第2章:年内残り3ヶ月を湧かせる現役馬たち
2016/10/2(日)
-:2歳といえば、タイセイブレーク(牡2、栗東・浜田厩舎)が夏前にいい勝ち方をみせてくれましたね。
田:そうですね。新馬を勝って「それだけの素質がある馬なので、先のことも考えて、暑い夏はずっと休んで、秋に備えたい」と。(浜田)先生の進言に従い、夏は休養に充て、10月16日のもみじS(京都芝1400m)があるので、そこを目標に少し前に入厩しましたね。そこを使って良い競馬をすれば、おそらく京王杯(2歳S)か……。ただ、その結果次第ですよね。先生は新馬の前から「だいぶ良い」と口にしており、期待も高いようなので。まあ、2戦目にどういう競馬をするのか分からないですが、楽しみです。
-:しかし、早い段階で勝てたことで、ゆったりローテーションを組めましたね。
田:そうですね。やっぱりレースを勝った後は、放牧先でテンションが高くなったようなので「タイミング的には休んで良かった」と言っていましたね。終いの脚はだいぶ良いモノをもっているので、距離はどこまで走れるのか、という課題もありますが、マイルくらいまで走ってくれれば、幅は広がりますね。
-:先生の評価も高かったとのことですが、ルメール騎手を起用した点にも現れているのではないでしょうか?
田:そうですね。前から頼んでいたみたいなので。ある程度、手応えがないと、ルメール騎手には頼めないと思うのでね。
-:ダイワメジャー産駒と言えば、タイセイサミット(牡3、栗東・矢作厩舎)も重賞を獲れるのかな?という走りをみせてくれましたが、あいにくレベルの高い世代と言いますか、相手が悪かったですね……。
田:そうですね。春に骨折をしてしまいましたが、当時、厩舎は「まだ馬が若い。本格化していない」と言っていたのでね。そのケガの容態ですが、今はほとんど良くなっています。北海道から内地に持ってきているので、10月になれば、厩舎に入るんじゃないかと。もともと先々の馬、という厩舎の評価もありましたし、牧場からは「良くなっている」という報告を受けていますので、これからが楽しみですね。
-:7月頃に伺った時は「8月の北海道に復帰」と、耳にしました。それがここまで時間を要したわけですが、少しジックリと時間を取って、という感じだったのですね。
田:思ったより長かったですね。「夏には復帰できる」と聞いていたのですが、牧場(社台ファーム)の方でジックリ、ジックリ慎重にやっていたのだと思います。馬の状態に合わせたので、結果的にしょうがないのでしょうね。クラシックには間に合わなかったですが、まだ伸びしろのある馬と思っています。ダイワメジャー産駒というと、早くから走るイメージですが、厩舎も伸びしろがあると見ているようなのでね。
-:他の馬も伺いたいのですが、最近、個人的に気になっているのがタイセイスペリオル(牡3、美浦・池上弘厩舎)なのですが、強い勝ち方をしていましたね。
田:そうですね。この前は危なかったですね。しかし、勝った後に戸崎ジョッキーが言うには「やっぱり難しい馬だ」と。
-:「ハミをきつく取り過ぎるところがある」というようなことを、僕にも言っていましたね。
田:だから「距離が短いところの方が良いんじゃないか」と。しかし、あとで厩舎に行ったら、落鉄していました。ジョッキーが感じた難しさは「落鉄のせいもあるかもしれない」とは先生も言っていましたね。いずれにしても「1800は長い」と助言を受けたので、東京開催2日目のダート1400mですね。10日にダート1600mがあったのですが、本質的にはマイルも長いというジャッジで、それに戸崎ジョッキーが南部杯で不在らしく、日曜1400なら乗れるそうで。
-:東京だと1600になれば、芝スタートという不安もありますからね。
田:そうそう。ジョッキーが乗っていて、一番感触を掴んで分かるでしょうから、それで「短い方が良い」というくらいですから。逆に流れも速くなって、ちょうど良いのではないですかね。スローで脚を溜めて、ガツン!という感じじゃないようなので。
-:前走を見る限り、上に行ってもやれそうかなと思います。
田:まだ、キャリアが3戦しかないですし、東京で新馬も勝っていますからね。ただ、脚元はあんまり強い馬じゃないそうですから、無理しないで、経験を積んで力を付ければ。なかなか3戦2勝はできないですからね。すごく期待はしていますよ。
▲復帰が待たれるタイセイサミット
-:先週のタイセイアプローズ(牡4、栗東・宮本厩舎)に関しては、やはり道悪が……?
