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- 2018 函館2歳ステークス・GⅢ総力特集
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先週の函館記念は残念ながら不的中。週中から「雨、雨」と聞いていて、前日の天気予報も現地では雨だったのにレース当日は晴れ。雨も込みで取材していただけに正直、これにはまいりました…。気を取り直していきます。
函館の厩舎地区を巡っていても「今年は抜けた馬がいない」「レベルが高いとは言えない」なんて声が飛び交っていた今年の函館2歳ステークス(G3)。ほぼキャリア1戦同士で争われる難解な一戦、「毎年難解でしょ?」と思われるかもしれませんが、いやいやカシアスやナンヨープランタンの前評判が高かった昨年とは違うことは現場感覚でも感じました。
ただ、今年の上位人気勢が人気に違わぬかといえば、そう思いません。まず、前日発売で2番人気の⑪ナンヨーイザヨイは新馬戦を1分9秒4の好時計勝ち。時計の速い開幕週とはいえ、この勝ち時計は過去10年の当該コースでも2歳戦3位タイにあたるものです。
もともと昨年も取材をさせていただいた陣営が、今年も同じチームで挑むということで注目していたのですが、レースはややモタつくところがあるな…と思ったのが第一印象。そこを担当の額田助手に聞けば「まだ身体も太めだった」というのだから、上積みはあるでしょう。フットワークの大きなタイプで内枠に入ったら捌きづらい懸念はありましたが、この枠は絶好。ここ3年の函館2歳Sも中目の枠からスタートして、他馬がやり合ったところから差し切って勝つパターンが観られます。
折り合い面や気性の心配がなく、スピードがあって現時点では大きなウィークポイントが見当たりません。昨年の2番人気馬と同じ担当者・厩舎・オーナー・生産者・騎手(あと母父)で挑む今年。同じローテーションで調整の感覚が把握できていることも大きいのではないでしょうか。
続いて⑥アスターペガサス。担当の木野助手も口にしていたように、この枠で課題のゲートが決まらなかった場合のリスクはあるものの、とにかく落ち着きがあって、レースセンスの高さを感じます。「前走1着」がズラっと並ぶ馬柱の2歳重賞において、何を重視すべきかといえば、大きく2つではないかと思います。1つは勝ち時計(ペースも踏まえ)、もう1つは末脚。だいたいの馬がこの時季の新馬、未勝利は先行して勝ってしまうため、通過順は先行しているパターンが多いもの。その中で、どれだけ終いが垂れずに駆け抜けられるかが、馬の能力を見極める一つのカギだと思います。
その点、アスターペガサスの新馬戦はラストまで加速し続けてフィニッシュ。多頭数の競馬で、他の先行馬が崩れている中、押し切った点も好感です。ゲートの課題だけで対抗としましたが、勝つのはこの2頭のいずれかとみています。
以下、取材ができた馬ではありませんが、人気を集める⑤カルリーノも戦歴から評価しないといけないところ。穴なら内の先行馬。小回りのスプリント戦だけに好位のインで立ち回った馬が毎年粘るのが常です。今年は①ラブミーリッキーに注目。走りを見る限り、芝でもやれそうな雰囲気。ひと息で走りやすいダートの1000m戦とはいえ、新馬戦も最後まで脚色が乱れなかった点も好感です。3着候補で△は多めですが、あとは直前のオッズもみつつ自分はまとめたいところです。
もう一方の重賞は中京記念(G3)。メンバーを見渡すとあまりテンが速くなるとは想像しづらいメンツですね。レース傾向としては荒れた芝で差し決着になりやすいレースですが、今年は先行勢にケアしたいです。しかし、昨年の勝ち馬ウインガニオンは前走の安田記念でも健闘しており、人気を集めているものの、昨年は内枠で今年は外枠。プラス0.5kgのハンデ増。その昨年は雨の影響でインが有利な馬場を辿れたアドバンテージも大きかった。勝ち切りまでは疑問とみます。
