既に19勝と勝ち星がどんどん伸びているじゃないですか。その理由についてはどうお考えですか?

横山和生騎手:初年度からいい馬に乗せてもらっていたんですけれど、自分の実力が全然足りていなかったんです。最近はやっとですけれど、人並みには乗れるようになったのかなと。まだ足りないところもたくさんあるんですけれども、最初の年も今になってみれば、勝てるレースもたくさんあったんです。いい馬にもたくさん乗せてもらっていたからね。

-:自身で過去のレースを振り返って、反省する点はどんな部分でしょうか?

和:今でもそうなんですけれど、レースの流れが見えていませんでしたし、特に初年度はゲートも上手く出られなくて……。そこだけじゃないんですけれど、特にその辺が酷かったです。減量を活かす競馬もできずにいたので。

-:去年が12勝で勝ち星を伸ばして、秋の福島で4勝。その時に今のルナ(牡4、美浦・杉浦厩舎)と出会ったんですね。

和:そうですね。その前に一緒に乗っているんですよね。僕がプレミアムタイムに乗って勝たせてもらった時、西村先輩が乗って2着だったんです。

-:その時の印象はどうだったんですか?

和:自分がプレミアムタイムに乗って“相手はあの馬だけだな”とやっぱり意識はしていました。次で自分が乗せてもらって3着だったんですけれど、まだその時は脆さが残るような感じだったので、500万でも半信半疑みたいなところがありましたね。

-:そのルナが今年に入って力をつけて。6戦4勝で3着2回。

和:それはたまたま、ルナのいい時に乗せてもらったからというだけです。

-:この前の漁火ステークスも上手く乗っていた印象があるのですが。

和:自分もこれだけ勝たせてもらっていますし、成績も良かったので、自信を持って乗れていることもひとつ大きな要因だと思うんです。

-:やっぱり、ああやって勝つことで自分自身にも自信がつくし、馬にも自信がつくということですかね?

和:馬は初めて跨った時と比べ物にならないくらい本当に成長していますし、あっという間に頼りになる相棒になりました。競馬は自分も自信を持って乗るようにしているんですけれど、馬も自信を持って走っているので、馬にも教えてもらいながらという感じですね。

-:人馬一体のコンビを目指すという感じですね。

和:なんというか、そんな感じでしょうか(笑)。



1番人気で破格の連対率

-:今年は(8/18終了時点)1番人気で(6-2-0-2)という抜群の成績を収めていますね。

和:いや、全然抜群じゃないですよ。

-:人気に対するプレッシャーは特に感じていないんですか?

和:その成績で「抜群」と言われても。ちょっと困っちゃいます。
人気がある方が多少は意識しますけれど、平常心で乗れるのが一番だと思うので、人気があってもなくても自分が“こうやろう”ということは特に変えるつもりはないです。“”人気があるからこう乗ろう、人気がないからああしよう”とかじゃなくて。人気があってもなくても、自分がこう乗ってみたいと思ったら、その乗り方は貫いているつもりです。“よくここまで1番人気の馬に乗せてもらっているな”と驚きと感謝の思いはあります。


-:騎乗スタイルは、勝つ時は大胆な先行策をとっているイメージですけれど、これは減量を活かして先行策がハマっているのか、それとも差しのコツみたいなのがまだ掴めていないのか、どうなんでしょう。

和:どうなんですかね。確かに競馬がしやすいというのは、やっぱり逃げや先行だと思います。後ろから来るというのは、仕掛けのタイミングだとか、もちろんそういう技量が必要なので難しいとは思いますし、自分はまだ勉強中の身なので。もちろん減量が活きているというのはあるんでしょうけれどね。逃げるといっても、単騎の逃げとか、番手につけたときに体感で“ここから仕掛けて引き離すんだな”とか、相手にとって厭らしい逃げ、そういったところは教えてくれなくても、一緒に乗っていれば大体わかるので。逃げ・先行は、簡単とは言えませんが、前に行ける限りはいい位置を取れたほうが、馬も競馬をしやすいですし。

-:やっぱり、2列目3列目のポジションは取りたいと。

和:そうですね。





-:今後もそのスタイルは極めていきたいでしょうか?前目につける競馬を。

和:減量はなくなっても、前目につけられれば修正も利きやすいですし。

-:もしくは、差しも含めて幅広い、オールマイティーな感じを目指していくのか。

和:どうでしょう。それは馬のスタイルですよね。小脚が使えないような馬はジッと構えて後ろから捌けるようになれればとは思うんです。まあ、行ける限りは行けた方がいいかなと。

-:今後減量が取れて、同じスタイルが貫けるかどうか、どう思いますか?

