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1984年のグレード制導入とともに創設。距離体系の確立、細分化やレースの増設等で施行時期や条件が変わるG1も多い中で、このレースは開設時から条件が変わっていない文字通り『マイル王』を決めるレース。また、創設当初は「荒れないG1」として名を馳せていたが、回を重ねて大荒れのレースも散見され、馬券的にも興味深いレースとなっている。G1ホースが数多く名を連ねる今年はどんな結末が待っているのだろうか…。
最多勝は天皇賞からの転戦組
[前走レース]過去10年、2000mで行われる天皇賞出走組が5勝。そこでの結果を受けて、このマイルCS、ジャパンカップ、牝馬ならエリザベス女王杯というレース選択をするのだろうが、古馬最高峰ともいえるレベルの高い一戦から転戦してきたとあって、その信頼度はかなり高くなっている。
出走頭数の多さから数の上では1400mのスワンS、1600mの富士Sの好走が多くなっているが、アベレージでは前述の天皇賞を含め、マイルより長い距離からここを使う馬の方が高い。
過去10年注目データ
[馬齢]過去10年、5歳馬が4勝、2着4回、4歳馬が3勝、2着6回。2着はこの2世代が全てを占めており、まず脂が乗ったこの2世代を中心視するのが妥当。3歳馬も多くエントリーしているが、複勝圏内はわずか2頭。賞金面から世代のトップクラスが出走しているはずなのだが、連絡みが出来ていないことからも古馬の壁は厚い。
一方、6歳以上も苦戦傾向で勝った07年ダイワメジャー、09年カンパニーはともにG1ホース。昨年のダノンシャークもG1で2度の3着があった。
[距離実績]過去10年で3着以内に入った馬25頭中、マイル戦の勝鞍がなかったのは2頭。15頭が2勝以上を挙げていた。
また、同年の安田記念を勝っていたのは1頭、3着以内に入っていた馬は3頭いた。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は過去10年で4頭。2、3着もそれぞれ4頭ずつと前走勝った勢いが反映している傾向。
穴党必見は前走6~9着に敗れた馬。出走馬のレベルが高い天皇賞から参戦し、ここで上位人気になっている馬は天皇賞で崩れていても巻き返しているケースが多い。天皇賞の着順だけで見限るのは危険。ただし、10着以下からの巻き返しは過去10年においてはない。
また、前走掲示板を外して巻き返してきた馬のうち、天皇賞以外のレースを使った馬は勝ち馬からの差が0秒6以内。敗れていても、ある程度のポテンシャルを示しておかなくてはならない。
[枠順]過去10年の枠番別では3、4枠の3勝がまず目立つ数字で、4枠の2着5回は出色の数字。ただし、これだけを見ると「真ん中より内めがいいのでは」と単純に思ってしまいそうだが、同じ3枠でも馬番の「5」は3勝しているのに対し、「6」は過去10年で最高が7着。7回が2ケタ着順という大不振。このギャップは面白い。
その他、馬券絡みがないのは「9」「14」そして大外の「18」だ。
[脚質]過去10年で4コーナーを先頭で回った馬の連対は09年に14番人気で逃げて2着に粘ったマイネルファルケだけ。その09年以降、4角先頭の馬は0秒6差以内に踏ん張っていたのだが、昨年は1番人気に支持されたミッキーアイルが1秒3離された13着と失速。目標とされる馬は厳しい結果が出ている。
4角11番手以下から複勝圏に入った馬が6頭いるが、いずれも重賞勝ちの実績があり、10年のダノンヨーヨー以外は重賞2勝以上。同馬と05年1着のハットトリック以外はG1で連対した経験を持っていた。全体を通してみれば、ある程度前へ取り付いて、かつ終いを伸ばすというタイプの好走が多い。
1番人気はマズマズの信頼度
昨年の7番人気ダノンシャークと10年の13番人気エーシンフォワード以外の勝ち馬は5番人気以内。1番人気で馬券圏内から外れたのは05年デュランダル、11年リアルインパクト、そして昨年のミッキーアイルの3頭で、1番人気の信頼度はマズマズといったところ。
昨年の勝ち馬ダノンシャークは前年1番人気で3着。1年遅れの勝利となったが、追い掛けた人にとっては美味しい人気となっていた。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | (3-3-1-3) | 30.0% | 60.0% | 70.0% |
2番人気 | (1-0-2-7) | 10.0% | 30.0% | 30.0% |
3番人気 | (1-3-0-6) | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
4番人気 | (2-2-1-5) | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
5番人気 | (1-0-2-7) | 10.0% | 10.0% | 30.0% |
6~9番人気 | (1-0-3-36) | 2.5% | 2.5% | 10.0% |
10番人気以下 | (1-2-1-84) | 1.1% | 3.4% | 4.5% |
見逃せない外国人ジョッキー
厩舎、ジョッキーとも回数では地元の利がある関西が優勢なのだが、連対率はどちらもほぼ互角。関東の人馬が意地を見せている。
見逃せないのは外国人ジョッキーの活躍。複勝率は東西の日本人ジョッキーを抑えて最も高くなっており、名前だけで押さえておくのも一つの手かもしれない。
また、外国産馬も活躍しているレースで、アルビアーノの走りにも注目される。
[乗り替わり]日本人ジョッキーへの乗り替わりでテン乗りだったのは04年3着の横山典(テレグノシス)、09年2着の和田竜(マイネルファルケ)、14年1着の岩田(ダノンシャーク)。昨年まで6年連続で乗り替わりの馬が馬券絡みを果たしている。
乗り替わりで多いのはコンビ復活での好走。武豊騎手は過去10年で2度乗り替わりでの連対があるが、どちらもコンビ復活によるものだった。
[騎手]2010年以降、30回以上騎乗しているジョッキーの最多勝は岩田騎手の14勝。単勝回収率は何と176%のハイアベレージで、この舞台で岩田騎手の名前を見れば絶対に無視は出来ない。続いて13勝の浜中騎手、10勝の池添騎手が続く。まだ騎乗回数は少ないが、M.デムーロ、C.ルメールもアベレージは高い。
[馬体重]軽い京都の馬場で行なわれるマイル戦。イメージ的には軽量馬が活躍していそうなのだが、数字を紐解くと500キロを超える重量級が活躍。とりわけ520キロを超える巨漢馬の活躍が目立つ。これは頭の片隅に入れておきたい。
一方で、440~460キロの軽量級もアベレージはかなり高いのだが、勝ち馬となると、480キロ以上の馬が7勝。イメージ以上に馬力が必要な舞台となっている。
前年の覇者・ダノンシャークをはじめ、G1ホースがズラリと顔を並べた今年のマイルCS。データからの推奨は充実期を迎える4歳、好走が多い臨戦過程からイスラボニータをプッシュしたい。相手筆頭は同じ4歳で、重賞未勝利ながら今年に入ってからの安定感、レースぶりは重賞ウイナーと全くヒケを取らないサトノアラジン。安田記念からのぶっつけは気に掛かるが、外国人ジョッキーへの乗り替わりは楽しみな材料となるモーリス、勝ち切れない甘さはあるも減点が少ないフィエロ、穴は前走大敗がネックもマイルで息を吹き返しそうな可能性を秘めるヴァンセンヌを。