第1章:種牡馬になっても“本能的”なオルフェーヴル
2017/1/13(金)
2017年、そして、来年の競馬界にとって、エポックメイキングとなるだろう。それは、オルフェーヴル、ロードカナロアと日本を席巻し、世界を股にかける活躍をみせた名馬たちの産駒がいよいよターフにお目見えするからだ。もはや活躍を約束されていると言っても過言ではないDNAは、どんな潜在能力を秘めているのか。社台スタリオンステーションにて独占取材を行った。
第1章:種牡馬になっても“本能的”なオルフェーヴル
第2章: 日本古来の血統で夢の続きを
第3章: まさにキングカメハメハ2世の佇まい
第4章: 目指すはスプリントの大種牡馬へ
-:前回の取材ではジャスタウェイについて伺いましたが、2017年に産駒がデビューするオルフェーヴルとロードカナロアについて、社台スタリオンステーション事務局の三輪さんにお話を伺います。よろしくお願いします。まず、オルフェーヴルといえば、現役時代はその個性が取り沙汰されることが多かったですね。
三輪圭祐氏:よろしくお願いします。オルフェーヴルは今も本能に対して従順ですね。それがオルフェーヴルのすごいところでもあると思いますが、その半面、語弊はあるかもしれませんが、野性的な面をすごく残しているともいえると思います。欲求に対する表現が激しいといいますか、牝馬を見たら、激しいスイッチの入り方をしますからね。動きも激しいもので、テンションが上がり過ぎてしまう時もあったりしますね。
-:他の馬よりも細心の注意を払わなくてはいけませんね。
三:気を抜いたら、抑えているつもりでも先に牝馬の方へバッといってしまったり。
-:それは大変ですね……。放牧地で過ごす時に変わった癖などはありますか?
三:「クセ」ではないかもしれませんが、最初のシーズンが終わった夏だったと思います。朝9時過ぎくらいに放牧地沿いを歩いていたら、直径で幅2m、一番深いところで40~50cmくらいの大きい穴を一晩で掘っていたことがあって。
▲種牡馬になっても「らしさ」は健在のオルフェーヴル(昨秋11月に撮影)
-:一晩で、ですか!?
三:そうです(笑)。前の日は気付かなかっただけかもしれませんが、ビックリしましたね。他には、人が歩いていてもすぐに寄ってきたりなど、かわいらしいところがありますね。あと、キングカメハメハが隣なのですが、カメハメハが柵沿いを歩いていたりするじゃないですか。そうするとすごく気にして、一緒に走ろうとするんですよね。煽るというか、野球でランナーが盗塁の素振りだけ、みたいな。分かりますかね?パッと出てみたりして、カメハメハが乗ってくるか、なんて光景を目にします。暇がイヤ、楽しいことをしたいタイプなのかもしれません。
-:写真を撮っていても、けっこう寄ってきますよね。去年までは、写真を撮っていたらバッと威嚇するくらいの勢いで走ってきたのですが、今年は大人になったのか、普通に寄って来ますね。
三:そうですね。何か今年くらいから、より優しくなったというか……。ただ、時期にもよるかもしれません。春のシーズンオフに入り立てくらいの時は、やっぱりオスとしての本能が出ているというか、やっぱり他が自分のテリトリーに入ってくるような、人が近付いてきたりしたら排除するような……。「野生の本能」とまでは言いませんが、やっぱり大事なことかと思います。しかし、オフシーズンはメリハリが付いて、人が来ても、人懐っこく来ますよね。
-:やっぱりオン、オフのスイッチがありますか?
三:すごいと思いますね。むしろ賢さに長けているのかもしれません。とにかく大事なことに集中するといいますか……。
-:その中で、現役時代のイメージと今のイメージで違う部分はありますか?
三:あまり変わらないと言えば、変わらないのでしょうか。大人びた気はしますけどね。あとは顔つきが変わりましたよ。これはジャスタウェイのお話でも話題にしましたが、顔の幅などは変わってきましたね。
-:体もだいぶ変わりましたよね。
三:そうですね。やっぱり成長しましたよ。骨格も幾らか変わりましたよね。
-:尻尾がものすごく太くないですか?
三:そうですね。毛量が多いですね。毛自体は他の馬よりすごく細いですよ。見た目は付け根が白く、全体は金色でカッコ良いですよね。だから、解かしたあとはすごく綺麗です。