研究員ヤマノの重賞回顧

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2月23日(土)、東京競馬場で行われたクイーンC(3歳牝、G3・芝1600m)は、道中、中団で流れに乗った武幸四郎騎手騎乗の1番人気リトルアマポーラ(牝3、栗東・長浜博之厩舎)が、最後の直線で外目から抜け出すと、馬体重-12kgも物ともせずそのまま鋭く差し脚を伸ばし、8番人気ライムキャンディに1.1/4馬身差をつけて優勝を飾った。
さらにクビ差の3着には4番人気ラルケットが入線。

勝ったリトルアマポーラは、これでマイルは3戦3勝で負けなし。今年の牝馬クラシック戦線で、待望の新進気鋭マイラーの出現だ。
桜花賞でのポルトフィーノ、トールポピーとの激突が、今から待ち遠しい。
ところで、先週の当コラムで書いたように不振が続く1番人気馬だが、こと3才、それも牝馬に限っては少々事情が異なるようだ。
というのは、人気に支持された多くの牝馬が順調に勝ち上がっているのだ。
もちろん、クラシックロードはまだまだ序盤であるから早計なことは言えないが、もしかすると、昨年に引き続き今年のクラシックロードも『牝高牡低』の図式になってしまうのか?
是非、牡馬勢に奮起してもらいたいものである。


同23日(土)、京都競馬場で行われた京都記念(4歳上、G2・芝2200m)は、後方から追走した1番人気アドマイヤオーラ(牡4、栗東・松田博資厩舎)が、最後の直線で力強く伸び、4番人気アドマイヤフジを1.1/4差し切り、見事栄冠に輝いた。さらにハナ差の3着に11番人気シルクフェイマスが逃げ粘り入線した。

アドマイヤオーラはこの勝利で、左橈側手根骨々折の逆境を乗り越え、牝馬ウオッカに対してのダービーの雪辱を、見事果たしたわけである。
名手安藤勝己Jとアドマイヤオーラの活躍には、今後も周囲の期待が集まるに違いない。
そんな前途洋洋のように思えるアドマイヤオーラだが、実はひとつ懸念される材料がある。
それは有馬記念2着馬ダイワスカーレットの存在だ。
宝塚記念あたりで両馬の激突が予想されるが、問題はその鞍上。
デビュー時からずっとダイワスカーレットの手綱を取っているのは、安藤勝己J。
だからアドマイヤオーラの鞍上を誰か他の騎手が取らなければならない可能性は十分考えなければならないだろう。
岩田J、或いは当競馬ラボでおなじみの高田Jあたりになるのだろうか。
いずれにしても乗り替わりは、あまりプラスにはならないはず。
最近特に、有力馬の騎乗に人気Jが集中し、結局、大レースでお手馬がかち合うというケースが多いように感じる。
やむをえない事情も多々あることと思うが、そのような事態はなるべくなら避けて欲しいものである。
騎手を最重要視して馬券を買う競馬ファンもたくさんいるのだから。


翌24日(日)、東京競馬場で行われた2008年のG1開幕戦・フェブラリーS(4歳上、G1・ダート1600m)は、好位から流れに乗った武豊騎手騎乗の1番人気ヴァーミリアン(牡6、栗東・石坂正厩舎)が、最後の直線中ほどで抜け出すとそのまま後続を引き離し、7番人気ブルーコンコルドに1.3/4馬身差をつけて快勝した。
さらに2馬身差の3着には3番人気ワイルドワンダーが入線、途中故障でレースを終えた2番人気フィールドルージュは、その後大事には至らず事なきを得た。

それにしても今回の勝利は記録尽くめだった。 その記録とは、ジャパンCダート、フェブラリーSと『JRAダートG1完全制覇』。 『武豊Jが、デビュー以来22年連続のJRA重賞勝利、21年連続のJRA・GI勝利を達成』。 『98年グルメフロンティア以来となる2頭目の6歳馬の優勝』。 かつてのダート王、アドマイヤドン、カネヒキリに続く3頭目の『名門、ノーザンファーム生産馬』等等。 昨年度のJRA賞最優秀ダートホースに輝いた同馬だが、今回の記録尽くめの勝利で、現役最強ダート王の称号はゆるぎないところとなったはずだ。 この上昇気運に乗って、現地時間来月29日のドバイワールドCでの勇躍を、大いに期待してみたい。