-阪神大賞典-平林雅芳の目

トピックス


日曜阪神11R
阪神大賞典(G2)
芝3000m
勝ちタイム 3.05.0

ゴールドシップ(牡4、ステイゴールド・栗東・須貝厩舎)

威風堂々、ゴールドシップの今年の初陣だ!!

《あの馬以外には負けられぬ》そんなゴールドシップの心のうちが聞こえてきた様な気がした。ゴールドシップは、年度代表馬の座を奪われたあの強い牝馬と実際に戦って負かすまでは・・と思えたものだ。
重厚な勝ち方だった。残り1ハロン、内田博Jが右ステッキを抜いたが、すぐにそのステッキを振りぬくといった感じではない。その合い間に視線は右前方のオーロラビジョンでちゃんと確認している。1発ずつ、1発ずつ丁寧に入れていた感じだった。まだゴール前は見せムチをしているみたいに、ゴール板の意識をさせて通過していった。ここでは正直相手が違うよ~と後ろ姿が語っていた様だった・・。

検量室の前、内田博Jを待つ間、周回しているゴールドシップ。息も乱れず、ただモクモクと周回している。赤いレイをJRAの職員が持ってきて助手に手渡す。そのそばで大きく息を吐く須貝師。やはり休み明けの緒戦は気を遣うのだろうと推察する。
パドック見上げるオッズ板には、赤い数字となった複勝の100円元返しの表示。単勝のオッズでさえも1.1倍を示していた。いつもより少なめなパドック廻りのお客さんの数だ。やはり馬券的な妙味が無さ過ぎるからか。
そしてどの馬も大人しく周回している。馬場入場はどの馬よりも早くゴールドシップが入った様子で、みんなが紹介されている時には2コーナーのポケットで佇んでいた。
スタートは出遅れたというよりも、ユックリと出て行ったという感じだった。ベールドインパクトが前に行くのかもと観ていたのだが、ジンワリとした感じ。一番外からマカニビスティーが先手を主張して行った。フォゲッタブルが2番手。ゴールドシップが最後方、その少し前をデスペラード。ベールドインパクトはちょうど真ん中といった感じで、最初の4コーナーを廻って直線へと入ってきた。後方組は内ラチ沿いを進む。

スタンド前ぐらいが13.1とペースを少し落とした様だが、その他は12秒台前半のラップを刻んで行く小牧マカニビスティー。2コーナー、向こう正面となってもまだ動きがない。
3コーナーに入るあたりで、ゴールドシップが最後方から2頭ぐらい抜いて少し前に出た。淡々と進んで3コーナーからペースが上がる。ゴールドシップが上がって行く時とベールドインパクトが動き出したのが一緒になった。2頭が外を上がっていく。こうなると、前で脚を貯めていたベールドインパクトの方が有利なはずだがと瞬間に思った。デスペラードはまだ仕掛けてない。

4コーナーを廻って、フォゲッタブルがマカニビスティーを抜いて粘っている。その外をベールドインパクトとゴールドシップが伸びて行く。しかしベールドインパクトの脚色がそう良くない。ゴールドシップが伸びて行く。
デスペラードが外から伸びて行くが、内のフォゲッタブルの脚色が衰えない。粘りに粘っている。
ゴールドシップが抜けて、かなり差が開いたと思えたのだが2馬身。やっと交したと思ったフォゲッタブルとの差が1馬身と、デスペラードは見た目以上に脚を使っていた。
ベールドインパクトは前から5馬身も離された4着と、思いのほか走れていなかった。

春天皇賞はオルフェーヴルもいる。ハッキリこのメンバーでは楽に勝たねばならない。着差は2馬身でも、とてつもなく大きな差を感じたこの大賞典であった。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。