第3章:新生・戸崎圭太に期待「僕にないモノを持っているという意識があって」
2017/4/23(日)
「横山ノリさんとか見ていると、すごく大胆なことをするじゃないですか。それが僕にないモノを持っているという意識があって」
-:続いて、前回のエコバッグも採用されて、今回のコンテストでも準優勝のまゆきんさんです。ご職業はデザイナーさんとのことで、Twitterでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
まゆきん:よろしくお願いします。まず、はじめの質問です。競走馬にはそれぞれストーリーがあって、競馬の楽しみの一つとして観ることがあるのですが、今までの競走馬の中で心に残るエピソードや体感されたストーリーはありますか?
圭太:いつもありがとうございます。やっぱり僕の中で、一番そうやって言われて思い出すのがフリオーソですね。フリオーソにはずっと長く乗せていただいて、色々な経験をさせてもらったり、色々なところに連れていってくれたので。中でも一番記憶に残っているのは、震災があって競馬が出来なくて、それで、ようやく船橋開催をやり始めて……。それがかしわ記念だったのですが、フリオーソにとって地元のG1を勝てたこと、競馬に乗れて嬉しかったことがすごく心に残っていますね。他にも、脚元の不安による長期休養明けの帝王賞でも勝てたというのも、すごく思い出に残っていますね。
まゆきん:フリオーソ産駒での勝ち星が今後あれば良いですね。
第1回のエコバックデザインコンテストで採用されたまゆきんさんが登場!
圭太:そうですね。まだ僕、乗せていただいてもないので、どんな感触なのかを感じてみたいところですけど、結果は出ていますからね。走っていますからね。楽しみですよね。
まゆきん:競走馬としてはどういうタイプだったのですか?
圭太:基本的には乗りやすかったですね。持ち味は前に行って逃げ切るのが一番の持ち味かなと。だから、スタートだけは気を付けていましたね。遅れてしまうと、なかなか行けなくなってしまうので、スタートだけはすごく緊張していました。
まゆきん:続いて、生活上、プライベートで職業病としてついやってしまうことはありますか?
圭太:車とかを運転していると、何か捌きたくなりますよね(笑)。もちろん危ないのでやりませんが。
まゆきん:同じです。私も自転車に乗る時に、イメージしてシャッと追い込みで、危ないのですが、ハハハ(笑)。
圭太:車でも危ないですよね。やりはしませんが、何かそういう感覚があります。あとは人混みの中をスッと、まずは前の動きを読んで、みたいな、そういうのはすごくやってしまうかなというのはありますね。
▲戸崎騎手が思い出の一頭に挙げるフリオーソ(写真は2011年のかしわ記念)
まゆきん:今日、お会いしてまた新たに何かを聞ければと思ったのですが、テレビの中でよく拝見していると、戸崎騎手と言えば勤勉で真面目な印象でした。ご自身の雰囲気や性格が似ていると思う競走馬っていますか?
圭太:競走馬ですか。難しいなぁ。う~ん、難しいですね。たとえではないけれど、自分の性格としては、自分で言うのもナンですが、バカ真面目というか、一つのことに集中しちゃうと他が見えなくなって、「それしか」という感じで……上手く説明できないなぁ。説明して下さい(笑)。
-:説明ですか……。その通りじゃないですか(笑)。
圭太:何か真面目も、もう少し何かやり方があるんじゃない?というバカ真面目な感じで。馬としては良くないのかもしれない。
-:走りに向き過ぎてしまうと。
圭太:やっぱり勝てなくなったりすると不安になって、今度は逆に周りの人の話をすごく受け入れて、自分が訳分からなくなっちゃう。何かそんな感じですね。
まゆきん:何か影響されやすい?
