元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ネクストレベル
2023/6/8(木)
皆様、こんにちは!一気に梅雨入りとなった最近は不安定な天気が続いていますね。今週も降ったり止んだりと読めない天気だけに、競馬の事前予想が難しくなる季節となりましたね。野球ではドームがあり雨天でも問題なく試合をしていることから、ドーム競馬場ができないのかなと思ってしまいますね(笑)。そんなドームでも大阪ドームで宝塚記念を盛り上げようと池添謙一君が始球式に挑みました。残念ながらワンバウンド送球となってしまいましたが、多いに盛り上がったかなと思います。その試合では我が巨人軍が見事な勝利を挙げ、非常にめでたい試合となりました。
先週は東京連続G1の最後を飾る安田記念が行われ、ヴィクトリアマイルに続きソングラインが見事な勝利を挙げました。戦前、牝馬の中2週というハードスケジュールで、昨年はヴィクトリアマイルで走り切らなったことが安田記念の勝因と見ていましたが、想像以上の馬だったと思わされた走りでした。聞くところによるとソングラインは飼い葉食いが旺盛らしく、ハードなトレーニングをしてもモリモリと食べてくれる、まるで牡馬のようだと聞きました。この食欲とトレーニングのバランスが素晴らしかったからこそ、中2週でも問題なく走り切れたのでしょう。
豪華なメンバーが揃う中、ウインカーネリアンが積極的なレースを組み立てました。逃げながら駆け引きを打とうとするも、2番手にジャックドールやソダシと周りのプレッシャーを受ける形に。感覚としては少し遅く、これは切れ脚の勝負になるかもしれないと思ってみていた4コーナー。一瞬カフェファラオがやってくれるのかと思った矢先、内からセリフォスが一気に来るも、外から自信満々に戸崎君とソングラインがキレキレの切れ味で全てを抜き去り連覇の勝利を挙げました。調教にも数多く跨り、状態がもう一段階上がったことを感じていたからこそできた騎乗。その調教に応じて飼い葉を上手く調整した厩舎もまた素晴らしかったなと思います。
2着にセリフォス、3着にシュネルマイスター、ガイアフォースと続きました。この中でもガイアフォースには可能性を感じましたね。距離としては1800mがベスト、騎乗した西村淳君とも手が合っているように見えましたし、どこかで大きなレースを勝ってくれると思います。日本にも1800mや1400mのG1ができてくれたらいいのになとこういう馬を見ると思ってしまいます。とうとう次のレベルに到達したソングラインがどこまで勝ち上がっていけるか、そしてガイアフォースのような路線変更が吉と出た馬など、今後の楽しみが増えたレースになりました。
今週からは多くのホースマンたちが大好きな函館競馬が始まります。東京、阪神、函館の開催になり、日曜日には東京でエプソムC、函館では函館スプリントSが開催されます。函館スプリントSと言えば軽量馬がチャンスを活かすことが多いレースなので、今回はやっとスプリント路線に戻ってきてくれたかと思っている一頭を本命に推したいです。それはブトンドールになります。
本来ならばこれまでのレースでもスプリントを走っていれば自信満々に推奨したかったのですが、前走が桜花賞だっただけにまずはリセットできていればと思います。ここでは負けたくないトウシンマカオや前走惜敗は相手が悪かっただけのキミワクイーンなどもいます。そこにウォーターナビレラなども絡んでくると面白い馬券になるのではないでしょうか。是非、函館観光と共に競馬場で観戦してください。イカール星人も待っているはずです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。