これまで競馬ラボでは安藤勝己と現役トップジョッキーによる騎乗討論、現役馬主とのコラボで競馬会への提言などをお届けしてきたが、この度はみやこSを制し、チャンピオンズCにロワジャルダンを送り込む戸田博文調教師との特別対談が実現。両人は安藤の現役時代から知る人ぞ知る名コンビでトークの相性も抜群。目からうろこが落ちるとはこの事、競馬ラボだからこそ実現できたコラボレーションで、初公開の逸話をお届けする。

安藤勝己×戸田博文 破格の実績を誇る隠れた名コンビ

-:本日はよろしくお願いします。こうやって戸田先生と安藤さんがお会いするのは久しぶりですか?

戸田博文調教師:競馬場ではよく会いますけどね。すれ違ったりして、いつも声を掛けてくれるので。

-:現役時代の戸田厩舎と安藤さんのコンビから振り返りたいのですけれど、2002年に初めて乗られて、そこから68戦騎乗しています。勝率が23.5%、連対率が32.4%、複勝率が44.1%とすごい成績を残されています。

戸:数は乗っていなかったけど、頼りになりましたね。

安藤勝己元騎手:いつも良い時に乗せてくれるという、良いイメージがあったね。

戸:ここ一番で頼れるというか、ここは安藤さんしかいないだろうというね。ただ、悲しいかな、関東と関西でなかなか上手く噛み合わなかったり、そこが大きかっんですね。今聞いて、その割には上手く乗ってもらっていたんだなと思って。ウチのスタッフなんかも、ここ一発の時は安藤さんに乗ってもらうとみんな喜ぶし、頼れる人でしたよね。

対談

-:初めてお会いした時の印象など、お互いに覚えていたりしますか?

安:オレは覚えてないな。

戸:どっちかと言うと、乗ってもらったことよりも、安藤さんが大井の早田秀治さんと同期で仲が良かったですからね。僕も大井に知り合いの調教師とか一杯いるので、こちらが暇な時には大井によく顔を出したりとかしている仲で、早田秀治さんを紹介されて、食事をしたりと仲良くなって、いつも安藤さんの話を聞かされたりとか、その後は安藤さんも秀治さんも交えて、みんなでご飯を食べたり、お酒を飲んだりしたこともあるのですが、それ以前に安藤さんと秀治さんとは年中ね。

安:だからね、正直最初からしゃべりやすいというか、そういう秀治を通じた縁もあったから。

戸:秀治さんにも最初の頃は交流でちょくちょく乗ってもらったりしていたので。やっぱり古い競馬ファンだったら、早田秀治さんだって交流の重賞を勝ったりして、人気のあるジョッキーですからね。そんな縁で仲良くさせてもらっていて、安藤さんとも繋がって、という流れでよそよそしいというよりは何となく自然にそうなりましたね。

安:そういう部分で、最初から初めて会ったという印象がないからね。先生からも、すごく親しみやすくしゃべってくれたので、良い意味であんまり印象がないですね。自然に溶け込めるというか。

戸:何だかんだ言って、ウチはキストゥヘヴンですね。あの時(未勝利戦勝ち)はどうしてもそこを勝たせて、強行でもフラワーCに行きたいというのがあって、ここはもう安藤さんに一発頼むしかないと。新馬から東京のダートを含めて3回使ってダメだったのですが、そこから時間を計って、そこならギリギリ入るだろうと。中1週になるけど、勝てばフラワーCに間に合うなというので行くしかないと。その当時、エージェントをやられていた井上君に「重賞で騎乗があって、中山に来ないか?」と言ったら「来る」というので、「じゃあここはどうしても空けてくれ」と頼んで乗ってもらったのです。やっぱりあの勝ちがあるから、桜花賞も勝たせてもらったので。

あの時は今みたいに権利とかなかったと思うんですよね。もしかしてギリギリ入るか入らないかというのが、何だかんだ言って印象深い。そこでキッチリ勝ってくれたというのが。確かに桜花賞で勝ってもらった時もすごく嬉しかったですが、あの未勝利戦での勝ちはもっと忘れられないですね。そこがなかったら全てない訳ですから。


安藤勝己×戸田博文「名馬は一日にして成らず」(第2章)
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