研究員ヤマノの重賞回顧

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3月8日(土)、中山競馬場で行われたオーシャンS(4歳上、G3・芝1200m)は、中団を追走した吉田隼人騎手騎乗の7番人気プレミアムボックス(牡5、美浦・上原博之厩舎)が、最後の直線で末脚を伸ばし、先に抜け出した12番人気エムオーウイナーをゴール直前でハナ差交して見事優勝した。
さらにクビ差の3着には6番人気ナカヤマパラダイスが入線。
1番人気サンアディユは大きく出遅れ16着と殿負けを喫し、翌9日には、栗東トレーニングセンターにて心不全のため死亡という不幸の結末を迎えてしまった。

勝ったプレミアムボックスは、前走の山城S(1600万下)を勝ってオープン入りを果たしていた。
この新進気鋭のスプリンターの今後の活躍は実に楽しみである。
ところで、サンアディユの急死には本当に驚かされた。
大きく伸び上がって出遅れたスタートと、サンアディユの急死との因果関係ははっきりしていないが、少なくとも決してスムーズな発馬でなかった事は誰の目から見ても明らかである。
あのゲートで何があったかは定かではないが、後味が悪くなるようなレースはあまり見たくないものである。


同8日(土)、阪神競馬場で行われたチューリップ賞(3歳牝、G3・芝1600m)は、スタートダッシュを決めてハナに立った5番人気エアパスカル(牝3、栗東・池江泰寿厩舎)が、最後の直線でも渋太く粘り込み、猛然と追い込む1番人気トールポピーをハナ差抑えて優勝した。さらにハナ差の3着には差してきた2番人気オディールが入線した。
結果、この上位3頭が桜花賞への優先出走権を手に入れた。

勝ったエアパスカルは、ウォーエンブレム産駒。
先週の当コラムで今注目の産駒について少し触れたが、このウォーエンブレムも今大注目の種牡馬である。
何しろ産駒の少なさの割に、最近多くの有力馬を輩出しているのが目立つ。
共同通信杯勝ちのショウナンアルバをはじめ、キングスエンブレム、ブラックエンブレム、アドマイヤミリオン、クランエンブレムなど逸材揃いだ。
新しくこのウォーエンブレム産駒の馬が出てきた際には、是非、注目してみたいものである。


翌9日(日)、中山競馬場で行われた弥生賞(3歳、G2・芝2000m)は、好位2番手からレースを進めた松岡正海騎手騎乗の2番人気マイネルチャールズ(牡3、美浦・稲葉隆一厩舎)が、最後の直線で早め先頭に踊り出ると、1番人気ブラックシェルの追撃を3/4馬身抑えて快勝した。
さらに1/2馬身差の3着に7番人気タケミカヅチが入線した。
結果、この上位3頭が皐月賞への優先出走権を手に入れた。

勝ったマイネルチャールズは、これで中山芝2000m3連勝で2着1回。
同距離・同コースで行われる皐月賞の最有力候補馬として注目されることだろう。
今年は関東馬の活躍が目覚ましく、“東高西低”の声も聞こえてくる今日この頃だが、それもいよいよ現実味を帯びてきたのかもしれない。
本番の皐月賞ではここ10年で僅か2勝と分が悪い関東勢だが、今年はチャンス大だろう。
果たして大一番で輝くのは波に乗る関東馬なのか、それとも関西馬なのかは分からないが、東西の力が拮抗したほうが競馬シーンがもっと面白くなるに違いない。だから今年は、関東馬の奮起に期待してみたいと思う。


同9日(日)、中京競馬場で行われた中京記念(4歳上、G3・芝2000m)は、中団で流れに乗った中舘英二騎手騎乗の6番人気タスカータソルテ(牡4、栗東・藤原英昭厩舎)が、最後の直線でインから抜け出すと、ゴール前の大激戦の中、2着の9番人気センカクをハナ差制して見事優勝した。さらにハナ差の3着には12番人気ワイルドファイアーが入線した。1番人気ローゼンクロイツは7着に敗れた。

勝ったタスカータソルテは、昨年5月の京都新聞杯以来の嬉しい勝利。
調子を上げていたこと、中京芝2000mの適性が高かったことも、もちろん今回の勝因のひとつなのだろう。
しかし、何よりも光ったのは、鞍上の好騎乗だったように思う。
鞍上を務めたのは、小倉大賞典で10歳馬アサカディフィート(10番人気)を勝利に導き、騎手リーディングでも現在2位につけるなど、今年絶好調の中舘J。
彼は現在42歳のベテランジョッキーだ。
最近、そんな中舘Jや、中山記念での好騎乗ぶりが光った横山典弘J等、ベテランJの奮闘が目立っている。
方や、先週デビューしたばかりの新人Jたちの今後の動向からも目が離せない。
ベテランも新人も、刺激し合い、お互い切磋琢磨して、今年の競馬界を大いに盛り上げて行って欲しいものだ。