ロードカナロア、連覇の舞台裏、そしてラストランへ
2013/10/20(日)
前哨戦セントウルSで敗れたにも拘わらず、本番のスプリンターズSでは当時を上回る支持(単勝1.3倍)を受けて連覇を成し遂げたロードカナロア。しかし、レース後に「負ければ引退」という背水の陣であったことが報道され、改めてその勝負強さと陣営の執念が浮き彫りになった。有終の美に向けてまだまだ油断は許されないところだが、お馴染みの安田翔伍調教助手が、連覇の喜びと見据えた引退レースに向けての覚悟を語ってくれた。
スプリンターズS連覇を振り返って
-:スプリンターズSではロードカナロア(牡5、栗東・安田厩舎)が圧倒的な人気を背負っての勝利、おめでとうございます。
安田翔伍調教助手:ありがとうございます。
-:スタートから振り返っていただきたいです。
翔:枠順発表前から、どの枠が良いというのはなかったです。高松宮記念の時もそう思ったのですが、今回ゲートの癖が悪い馬がいて、その横は避けたい、と思っていました。今回もレースに対しての注文もなかったですし、スムーズな競馬さえすればいい、というのもあって、周りにそれができる環境さえ整えば良いな、と思っていたんです。競馬に関しては僕らはどうこう言えないですけれど、戦前に目に見える面では、枠の並びは気になりましたね。
高松宮の時も枠の並びを気にしていて、そこだけが課題だな、と思ったら「ゲートの駐立が悪い中でずっと気を遣っていた」と言いますし、それで怖がりながら、力んだ時にスタートをして、トモをスベらせて脚を引っ掛けてきたりするので……。そういうのがあっても、上手くリカバリーをしてくれましたけどね。スタートに関しては心配が当たってしまったなと。
-:レースをライヴで見られていた時はヒヤッとしましたか?
翔:関係者のスタンドからはターフビジョンしか見えないんですけど、西日がすごくて、角度もちょっと付いているから見えにくいんですよね。(出遅れた馬が)何か白っぽい勝負服に見えたと思ったけど、画面が切り替わった時には先行集団の後ろにいたから、違ったのかなと。“でも白い勝負服は他にいないよ”なと思って。それでパトロールを見たら、やっぱり……。
-:両サイドから結構、来られている感じでしたものね。
翔:そうですね。
-:それでも良かったのは、先行争いの時にハクサンムーンが先に行って、フォーエバーマークがちょっと控えたじゃないですか。それがロードカナロアにどう関係しているかと言ったら、そんなメチャクチャ常識外れのハイペースにはならなかったので。
翔:いや、スタートを出ていても、今はあのポジションにいけますし、出るに越したことはないんですよね。あのゲートは不安が的中。出るに越したことには全然ないので。
-:そう言った面では、ちょっとヒヤッとしたスタートを上手くリカバーしましたね。
翔:二の脚の速さと能力でカバーしてくれたなと。
-:その後は危なげのない、いつもの競馬でした。
翔:競馬に関しては本当に、岩田さんも馬の能力をしっかりと引き出して、スタートのマイナスをカバーしてくれましたし、見ていて安心だったんですけれど、パトロールで振り返ったら、やっぱりだいぶリズムが崩れていますね。ゲートでリズムを崩して、ずっと右手前でしたし、外回りから内回りに合流する100mちょっとの直線があって、そのコーナー手前でちょっと左に戻しただけで、またすぐに右手前になってて、直線まで、ほとんど右手前で来ちゃってて。馬も戸惑いながらの走りで、考えることなく終わっちゃったという感じでしたね。
-:着差以上に強い内容だったということですね。
翔:そういう内容であったからこそ、レース後の疲労というのはほとんどなかったですし、今までで一番良いかもしれないぐらい、レース後の上がりの息の入り具合でしたからね。
-:セントウルSの時には若干、疲れも?
翔:疲れはなかったですけれど、並の息の入りだなと。
-:それよりも楽であったと?
翔:全然、比べ物にならないです。
-:やっぱりその分、使った効果というのがありましたか?
翔:効果は見られましたね。
岩田騎手がパフォーマンスを自粛
-:そういえば、岩田騎手からはいつものパフォーマンスが見られませんでしたね。
翔:「安田記念は、完璧に自分の馬だけじゃなくて、周りの馬も見て乗れた」と言っていたんですけれど「今回に関しては馬の能力だけで勝たせてもらった」と。
-:それはスタートが一番のポイントだったのでしょうか?
翔:スタートは別に岩田さんが悪い訳じゃないですけれど、それをリカバリーして、そこから馬も慌てながら走って、空回りしているのを、ちょっと気にされていました。
-:岩田ジョッキーとしては感じていた訳ですか?
翔:はい。馬は行ってるけれど、スカスカのままだったのでしょう?
-:腰が入っていないような状態で?
翔:直線に向いて、本当に坂あたりでグイッと来たぐらいで。高松宮記念の時は、「あの位置から競馬をしたいけど、無理やろな」という話をしていたんですよ。スタートも速いし、二の脚も。香港である程度、ケンカをして、タメるという競馬を理解しているから。例え、前走で1400を使ったとしても、1200だったら中団より後ろぐらいで競馬ができたら良いけれど、まずは無理やろなと。結果的に出遅れたことで、思っていた通りの競馬ができたので。今回に関しては甘く行ったのが、何となく勝っちゃった感じだったという。
-:それが若干、馬に申し訳ないという感じでオーバーアクションをしなかったと?
翔:そうじゃないですかね。「大人しいですね、今日」と言ったら「何もしてへんもん、俺」って。
-:カナロアに勝たせてもらったという気持ちが強かったのでしょうね。
翔:乗り方が悪いどうこうより、やっぱりリズムが狂ったら、能力を出すのは難しいんだなと。
-:でも、勝つと。それがスゴいですよね。
翔:はい、本当に。
-:特に短距離戦なんか、1個でも狂ったら……。
翔:致命傷ですからね。
ロードカナロアの安田翔伍調教助手インタビュー(後半)
「次のローテ=引退レースについて」はコチラ⇒
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