研究員ヤマノの重賞回顧

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22日(土)、中山競馬場で行われたフラワーC(3歳牝、G3・芝1800m)は、好スタートを決めハナを奪ってレースを先導した松岡正海騎手騎乗の1番人気ブラックエンブレム(牝3、美浦・小島茂之厩舎)が、最後の直線でも渋太く逃げ粘り、8番人気レッドアゲートの強襲をアタマ差凌ぎ切り優勝した。
さらに2.1/2馬身差の3着には、2番人気シングライクバードが入線した。

勝ったブラックエンブレムは、今回1番人気に応えての快勝で、鞍上の松岡Jもこれで意気揚々として本番の桜花賞を迎えるのだろうと思いきや、鞍上の松岡Jのレース後のコメントは慎重なものだった。
後方からのレースを考えていたところ、馬に持って行かれて予定外に前々での競馬になったことを反省してのことのようだ。
それでも能力で勝ってしまうのだから、この馬の能力は並ではないということか。
これでまた1頭有力馬が出現して、いよいよ混迷を極めてきた今年の桜花賞。
他にも強力な牝馬は多いが、今年の競馬界を席捲しているウォーエンブレム産駒のブラックエンブレム+弥生賞をも制し波に乗るストイックな若武者、松岡Jのコンビが栄冠を手にしても全く不思議ではない。
果たして勝利の女神は誰に微笑むのだろう。


翌23日(日)、中山競馬場で行われたスプリングS(3歳牡牝、G2・芝1800m)は、スタートを決めて好位で折り合った小牧太騎手騎乗の6番人気スマイルジャック(牡3、美浦・小桧山悟厩舎)が、最後の直線半ばで早め先頭に立つとそのまま粘り込み、インから差してきた11番人気フローテーションの追撃をクビ差退け栄冠に輝いた。さらに1.1/2馬身差の3着に1番人気ショウナンアルバが入線した。
結果、この上位3頭が皐月賞への優先出走権を手に入れた。
なお、2番人気サダムイダテンは12着に敗れた。

今回のスマイルジャックの優勝は、馬の能力もさることながら、手綱を取った小牧Jの好騎乗無しには語れないだろう。
好スタートを切ってハナに立ったものの、その後一度下げ再度抜け出しを図るという味なレースぶりは光っていた。
ところで、小牧Jは園田出身の地方からの移籍組だが、奇しくもこの日、西では阪神大賞典で同じ園田出身の岩田Jが優勝。
岩田JのG1 3勝に対し、小牧JはG1未勝利と今のところ水を開けられているが、いよいよ大チャンスがやってきた。
このチャンスを最大限に生かして、大仕事を成し遂げて欲しいものだ。


同23日(日)、阪神競馬場で行われた阪神大賞典(4歳上、G2・芝3000m)は、好位2番手からレースを進めた岩田康誠騎手騎乗の4番人気アドマイヤジュピタ(牡5、栗東・友道康夫厩舎)が、最後の直線入り口で逃げ馬をかわすとそのまま脚を伸ばし、インから伸びてきた5番人気アイポッパーを2.1/2馬身差退けて快勝した。
さらにクビ差の3着には1番人気のポップロックが入線した。

勝ったアドマイヤジュピタは、これで重賞2勝目だが、長距離路線の強豪を倒しての今回の優勝は、長距離路線の新しいスター誕生と言っても過言ではないのかもしれない。
陣営にとっては、かつて右後ろの飛節の骨折で1年5ヵ月もの休養を余儀なくされた経緯があっただけに、その喜びはいかばかりか。
そんな陣営の中でも、最も喜びが大きかったのは、オーナーの近藤利一氏かもしれない。
近藤利一氏といえば、「アドマイヤ」の名を冠する数々の名馬の馬主で、阪神馬主協会会長を務める名士だが、朝青龍氏と親交が深いことでも知られている。
この日、4場所ぶりで復活の優勝を成し遂げ、花道を引き揚げてきた朝青龍を最初に祝福したのは、近藤利一氏だという。
彼にとってはまさに至福の一日だったに違いない。