本命は先行力のある⑫ロジクライ。前走のマイラーズカップはテンで競り合う形になってしまい、脚を使わされてしまったもの。レコード決着の引き立て役になってしまいました。もともと時計のかかる馬場が合うタイプで、いまの芝は向くはず。5歳ながら10戦のキャリアも、今後の伸びしろを期待できますね。
もちろん末脚タイプもマーク。中でも、③ブラックムーンに注目したいです。今年1月の京都金杯は、開幕週ながら荒れた芝が目立った開催。というのも、昨秋に台風の中、開催が行われたダメージが残っていたからです。昨年の中京記念でも緩い馬場の中で3着、マイルチャンピオンシップでも6着など、着実に実績を積み重ねてきた印象を受けます。体質も強化されたのかもしれません。
そして、その他の「コンフィデンスホース」も。函館2Rのラヴコネクション!とコラム的に言いたいところですが(わかる人だけ笑ってください)、函館1R(2歳未勝利)の⑥メジャーハリケーンは現地で担当者に話を伺った一頭。本当は新馬を勝って、中1週で2歳Sに挑みたかったそうですが、残念ながら2着。もう少し早い時季に使えていれば、昨年のカシアスのように未勝利→2歳Sも可能だったでしょうが…。それはともかく今回は真っ直ぐ走れるように馬具を替えるそう。ちなみに、以前、同じオーナーがメジャータイフーン(15年函館2歳Sで2着)という名前をつけていたのですが、同じダイワメジャー産駒でこの名前、さぞかし函館で期待していたのでは。
また、函館最終・潮騒特別の⑥ラブローレルと②サラデコラシオンの洋芝巧者にも期待。前者の鞍上・国分恭介騎手は早いものでもうデビュー10年目。「積極的な姿勢を失わずに競馬に挑みたい」と言っていましたよ。これといった先行馬の少ないメンバーなら積極性が活きそう。ちなみに、来週、インタビューもUPします。
改めて先週は、函館競馬場へいってきました!改装されてもう何年か経っていますが、コンパクトかつ上からも下からもパドックや馬道が見渡せる設計など、非常に観戦しやすく、遊びのある競馬場だと思います。また、パドックの一部はガラス張りになっており、競馬場に入らずとも調教中(馬場に出る前などの足慣らしで)やパドックの風景が見えるところも好感度は高いですね。
取材においてもいえることで、厩舎地区は美浦・栗東が混在(ブロックで分かれていますが)しており、広大なトレセンと違って、数多くの陣営に取材できやすいサイズ感は函館ならでは。先週、今週とインタビュー祭りができたのも、この狭さ故のものといえます。
最後に一頭の写真を。函館競馬場で調整中のアルムフォルツァ(牡3、栗東・五十嵐厩舎)です。聞いていた通りならば、次週の札幌にでてくるはず。京都新聞杯は惜しい競馬でしたが、重賞でもやれそうなメドを感じたのは僕だけじゃないはず。秋を目指す上では、賞金を加算しておきたいところでしょう。スタミナがありそうなので、通称「菊花賞の秘密兵器」。楽しみな存在です!
函館の厩舎地区を巡っていても「今年は抜けた馬がいない」「レベルが高いとは言えない」なんて声が飛び交っていた今年の函館2歳ステークス(G3)。ほぼキャリア1戦同士で争われる難解な一戦、「毎年難解でしょ?」と思われるかもしれませんが、いやいやカシアスやナンヨープランタンの前評判が高かった昨年とは違うことは現場感覚でも感じました。
ただ、今年の上位人気勢が人気に違わぬかといえば、そう思いません。まず、前日発売で2番人気の⑪ナンヨーイザヨイは新馬戦を1分9秒4の好時計勝ち。時計の速い開幕週とはいえ、この勝ち時計は過去10年の当該コースでも2歳戦3位タイにあたるものです。
筆者撮影のナンヨーイザヨイ
折り合い面や気性の心配がなく、スピードがあって現時点では大きなウィークポイントが見当たりません。昨年の2番人気馬と同じ担当者・厩舎・オーナー・生産者・騎手(あと母父)で挑む今年。同じローテーションで調整の感覚が把握できていることも大きいのではないでしょうか。
