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第3章


-:地下馬道を走っているところを見て、昔よりも明らかに速くなっているなと思って。

圭太:競馬場じゃあそんなにダッシュとかはしていないけど、よく気付いてくれましたね。

安藤:やっぱり俺らの頃と時代が違うもん。多分、的やんもトレーニングはやらんやろ?馬に乗るのが精一杯で。

圭太:いや、的場さんはチャリンコ漕ぎますよ。半端じゃないですもん。ルームに入って風呂場にある、チャリンコを漕いでいるんですよ。

-:お話を聞く限り、昔は的場さんに教わっているようなイメージはなかったのですが、こっちに移籍してから何かしゃべることはあるのですか。

圭太:俺がこっちに来てから、すごく応援してくれてますよ。帰ると「いや~、あのレース良かったな」とか、観ているんですよね。昔はそんなに会話もなかったんですけど、声を掛けてくれて。

安藤:やっぱり(中央に)憧れがあるんやろね。的やんだって中央で乗りたいと思ってたけど、自分で合わないと思ったんだろう。俺らも、昔はそう変わんなかったぞ。だから、合わせなきゃなんねえから、鐙もすごく短くして。だけど、現にああいう乗り方は馬が動くもんな。そういう部分は地方では乗り方が合ってるから、しょうがねえんだけど。回転ムチとか、俺もよく言われよった。そういう部分は変わって、地方自体の乗り方が変わったもん。大井や関東だけじゃなくみんなが。今はどこも綺麗に乗るよ。

-:地方競馬のやり方というのは日本特有のものですか。

安藤:そうやろね。ちょっと昔のオーストラリアに似てたな。ムーアなんかでもちょっと自然に脚を使っているじゃない。ピタッとじゃなくて、脚を使って膝で、そういう部分は良いところは絶対にあるよ。ヨーロッパのジョッキーだって、追い出したらけっこうそういうところがある。

安藤勝己×戸崎圭太

▲地方、中央でいずれもリーディングを獲得した戸崎騎手の騎乗スタイル

圭太:多いですね。だから、あれが悪いとは思わないし、良いところもあると思うんです。

安藤:アメリカはピタッとしたまま両脚を投げるという。そういう部分ではやっぱりヨーロッパはけっこう重い芝でやってるし、一瞬で動かさなきゃなんねえ部分があって、アメリカなんかビューと流れていく競馬が多いし、そこはそこで合った乗り方に段々なっていっちゃうの。だから、地方は暴れた方が良かったし。

圭太:拍車着けてね。

安藤:だから、馬とか馬場によって、乗り方とかいうのは変わってくるから。自分の形というのは絶対に持たなきゃなんねえし、ただ、良い方に変わってもらえばね。岩田が悪いという訳じゃないよ。岩田は岩田であって、自分のモノがあるから良いんだけど、いま世界から一杯良い乗り役が来てるのだから、それを真似しなきゃ。その点、坂本って、本当にその馬によって乗り方が変わりよった。手綱の長さから何から、全然違ってた。「あれっ!?坂本か?」と思うくらい変わりよった。長手綱で乗っている時もあれば、短く乗る時もあるし、馬によって違う。だから、みんな真似しようと思うやん。だけど、真似しようがねえと思って止めただけで、中にそういう天才もおるんだよな。

圭太:だから、(坂本騎手は)馬込みとかであまり競馬をしなかったんですよね。

安藤:そうそう。自分の馬のリズムを崩したくねえという。だから、あの小回りで、ゲート出てすぐ外に持っていくんだから。それで、ずっと外を回って来るんだから。

-:それだけ正解がない世界なので、結果を求められるというのはけっこうシビアですね。

圭太:まあ、そうですね。だって、枠順でさえ、並びで全然違うし、この馬がこっちに1頭ずれただけで競馬の展開が変わってくるので。

安藤:自分の馬の内がどれかで全然違うからね。

安藤勝己×戸崎圭太

▲自身の経験をもとに戸崎騎手へアドバイスを送ってくれたアンカツさん

-:10回やったら10回違うパターンになる訳ですね。

安藤:それで、誰か1人が違う動きしただけで違うから。

-:だから、面白いというのはもちろんありますよね。

圭太:いつになってもそれは答えがないからね。

-:今年はまだ終わっていないですが、戸崎騎手の来年はより質も求めていければ、ということになりますか?

圭太:目標はそうなりますね。

安藤:大きいケガをしてないから良いよ。とにかくケガだけは気を付けろ。やっぱり大きいケガをすると自分の脳では怖くないと思っても、体がパッと逃げちゃうから。本当にユタカちゃんなんかでもそう思うよ。自然にアッと早めに反応して、脳で怖くないと思っていても、ケガするとそういう風になってくる。

若い時にも「危なくねえやろ」と言っても、確かにいま考えてみると、やっぱり自分でケガをするとそうなるな。知らん間に安全なところに行っちゃってる。だって、レースでも開いたから(そこを突こう)って考えるんじゃなくて、体が先に動かなきゃ話になんねえもん。レースが流れて、スッとそこに突っ込むのもここが良いかどうかなんて考えいてたら、閉まっちゃうし。だから、先に体が反応する訳で、そういう部分はやっぱりケガをするとそこに入らないような体になっちゃう、頭じゃなくて。

安藤勝己×戸崎圭太

▲対談後、晴れてリーディングを獲得した戸崎騎手

-:そういう意味では、大きな落馬というのは1回ありましたけど、今のところは。

圭太:そうですね。リーディング獲るためにあそこもちょっと騎乗制限がありましたけど、必死で乗りましたのでね。それが報われるように、という感じです。ケガは怖いですけど、しょうがないこともあるのでね。

安藤:やっぱり競馬でも人生でも何でも、流れに乗るか乗らないかでエライ違うからな。本当にそう。それはやろうと思っても出来ないんだけど、不思議とな。中村(エージェント)なんて流れに乗ったな、アイツ、ハハハ(笑)。最初は何をしに大井に行ったか知らんかったけど。

(中村剛士氏=元笠松競馬のジョッキーで、現在は戸崎圭太騎手、内田博幸騎手などのエージェントを務めている)

圭太:ハハハ(笑)。

-:しかし、本当ならリーディンング争いが決着していて、来年は4年連続を、という話をしようかなと思っていたのが今日の会でした。だいぶ話題が逸れてしまい申し訳ありません。

圭太:いや~。本当は決めておきたかったんだけど。

安藤:そういう体でいこう、ハハハ(笑)。おめでとう!

圭太:(リーディング争い)面白いでしょう。僕も、正直、今年は厳しいと思っていましたもん。

安藤:最初は、そうやね。

圭太:年初めから二人がいましたし、正直、ここまでやれると思っていなかった。やっぱりいると自分も頑張らなきゃというので、勝ち鞍もそれがあってここまでやれているのかなというのもあるんですよね。

-:ここまで来たら獲って欲しいですね。

圭太:それはね。それはそうなんですけど。

-:リーディングを獲って、来年はもうG1に向けて。

安藤:それの体で獲ったと言うことで、ハハハ(笑)。

-:来年はG1を勝ちまくると。戸崎さんには改めて一年を総括したインタビューも伺おうとは思いますが、ひとまず、本日はありがとうございました!

安藤:何とか頑張ってリーディング獲りましたと、ハハハ(笑)。来年は一味違いますよ、G1もバンバン勝ちますと。それで行こうや!!

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2017年新春SPインタビュー第2弾は
今年、産駒がデビューするオルフェーヴルとロードカナロアを大特集!
1月13日(金)より公開いたします。お楽しみに!