'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
毎日王冠のダノンザキッドなど3日間開催は東京で騎乗!
2022/10/7(金)
今週から東京開催がスタート!3日間開催となる今週は東西を合わせても最多タイの騎乗依頼を受けており、目前に迫った年間100勝の節目に到達する可能性もあるだろう。また、メインレースでは関西の素質馬に騎乗予定。先々にも繋がる好結果を期待したい。
日曜・月曜とメインレースは安田隆行厩舎とのコンビ
——今週から東京に舞台は替わりますが、3日競馬で計28鞍の騎乗ということですね。いつもの通り、騎乗経験のある馬から伺えればと思いますが、今週は騎乗経験のある馬も多いのでサッと伺っていくことになりますが、よろしくお願いします。土曜のスペンサーバローズとショウミーザマネーは同じ蛯名厩舎の管理馬で、スペンサーバローズは前走後、「ダート」という話通りのレース選択です。
スペンサーバローズは新馬の追い切りから動きは悪くなく、実戦で案外だったのが意外だったほど。それだけにダート替わりで変わってほしいですね。気性的にも問題はなかったので、前走に関しては首をかしげる内容でした。ショウミ―ザマネーは追い切りではスムーズに動けていましたし、乗り味もマズマズだと感じました。
——ホウオウバリスタは引き続きダートの長丁場になりますね。
段々使っていく毎にハミ取りが怪しくなってきているのですが、終いは確実です。条件替わりでも対応してくれそうです。脚抜きのいい馬場も合うイメージがありますよ。
——バトルクライはユニコーンSでも上位、自ずと注目を集めそうです。
少し間隔が開いた分がどう出るか、というところですが、成長してくれていることを期待しています。自分から競馬を作れるタイプではありませんし、流れには左右されるかと思うので、そこの助けもあってほしいです。
——サウジアラビアRC(G3)ではシルヴァーデュークに騎乗されますが、テン乗りになります。
映像を見る限り、スタートセンスは良さそうですね。良い位置で運べられそうですし、能力を引き出せればと思います。
——マイネルシトラスは以前から適性を強調していた東京に替わりますね。
以前よりも1200mの距離にも対応してきたので、その分、いまは東京がどうかなと思いますし、夏から使ってきた疲れも気になるところです。ただ、本質的には合う条件だと思っていますから、その点に期待しています。
——日曜のマイショウチャン、メタルスピードは未勝利馬ですが、継続騎乗されます。
マイショウチャンは前走でダートをこなしてくれたものの、忙しさも感じたので条件替わりは良さそうです。メタルスピードはレースが上手でも、追ってからの反応からも背腰の反応がまだまだ物足りない点がどう出るか、ですね。
——エリカコレクトは初ダートのタイミングで乗られて勝った馬ですね。
その後の結果を見ると、意外なところですが、もしかすると馬場とかもあるのかもしれないですね。
——脚抜きのいい馬場が合わないと?
でも、前から言っている通り、自分としてはパサパサのダートは好きじゃないんです。やっぱり走れる馬が限られてしまいますからね。脚抜きのいい方が好きだから、あまりそうも思わないのですが(笑)、それだけに昇級後が案外な印象です。やれて良さそうな馬でしたが。
——今回は試金石ですね。ビジュノワールやファロロジーは以前も乗られていた馬ですね。
ビジュノワールは中山の時に折り合いの難しさを感じたので、そこには気を付けたいところ。ファロロジーはハマった時の末脚の良さは持ち味です。まだ成長の余地を感じたので、夏以来の競馬で成長に期待しています。ただ、どちらも道悪になるとマイナスかと思います。
——ロンコーネは中間の追い切りに2度乗られる珍しいケースですね。
精神的な面も成長を感じますし、状態的にも順調そうです。このクラスに入ってくると忙しさも感じたので、あとは現状でどこまでやれるか、というところです。
——ジョンソンテソーロの前走は強い内容でした。
いい勝ち方をしてくれましたね!精神的に不安定な面はありそうですが、あれなら昇級して通用して良さそうです。ただ、ダートでああいう脚質のタイプはムラ駆けの面もあるので、そこが力通りに走ってくれるか、です。
——月曜のシーズンリッチは新馬戦で騎乗されました。