続いて⑥アスターペガサス。担当の木野助手も口にしていたように、この枠で課題のゲートが決まらなかった場合のリスクはあるものの、とにかく落ち着きがあって、レースセンスの高さを感じます。「前走1着」がズラっと並ぶ馬柱の2歳重賞において、何を重視すべきかといえば、大きく2つではないかと思います。1つは勝ち時計(ペースも踏まえ)、もう1つは末脚。だいたいの馬がこの時季の新馬、未勝利は先行して勝ってしまうため、通過順は先行しているパターンが多いもの。その中で、どれだけ終いが垂れずに駆け抜けられるかが、馬の能力を見極める一つのカギだと思います。
その点、アスターペガサスの新馬戦はラストまで加速し続けてフィニッシュ。多頭数の競馬で、他の先行馬が崩れている中、押し切った点も好感です。ゲートの課題だけで対抗としましたが、勝つのはこの2頭のいずれかとみています。
木野助手はこの夏、担当馬が連勝続き 先週日曜最終もリアンヴェリテが勝利
もう一方の重賞は中京記念(G3)。メンバーを見渡すとあまりテンが速くなるとは想像しづらいメンツですね。レース傾向としては荒れた芝で差し決着になりやすいレースですが、今年は先行勢にケアしたいです。しかし、昨年の勝ち馬ウインガニオンは前走の安田記念でも健闘しており、人気を集めているものの、昨年は内枠で今年は外枠。プラス0.5kgのハンデ増。その昨年は雨の影響でインが有利な馬場を辿れたアドバンテージも大きかった。勝ち切りまでは疑問とみます。
本命は先行力のある⑫ロジクライ。前走のマイラーズカップはテンで競り合う形になってしまい、脚を使わされてしまったもの。レコード決着の引き立て役になってしまいました。もともと時計のかかる馬場が合うタイプで、いまの芝は向くはず。5歳ながら10戦のキャリアも、今後の伸びしろを期待できますね。
もちろん末脚タイプもマーク。中でも、③ブラックムーンに注目したいです。今年1月の京都金杯は、開幕週ながら荒れた芝が目立った開催。というのも、昨秋に台風の中、開催が行われたダメージが残っていたからです。昨年の中京記念でも緩い馬場の中で3着、マイルチャンピオンシップでも6着など、着実に実績を積み重ねてきた印象を受けます。体質も強化されたのかもしれません。
そして、その他の「コンフィデンスホース」も。函館2Rのラヴコネクション!とコラム的に言いたいところですが(わかる人だけ笑ってください)、函館1R(2歳未勝利)の⑥メジャーハリケーンは現地で担当者に話を伺った一頭。本当は新馬を勝って、中1週で2歳Sに挑みたかったそうですが、残念ながら2着。もう少し早い時季に使えていれば、昨年のカシアスのように未勝利→2歳Sも可能だったでしょうが…。それはともかく今回は真っ直ぐ走れるように馬具を替えるそう。ちなみに、以前、同じオーナーがメジャータイフーン(15年函館2歳Sで2着)という名前をつけていたのですが、同じダイワメジャー産駒でこの名前、さぞかし函館で期待していたのでは。
また、函館最終・潮騒特別の⑥ラブローレルと②サラデコラシオンの洋芝巧者にも期待。前者の鞍上・国分恭介騎手は早いものでもうデビュー10年目。「積極的な姿勢を失わずに競馬に挑みたい」と言っていましたよ。これといった先行馬の少ないメンバーなら積極性が活きそう。ちなみに、来週、インタビューもUPします。
ノットフォー・セール
取材においてもいえることで、厩舎地区は美浦・栗東が混在(ブロックで分かれていますが)しており、広大なトレセンと違って、数多くの陣営に取材できやすいサイズ感は函館ならでは。先週、今週とインタビュー祭りができたのも、この狭さ故のものといえます。
プロフィール
小野田学 Manabu Onoda
1982年、秋、埼玉出身。競馬ラボにて記者やコンテンツプランナーを担当。現場取材は稀。いわば総合職。
具体的には、大井競馬在籍時代から戸崎圭太騎手の取材を続ける他、競馬ファン時代に応援していたハーツクライの子・ジャスタウェイに思い入れがあり、大和屋暁オーナーの取材も担当。騎手のメモリアルグッズにも取り組むことも。競馬予想のスタイルはいたってシンプル。馬の可能性を探り、巻き返しに注目するストロングスタイル!?だけに決して本命党ではない。
好きなプロ野球球団は阪神タイガースで、好きな選手は大体外野手。好きなミュージシャンは邦楽超大物バンドやイギリスのインディ・ロック。好きな仮面ライダーはクウガ・W・ドライブ。