凱旋門賞1番人気・キャメロットがセントレジャーSへ

トピックス

英イングランド中北部サウスヨークシャー州にあるドンカスター競馬場が、世界で最も歴史のあるクラシック競走セントレジャーSの舞台である。1776年に創設され、今年第236回を数えるG1セントレジャーS(芝1M6F132Y)は、ニューマーケット競馬場で行われる2000ギニー、エプソム競馬場で行なわれるダービーに続く、三冠レースの最終戦である。三冠馬は1970年のニジンスキーを最後に出ていない。

近年三冠レースに対する価値観の違いでセントレジャーSには見向きもしない傾向にあったが、今年は愛バリードイルのキャメロットがこれに挑むことになった。凱旋門賞の前売り人気で1番人気に推されているキャメロットが出走すると同時に、ニジンスキーがセントレジャーSを使った為に凱旋門賞で2着に敗れたことを理由に、キャメロットがレース後に凱旋門賞を使うかどうかの判断も大きな注目である。

15日のセントレジャーSには現在11頭の登録がある。キャメロットの他、バリードイルはパリ大賞典勝馬インペリアルモナークとシャモニクスをエントリーしているが、シャモニクスは昨日10日に愛ギャルウェイ競馬場の準重賞オイスターSを6馬身差圧勝しただけに使ってこないだろうと思われる。またインペリアルモナークは16日ロンシャン競馬場で行なわれるG2ニエル賞との重複登録である。

前哨戦のG2グレートヴォルティジュールS(芝1M4F)からは、先行して逃げ切ったジョン・ゴスデン厩舎のソートワーズィ、1番人気に推されながらスタンドサイドから追い込んでクビ差及ばず2着のメインシークエンス、ゴドルフィンの3着馬エンケ、5着のトーマスチッペンデールがエントリーしている。レースの残り5ハロンのラップは、11秒77、10秒78、10秒96、11秒89、12秒35、残り5ハロンは57秒75、4ハロンを46秒98、3ハロンが35秒20で走った計算になる。

過去4勝と最多優勝回数を誇るジョン・ゴスデン厩舎は準重賞勝馬でG3ゴードンS3着のマイケランジェロとペースメーカーとしてダートフォードを用意している。しかし、大将格はソートワーズィ、その先行力はペースメーカーを使って更に倍増されそうである。ウイリアム・ハガス厩舎のギャランティーは3歳デビューで、目下長い距離を3連勝して来た。トーマス・カーモデー厩舎のアーサメイジャーも3連勝でG3愛セントレジャートライアルSを勝って来た。

デヴィッド・ラニガン厩舎のダービー2着馬メインシークエンスは、当初ニエル賞に行く予定だったが、土曜日の調教が良かった為、予定を変更してセントレジャーSにターゲットを絞った。アルデバラン産駒に距離が心配だが、陣営は勝つためにストロングペースを望んでいる。

モンジュー産駒の3歳の牡馬キャメロットは、目下G1・4連勝、無傷の5戦5勝。エイダン・オブライエン調教師は、2001年のミラン、2003年ブライアンボルー、2005年スコーピオンでセントレジャーSを勝って来た。1970年のニジンスキー以来となる三冠馬誕生に向けて、オブライエン調教師は気持ちが高ぶりナーバスになって来た。しかし、日本人ワーキングライダーの柘植要(つげかなめ)さんが、「大丈夫」と太鼓判を押してくれて気持ちが楽になったと言う。

ダービーでメインシークエンスに5馬身差、愛ダービーでボーントゥシーに2馬身差を付けて勝った力は違い過ぎる。目下、ブックメーカーの人気は、キャメロット1/3、メインシークエンス2/1、マイケランジェロ3/1、ソートワーズィとギャランティーが4/1で続いている。尚、天気予報では週半ばに雨の予報が出ているが、木曜から乾燥予報も出ている為連日散水してコンディションを整えるということである。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。