圭太:そうですね。影響されやすいですね。そういうタイプですね。
-:言い方はちょっと良くないですが、器用ではないと。
圭太:それ、ちょっと言い方が良くないですよね(笑)。いや、本当に器用じゃないですよ。競走馬となると難しいですけどね。すいません。
まゆきん:いえいえ、ありがとうございます(笑)。これからのスタイルを確立するに当たって、ご飯を調整するなどがあるのですが、日々心掛けていることや、また騎乗する上で新しいことをやってみようとかいうことはありますか?
圭太:騎乗する上では、僕は基本的にレースであまり思い切ったことが出来ないんですよ。何か型に嵌めて、普通に無難に回ってくるという。だから、横山ノリさんとか見ていると、すごく大胆なことをするじゃないですか。それが僕にないモノを持っているという意識があって、今後はそういうも思い切ったレースを……。人気馬でも自分から動いていってみたり、あまり型に嵌めない競馬も今後、挑戦して行きたいというところですね。今からでは遅いのかもしれないですが、そういう思いはありますね。
まゆきん:1秒、1秒の中で争われるので、瞬時の判断というのも難しいですよね。
圭太:そうですね。ちょっとしたことでやっぱり結果に繋がってくるので。
まゆきん:競馬を観戦する上で、観ている方で好きな勝ち方、逃げ切りだったり、追い込みだったり、これは気持ち良いなという勝ち方はありますか?
圭太:気持ちが良いのは追い込みですかね。一番後ろから全部を抜くというのはなかなかないレースだとは思うんですけど。
「本当に1番人気の1倍台で勝つ時は、喜びというよりもホッとする気持ちの方が……。勝って当たり前だろと思われているので、すごくそれは感じますね。勝ってホッとしますね」
まゆきん:逆にハナ差で接戦とかは。
圭太:基本ハナ差で勝ちたいなというところはあるんですよね。何か自分で計算をして乗っている。やっと交わしたとかじゃなくて、計算してハナ差だけ勝ったよ、というのがすごくカッコ良いなと。でも、一番競走馬で強いと思うのは逃げ切りが一番強いと思うんですよね。自分でひたすらハナで逃げていて、他の馬が追い付こうと思っても、結局バテてしまうという。
まゆきん:逃げ切りで勝つのも爽快感があってカッコ良いですよね。輪乗りからゲートに移動する時に距離が長い時があると思うのですが、その時に他の騎手の方とかとお話をされたりはしますか?
圭太:ありますね。
まゆきん:私の後ろにいらっしゃった方が、他の騎手と話をされている戸崎騎手を見て「メッチャ笑てるで、嬉しいことあったんかね」と言ってらっしゃったので、すごく気になって電光掲示板ばっかり写真撮っていましたね、ハハハ。
▲2月の東京開催にて(写真はまゆきんさん提供)
圭太:あんまり良くないことだとは思いますけどね。だが、普通に話はしたりしていますね。僕の中で何か、緊張を解すためにしているというところもあるんですけど……。
まゆきん:やっぱり話して和むというか、落ち着くというか?
圭太:そうですね。そういうのもあって、話をしたりというのもありますかね。笑顔は何か良いことというか、多分その会話の中でたまたま笑ったということですかね。
まゆきん:けっこう大爆笑されていたみたいですよ。
圭太:そうですか。あんまり良くないですね。ちょっと気を付けないといけないですね。
まゆきん:「緊張を解すため」とお話されていましたが、いまだにそういう緊張感はあるのですか?
圭太:緊張はありますよ。昔ほどは随分となくなりましたが、やっぱり緊張はありますね。プレッシャーを感じることもありまししね。また、注目されている馬に数多く乗せていただいているので、余計にそれは感じますね。だから、本当に1番人気の1倍台で勝つ時は、喜びというよりもホッとする気持ちの方が……。勝って当たり前だろと思われているので、すごくそれは感じますね。勝ってホッとしますね。
まゆきん:勝って当たり前の馬で勝つのも大変だと思いますからね。
圭太:本当に勝つって難しいし、つくづく大変だなと思います。
まゆきん:展開一つによって、大分変わってきますものね。今回は貴重な機会をありがとうござました。