-アーリントンC-平林雅芳の目

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土曜阪神11R
アーリントンC(G3)
芝外1600m
勝ちタイム 1.34.8

コパノリチャード(牡3、ダイワメジャー・栗東・宮厩舎)

コパノリチャード、10.9と抜け出す時の脚が速い!

コパノリチャードのただ一度の敗戦はカオスモスに負けた2戦目であった。その当面の相手と人気を二分する前売り状態。でも今の成長度では、もうカオスモスには負けまいと思えるものだった。
逃げたカシノランナウェイの2番手を楽に追走。そして直線入り口からはもう先頭に立っていく。その時のゴールから2ハロン前のラップが10.9をマーク。最後は11.8でまとめて、カオスモスにコンマ2秒と以前の借りを返した。レッドアリオンが渋太く伸びて、カオスモスにクビ差届かずではあったが善戦した。
事実上の一騎打ちとなったコパノリチャードとカオスモス。皐月賞へのプランもあると噂される今後だけに、大いに楽しみとなった・・・。

前の週の戦いを終えて次の戦いへと進むサイクルの中で、いちばん穏やかな時間の火曜朝、栗東トレーニング・センターの調教師席。アチコチで談笑している調教師と報道関係がいた。そんな中で宮調教師と話すことができた。
《次は決まったのですか~》『皐月賞です』《あの10.9の瞬発力は凄いですね》『前に馬がいると抜こうとするんですよ~。むしろ先頭に立ってしまえば、それが治まる。距離は大丈夫と思いますよ~』であった。ついでにジョッキーにも聞いたが、そこはこの欄と関係ないので割愛する。
それを傍で聞いていた南井師が『じゃ~うちのと一緒だな。皐月賞は』とタマモベストプレイを言う。皐月賞へと駒を進める馬の概要が判ってくる。貴重な時間でもある。会話はまだ続いて《コパさんの馬が良く活躍してますね~》へ『うちではこの馬の2勝だが、村山君の処は今年4勝もしたよ・・・』であった・・。

レースを振り返ってみる。スタートでタガノエンブレムが出てからのダッシュが、あまりない。外でメイショウヤマホコがスタート直後狭くなった様で、少し手綱を引いて取り残される。真っ先に出たのがコパノリチャード。すぐ内からカシノランナウェイが二の脚で前へと出ていく。それをチラっと見たビュイックJ。少し引き気味とする。内から押して来ていたカオスモスが、少し抑え気味となった処で1ハロンを通過する。12.6だ。ややコパノリチャードは手綱を引っ張って長い脚を突っ張って抑えているのが見える。内からレッドアリオンとケイアイヴァーゲが4番手。その外にラブリーデイだ。

手綱を短く持ったビュイックJのコパノリチャードが2番手、1馬身差となって2ハロンを通過。11.3とまだ速くならない。最後方メイショウヤマホコまで10馬身ぐらい。かなり行きたがるコパノリチャードを抑えるビュイックJ。3番手が1馬身差で、カオスモスとラブリーデイが並んで3コーナーのカーヴを廻っていく。12.0とますますペースは落ちている。そのまま態勢変わらずで、次のハロンも通過。12.4がふたつ続く。中団の後ろにいたレッドジャイヴが上がってくるが外へ逃げである。
4コーナーが近づき、当然に前のグループは前の馬に並びかける様に少しずつ順位を上げている。その一番前のグループ。コパノリチャードの外へとレッドジャイヴは上がる勢いだが、浜中Jの右手が手綱を内へ引いている。カーヴを廻って直線へと入って来た。

外廻りから柵が途切れて、次いで内廻りのラチへと進める間のポッカリと開いた処で、もうコパノリチャードは何もせずに先頭である。すぐ真後ろを、ラブリーデイの内から抜け出そうとしているカオスモス。レッドアリオンが左の舌を出しながら、ラブリーデイの外でゴーサインを出そうとしている。
残り300のオレンジ棒を待たずに、ビュイックJが追い出した。手綱でしごいて押していく。残り1ハロンを過ぎるあたりで後続へ1馬身、1馬身半と差を広げた。そこで右ステッキが入る。まだ2番手はレッドアリオン、カオスモス。真ん中ノラブリーデイと優劣がつかない。
ビュイックJの渾身のステッキが何度か入る。ジョッキーの大きなアクションで内ラチ沿いを伸びていくコパノリチャードだ。やっとカオスモスがレッドアリオンを振り切って2番手を確保してゴールへと入った。
11.4~10.9~11.8が上がり3ハロンの数字である。これを抜くにはもっと凄い数字を出さねば無理。

かくしてコパノリチャード。3勝目で重賞制覇となりこの後、皐月賞へと夢の続きとなるのであった・・・。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。