和:そこは、自分がこう乗ろうと思えば、貫けると思うので。貫けるかどうかと聞かれたら貫けると思います。

-:横山和生騎手といえば、やはり先行・逃げのイメージがあるんですけれど、それはルナの影響もあると思うんですよ。ルナ以外に、脚質が違う馬などで、乗っていていいと思う馬はいますか?

和:僕の立場からは、「どれがいいとかはちょっと」言えませんが、乗せてもらっている限りはもちろんどの馬でも頑張ろうとは思っています。過去の成績などを見て、好走している馬を見たら自分もそれなりに意識して乗ります。ルナも、よくここまで強くなってくれたなという馬なので。

函館フル参戦を振り返って

-:そして、今年は函館フル参戦です。ここまでを振り返ってどうですか?

和:上手く乗れたレースも多少はありますけれど、まだ上手く流れに乗りきれてなかったり、やっぱりその辺が自分にはあるんですよ。そこはちょっと物足りないかなと。勝てるレースがあったと思いますし、上の着順を目指せる競馬もあったんじゃないかと思います。

-:ご自身で自覚されている得意な条件、戦法はありますか?

和:やっぱりある程度、前目につけられたら、というのはありますね。ルナでもそうですけれど、そういう競馬をしてきたら自信もついたので。

-:極端な競馬じゃなくて、好位から進めてという。

和:条件は、短いよりは長い方が余裕があるので、得意じゃなくて、ただ好きですね。

-:やっぱり1000mとかだと、パッと行ったもん勝ちみたいなところがあるじゃないですか。

和:そうですね。ちょっと忙しいですしね。





-:函館ではアドバイスをくれる先輩はいらっしゃいますか?

和:四位さんなどですね。アドバイスというか、三浦先輩とかも競馬が終わった後に「こうすれば良かったな」とか言ってくれますし、聞けば、他の皆さんも教えてくれますからね。

-:そのアドバイスを今はどんどんどんどん吸収しているんですね。

和:そうですね。間違いなく、皆さんは自分より上手なので。

-:今、減量が△になったじゃないですか。減量が取れたら騎乗数が減る可能性がありますけれど、それに向けて、自身で意識されるところはあります?

和:競馬に乗っていてもいつもそうなんですけれど、あんまり焦っても良い事はないので、本当に自然体な感じで行くのが1番いいのかなと。もちろん、勝つ気で行きますし、出るレース出るレース、チャンスがあると思うので、そんなに焦らないで、勝てるところはしっかり勝てるようにしていきたいです。

-:取りこぼしをなくしていこうという。やっぱり取りこぼしてしまう時は一瞬の判断ミスがあったりするものですか?

和:それもありますし、大抵はスタートした時点で決まっています。勝つというのは難しいことですけれど、終わってから、寝る前の布団の中で“ああすれば良かったんじゃないかな、こうすれば良かったんじゃないかな”って考える事がたくさんありますね。

横山和生騎手インタビュー(後半)
「息子から見る横山典弘騎手とは!?」はコチラ→

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【横山 和生】Kazuo Yokoyama

1993年 茨城県出身。
2011年 勢司和浩厩舎所属でデビュー。
JRA初騎乗
11年3月5日 2回中山3日1R ディアアルジャン
JRA初勝利
11年4月30日 1回新潟3日7R ローレルカンタータ


父はJRA騎手の横山典弘。伯父は元騎手でJRA競馬学校教官の横山賀一氏や菊沢隆徳調教師、祖父は元騎手の横山富雄氏、伯祖父は元調教師の奥平真治氏という超がつく競馬家系。幼いころから父を見て騎手を目指し、中学卒業後に競馬学校に入学。競馬学校騎手課程第27期生としてデビュー、1954年のJRA発足後初の親子3代よる騎手デビューとなった。嶋田純次騎手や杉原誠人騎手らが同期。デビュー同日の2鞍目で父子対決が実現し、この時はゴールデンファストに騎乗して6着。典弘騎手はパヤドールに騎乗して3着だった。デビュー3年目を迎え、騎乗数、勝鞍ともに激増している若手のホープ。