'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月4日時点1555勝
恩師に捧げるリーディング獲得!移籍2年目の飛躍を語る
2015/1/12(月)
目標のライアン・ムーアと食事会
-:先の新しいモノというコメントが出ましたが、何新たに感じた部分はありましたか?
圭太:乗り方ですか? う~ん、競馬は難しいなと。日々過ごしているレースを、数乗っていけばいくほど、難しくなっていくというのが競馬ですかね。
-:1年目と違って、例えば2歳戦のサイクルとかも、1年を通して去年の夏から今年のダービーとか菊花賞に至るまで、そのサイクルも感じられる部分があったと思いますし、例えば今年だったら中山が改修して長いこと新潟でやったりだとか、芝の傷みとか、あとは新しくなって改修された中山の芝とか、条件だけ言っても地方で乗っている時よりは、そういったコースの条件とかも、そういったことももちろん経験になる訳ですよね。
圭太:そうですね。
-:外国人騎手も頻繁に来るようになりますし、そういったことも一つ一つが経験になる訳ですね。その中では、敬愛するライアン・ムーアさんとは騎乗談義をされたのですか?
圭太:ハイ。しましたね。食事も一緒に行きました。
-:何か明かせるポイントというのはありますか?
圭太:う~ん、各国の競馬の印象を教えてくれて、貴重な経験でしたね。例えば、香港はジョッキー同士が勝たせないようにレースをするんですって。自分が勝たなくても良いから、有力馬を勝たせないようにやるらしくて、ヨーロッパは他馬に関係なく、自分の馬が5着でも6着でも勝てないと思っていても、一生懸命だと。一つでも前に、賞金を獲ることを目標にしていると。
マネ: だから、スローペースになるし、上がり勝負になると。自分に有利になるように。
圭太:僕はムーアが世界一だと思っているからね。良い機会でしたよ。
-:そのムーアさんから見て、戸崎さんはどういう評価だったんですか?
圭太:聞いたら「まだ、あんまり一緒に乗ったことがないから分かんない」って(笑)。
今年のベストレース・ワーストレース
そして、見本となる騎手に
そして、見本となる騎手に
-:こういう質問はなかなかしませんでしたが、一年のベストレース、ワーストレースはありますか?
圭太:ベストレースは、やっぱり有馬記念のジェンティルドンナですね。
-:もちろんポジション取りとか、追い出すタイミングとかは、勝つんだったらああいう形かなと思っていました。
圭太:競馬というのは、なかなか思っていても出来ないことだと思うので、それが出来たというのも、馬が強いから出来ることもありますし、イメージ通りに乗れたというのは凄く良かったなと思いますね。ワーストレースは数多くありますからね、ヘヘヘ。
-:ワースト過ぎる。
圭太:そうですねぇ。僕は内に包まれて、上手く進路を捌けないことが多々あるのですが、あれは凄く心残りというか、悔いが残るなとは思っていまして、新潟でのケイアイチョウサンだったり、この間の中山でも未勝利でしたが、鹿戸厩舎のエッケザックスは全然馬ナリでしたし。
-:東京でのダークシャドウや宝塚記念のホッコーブレーヴなんかもそうですか?
圭太:でも、ダークシャドウの時のように、最後は進路が空いたりというのがあるのでね。ずっと進路がどこも空かずに馬ナリということがあるので。本当に何もせず終わってしまったというのが凄く歯痒いんで。
-:ただ、そこを諦めたら、言うならばロスのある、すぐに外に出す騎手になっちゃいますし、それはそれでしょうがないのかなと。
圭太:そうですね。しょうがない部分も少なからずあると思いますが、見た目も最悪ですし、力は出せずに終わっている訳ですから、どうにか対処出来たことと思って、それは反省しなきゃいけないし、ワーストレースは一つというのは挙げれないですが、そういうのは多々あって悔しい思いをしているな、というのは多いですね。
-:やっぱり日本の競馬は、詰まることをけっこう言われるじゃないですか。なおかつスローペースだったりすると、タイムで見る人も多いから、何やかんやと言う人も多い訳じゃないですか。その割には、外国の競馬が良いという意見もある。僕も普段、海外の競馬ばっかり見ている訳じゃないですが、向こうの方がもっとスローだし、もっと馬群が固まっていることを考えたら、おそらく向こうなんてそういうのが平気である訳じゃないですか?
圭太:ただ、海外はある程度ラフというか、強引なところもまた違いますからね。そこは、日本の競馬ですからフェアに乗りたいし、強引過ぎるのも良くないと思いますので、それはそれでしょうがない部分も。だからこそ、どこかで他の対処をしなきゃいけないです。それに今年は少し過怠金が多いのも反省点で、そこももっと気を付けなければいけないなと思いますね。
-:今年は2014年シーズンを終えて、すぐに新年の競馬が始まります。1年を振り返っての総括があればお願いします。
圭太:今年は、昨日の有馬記念も勝てて、有馬記念は大きかったなとは改めて感じますし、リーディングも獲れて、G1も獲れて、最後良ければ全て良しと、何か幸せを感じますね。こういう結果というのは自分1人じゃ出来ないので、こうなるといつも思いますが、改めて家族だったり、バレット(マネージャー)やエージェント、厩舎スタッフ、オーナーさん、応援してくれる人、ファンだったり身内だったり、そういう支えがあって、こういう自分があるなと改めて感じるので、感謝したいなと思いますね。あとは川島先生にも良い報告が出来ますし、それも良かったなと思いますね。
-:墓前にも報告にいかないといけませんね。
圭太:明日行ってきます。やっぱりそれはすぐに報告しないとね。
-:技術的な面では変化は出てきますか?
圭太:まだまだ甘い部分があると思うんですが、意識しながらちょっとずつ変えていこうかなという意識はあります。フォームも変えたわけではありませんが、まあまあ違うのかな、という感じはします。一時期よりは。
-:そして、来年に向けての目標をお願いします。
圭太:リーディングトップとしての騎乗であったり、態度であったり、みんなから見本となる騎手になりたいなというのは思いますね。トップになった以上は、人間的にもみんなから見本となる騎手になりたいなと思います。競馬としては、出来るだけミスなく、ファンからも納得される競馬を出来たら良いなと思いますね。全部が全部上手くいくということはないと思いますが、ミスを少なくしていければなと思いますね。
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。