'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月25日時点1561勝
世界の名手・ムーアとの交流も 読者とのQ&Aコーナー
2015/1/30(金)
圭太:まずは、その馬の特徴を掴むことですかね。コミュニケーションを取るというか。乗る前に映像を視てイメージを湧かせておいて、パドックで跨った瞬間にどんな性格かというのを、感じ取りながら返し馬に行って、そのフットワークでこういう走りが良いな、と確認します。順序はそんな感じですね。
-:レース映像自体はどれぐらい視るのですか?
圭太:結果を出した時の映像と、最近の映像、という感じですかね。けれども、新馬戦はなるべく見ないようにします。
-:へえ、それはどういう意図なんですか?
圭太:馬は何も分かっていない状態ですからね。それを視ちゃうと……。あまり必要ないというか、2回目からはその馬の本性というか、癖とかが出てきたりすると思うので。1回使って、その変わり身もあるんでね。
-:「馬具についてお聞かせください。ステッキなどで拘りはありますか?」
圭太:ああ、それはありますね。ステッキなんかは。軽くて、細くて、先だけがある、という感じかな。それになってからは長いですね。10年近くになるんじゃないですか。
-:それだけ長く使っていると、同じ仕入れ先じゃないですけど、同じスタイルのものというのはちゃんと売り続けられているものなんですか?
圭太:というのも、特注ですからね。
-:他のジョッキーとの形状の違いというのは、どういったところに出てくるものなんですか?
圭太:色々ですよ。重かったり、硬かったり、太かったり、点々バラバラで。
-:軽さに拘ったのはどういう理由で。
圭太:僕は振りやすさかな。そして、細い方が握りやすい。
-:材質とかも人によって変わってきたりしますか?
マネ:使っている物によるんじゃないのかな。先っぽの重さを変えることで、しなりが変わってくるし。あとは厚みですか。グラスファイバは柔らかさあたりをそれで調整していると思います。
圭太:けっこう精巧に作られているんじゃないですか。僕はもう決めちゃっているというか、基本一緒なんで、全然最近は考えたことはないですけどね。それに決めてしまっているので、他の人のも注目したことがなかったです。
-:ゴール前写真なんかを見ていると、凄く柔らかくしなっているムチもたまに見掛けますね。
圭太:僕のは凄くしなるやつですね。
マネ:そんな柔らかくないよね。硬めと言っちゃ硬めかな。
圭太:俺の?柔らかいよ、あれ。先だけが柔らかいから、硬いと思うかもしれないけど、振ってたら全然柔らかい方だよ。あんまり威力なんかないくらい。
-:叩き方でも、人それぞれ効果や意図もあるんですね。
マネ:ゴルフのドライバーと一緒ですよ。人によってシャフトの軟らかさが違ったりだとか、振るスピードにもよるし、振り方とか角度もある。
-:ちなみに1本おいくらなんでしょうか?
マネ:海外の既製品だと今だったら1万くらい?日本のやつはみんな手作りだけに高いですね。
-:軽いのを打った方が反応が良いとか、重いのを打った方が反応が良いとか、そういう差があるものなのですか?
圭太:う~ん、あんまり大して考えたことはないですね。
-:ステッキだと、周りともそういう話をするレベルでもないということですね。
圭太:そう思いますけどね。言っても、「副扶助」ですからね。カッコ良いことを言えば。
-:カッコいいかはともかく(汗)、微々たる差の問題ということですね。
圭太:そうそう(笑)。
-:「主なお金の使い道はなんですか?」という話が来ていましたが?
圭太:それは色々だよね。主にはマンションのローンと税金のために働いています?
-:「あるサイトにて馬主の池谷さんとやり取りをさせていただいたのですが、その際、戸崎さんは馬に畏敬の念を持って接する方だと褒めていました。馬に対して、どのように騎乗したり接したりしているのでしょうか?」珍しい質問も来ておりました。
圭太:まあ、基本そうですね。レース前に愛撫するのも、その形で無事にかえってこようね、みたいな感じでやっていますからね。
-:一昨年はサーストンニュースでレース中の故障も経験しましたが、あまり(レースで)乗っていて故障したというのはないんですかね。
圭太:(昨年は)なかったんじゃないかな。でも、一昨年は2回くらいあったか。京都か阪神でもあったような。
-:そして、アデイインザライフ(牡4、美浦・鈴木康厩舎)などで知られる池谷オーナーとは、そんな話をされたんですか?
圭太:いやいや、していないですよ。
-:では、最後に。「今、乗馬を始めたばかりです。競走馬とは違うと思いますが、馬と接する上で気を付けていることはありますか?」
圭太:馬の気持ちを察してやることですね。それに尽きると思いますよ?
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。