ワンペースなところもありましたし、一度使ったことで成長や上積みがあると良いですね。新馬はスローでもあったので、もう少し常識的なペースの方が走り易そうです。
——アマレロフレイバーはいかがでしょうか。
まだ背腰に弱さを感じるので、レースに行った時にもう少しシッカリしてきてくれればと思います。
——ヴェールアンレーヴは春に未勝利を勝った馬です。
正直、もう少しパワーがついて欲しいと感じました。勝ち上がりが遅かった分は今後、成長でカバーしてほしいです。
——ブレークアップはここのところ安定していますね。
長い距離でどこまで粘れるか、というタイプ。馬場が多少渋ってもこなせるでしょうし、今回も粘りを見せて欲しいです。
——毎日王冠(G2)のダノンザキッドはテン乗りになります。
新馬戦が強かった印象があって、その後の活躍も納得。G1でも好走歴がありますし、ポテンシャルなら通用しても、と思います。あとは時計が掛かる馬場は良さそうですが、道悪はどうかな、という印象も受けます。
——グリーンチャンネルCにはデシエルトで臨まれますが、こちらも安田隆行厩舎の管理馬です。
ダートでも、芝でもいい走りをしていますし、この条件も合いそうですね。
7勝の中山開催 東京で巻き返しを
——先週のレースではキントリヒで勝たれました。
ペース的にも向いてくれたところはありましたが、精神的にも多少なりとも成長は見られました。最後の脚は良かったですが、まだ抜け出して遊んでいるところもあるので、成長してほしい思いもありますね。
——2着馬が猛追。上手く追い出しをフタしていなければ、というところでした。
吉田豊さんにも「マークしていたんだけどな」的なことは言われましたね。
——ヴァンヌはペースこそそこまでですが、前走よりは内容が良くなったのかと思います。
行きっぷりからも上積みは感じられましたが、いい形ながらもうひと押しというところ。成長してほしいですね。
——ケイサンフリーゼは中山開催の馬場的にはあれでも残れる状態とはいえ、ペースが速い中で押し切りました。
外から来られて厳しくなりましたけど、よく凌いでくれました。いいスピードがありますね。
——1200mに続けて使われていましたが、適性はどう感じられましたか。
ただ、距離よりも今後はモマれても対応できるようにして行った方がいいのかな、とは感じましたね。
——中山は芝も内有利ということからも、ヒメノカリスは番手につけられたのは良かったと思いましたが、勝負所から全く見せ場がなかったですね。
レースに全く集中していなかったですね。スタートでいい位置はとれたのですが、ちょっと立て直しが必要じゃないかと感じました。
——ゴールデンハインドは相当なスローでしたが、勝ち馬は着差以上の差があったように感じました。
逃げはしたものの、終始モノ見をしながらの走り。タフさはあるのですが、色々な意味で成長してほしいです。
——アーサーテソーロはどうでしょうか。
返し馬からテンションの高さがありました。落ち着かせようと努力しましたが、ゲートに入ってからも興奮していましたし、いわゆるガス抜きが必要な状態でしたね。
——サンタアナテソーロは惜しい内容が続きました。
いいスピードはみせてくれていますし、徐々に力をつけていってほしいです。
——あくまで自分の意見ですが、中山開催はちょっとラインナップ的にも夏よりは落ちるかなという印象がありましたが、開催を通じてどうでしたか。
そういう面はあったかもしれませんけど、プロだけにあれこれ言っても与えられた中でやらないといけませんからね。自分としては、内容は悪くなかったと思います。ただ、開催通じて丹内(祐次)は目立っていましたが、他はまんべんなく勝っていたのかなという印象です。今週は楽しみな存在もいますし、勝ち星的にも巻き返していきたいです!
——先週の凱旋門賞(G1)はどう感じられましたか。
やっぱり直前の大雨が日本勢にはこたえてしまったのかなと思いました。だからと言って、日本で道悪が上手い馬が行けば通用するかといえば、そうでもないように感じました。今年は下馬評的にも混戦とも言われていましたし、チャンスはあったのかなと思いましたが……。
——次週は秋華賞(G1)にも騎乗とのこと。久々に阪神での騎乗ですね。また改めてよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
※次回は10月14日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。