田:そうですね。馬場が……。前から言っていたんですよね。1回、道悪を走って全然ダメだった時があったので「今回も結果的には馬場しかないだろう」と、ジョッキーも先生もそう言っていたので、やっぱり馬場ですかね。
-:それに、やはり京都の方が良いのでしょうかね。
田:阪神でも走っているには走っているのですが、平坦の軽い馬場で先行力を活かす競馬が良いのですかね?この間は行きっ振りが悪かったですね。休み明けというのもちょっとあったのかもしれないですが、降級でああいう競馬になるとは思わなかったですが……、次は良馬場でどういう走りをしてくれるのか。準オープンでも2着に2回来ていて、力があるのは間違いないので。普通にちゃんと良い馬場でやれば、1000万下だったらすぐに勝ち上がってくれると思いますね。
-:次、馬券で狙わせていただこうかと思っています。
田:そうですね、ハハハ。人気は出るでしょうね。馬の状態を見ながらなので、次にどこを使うかは聞いていないのですが、楽しみにしてください。
「2歳にしても、現役の3歳にしても、少しずつは良くなっていますね。そして、おそらく今後はもっと良くなるのではないかと思っていますね。というのも、期待している馬がケガなど……アクシデントが本当に多かったので。これから秋から暮れにかけても何頭か復帰します」
-:ちなみに、ここ最近、レースから遠ざかっているのがタイセイファントム(牡8、栗東・矢作厩舎)ですね。
田:骨折ですからね。やっと放牧先の育成場を移して「さらに本格的に乗り始める」と。だから、どれくらい掛かるのか。おそらく年内には復帰するのではないでしょうか。この馬ももともと阪神が良いので、阪神開催に間に合えば、と思っていましたから。
-:私が目についたところをザッと伺わせていただきましたが、昨年インタビューさせていただいて、この1年を振り返っていただくと、トータルで見ての成績はいかがだったですか?
田:トータルでやっぱりまだ満足は出来ないですね。しかし、少しずつ内容は良くなってきていると思います。今年はまだ3カ月弱残っていますし、2歳馬もまだデビューしていない馬も多いので。収支で言えば、2歳馬がこれからどれだけ賞金を稼いでくれるか、というところです。去年も思ったほどではなかったですが、2歳にしても、現役の3歳にしても、少しずつは良くなっていますね。そして、おそらく今後はもっと良くなるのではないかと思っていますね。
というのも、期待している馬がケガなど……アクシデントが本当に多かったので。これから秋から暮れにかけても何頭か復帰します。さっき言ったファントムもそうですが、あとタイセイブルグ(牡3、栗東・高野厩舎)も屈腱炎になって、9カ月くらいの休養なので、11~12月くらいには復帰できるのではないかと思います。これも、いつでも500万を勝てるくらいの状態でしたし、サミットもしかりですよね。
先ほどのスペリオルも新馬直後にすぐに勝てるはずだったところ、休んで、復帰して、すぐに勝ってくれましたからね。あとはデビューしていても、未勝利とはいえ、すぐに勝てそうな馬も多いです。芝でデビューして、今度はダートを使ってみるとか、使えば勝ち負けになるなど、そういう馬もいますので、これらが年末にかけてどれだけ挽回できるかですね。
田中成奉オーナーSPインタビュー(3ページ)
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プロフィール
【田中 成奉】Seihou Tanaka
株式会社大成コーポレーション代表取締役。ハイセイコーが現役の競馬ブーム真っ盛りの時代に、周囲の影響で競馬に興味を持つ。不動産業、飲食業を営み、馬主資格を取得すると、2001年に所有馬が初出走。2008年のガーネットS(タイセイアトム)で重賞初制覇を挙げ、2012年にはタイセイレジェンドがJBCスプリントを制し、初のGⅠ勝利を果たす。今年はタイセイドリームで新潟ジャンプSを勝利し、障害重賞初制覇。
「安くて良い馬」を探すことに尽力を注ぐ一方、昨年のセレクトセールではスターアイルの2014(タイセイスターリー)を8800万円、今年のセレクトセールではミッキーパールの2015を1億1000万円で落札するなど高額馬も多数所有している。主な預託先は栗東では矢作芳人、宮本博、高野友和厩舎。美浦は池上昌弘厩舎など。