平林雅芳の目

トピックス

土曜阪神11R
アーリントンC(GⅢ)
芝1600m
勝ちタイム1.35.6

勝ち馬:ダブルウェッジ(牡3、栗東・田所秀厩舎)

キャリアの差。ダブルウェッジが抜け出す。

13頭と、フルゲートに満たない競走は今年も続くのか。
新馬勝ちしたばかりのアイアンルックが中1週でも出走できて、1番人気に支持された競馬。
しかし一番先にゴールインしたのは、キャリア7戦のダブルウェッジ
後続を見事に封じて重賞初制覇を果たした・・・。

パドックを周回する馬を観ていて、4連勝のスーニはなるほど立派な好馬体の持ち主だという印象で、いかにもパワフルな感じに見受けられた。
アイアンルックは、ちょっと入れ込み寸前の高いテンションだった。ギリギリ我慢しているといった印象だったが、馬体はなかなかのもので雰囲気のある馬に感じたし、1番人気支持もなるほどと思わせる馬だった。

ゲートが開いたが、アイアンルックの出足はあまり速くなかった。
ダッシュよく先頭を切ったのは、最内枠のダブルウェッジ
すぐにケイアイテンジンがスッと馬体を並べて前を伺った。
その後ろにマイネルエルフがスーッと上がっていった。
そこへ外からジョーメテオが、行き脚をつけて先頭に躍り出た。
2番手にマイネルエルフ
そこから3馬身ぐらい後ろの内ラチ沿いに、好発のダブルウェッジが控えた。
3角過ぎたあたりで、前の3頭が縦長の流れとなっていた。
4番手に関東から遠征のアドバンスヘイロー。鞍上が三浦Jで注目を浴びていた。

4角手前で、アドバンスヘイローの後ろにいたスーニが、上がり気味だがやや外へもたれている感じで、内田博Jが手綱で矯正している様であった。
4角を廻って先頭に踊り出たのが、デムーロJマイネルエルフ
その後ろの外目で、ダブルウェッジが前を伺っていた。
外目から、今日は逃げなかったミッキーパンプキンが、終いの脚を伸ばしてグイグイと来ていた。
アイアンルックミッキーのまだ後ろ。
4角で馬場の真ん中、馬ごみの後ろにいた。

一瞬前が横に開きそうになってそこへ馬首を向けたが、すぐに狭くなり待機となった。
前はと見ると、逃げ込まんとするマイネルエルフを交わして、小牧J騎乗のダブルウェッジが先頭に踊り出た。
2着にマイネルエルフが残り、外からミッキーパンプキンが脚を伸ばすが届きそうもなかった。
その横にやっと外へ出せてスペースができたアイアンルックが末脚を伸ばしてきたが、届く態勢ではなかった。
5着には、内から伸びていたタイガーストーンが顔を覗かせて粘りこんだ。

勝ったダブルウェッジは、シンザン記念でも際どく2着した馬で能力はあるのだが、毎回、ゴール前1Fあたりから、内へ外へとフラつく様な処があった馬。
それが今日は道中内ラチ沿いを走り、直線も前に馬がいて、いつもの悪癖を出さないまましっかり伸びきれて、見事重賞制覇。
能力をちゃんと出し切った結果であろう。
好発から他に行く馬を行かせて終い脚を温存し、ゴール寸前にチョイ交わす最高の競馬だった。
鞍上の小牧太Jも、完璧な騎乗で結果を出せた。
2着のマイネルエルフは、前走からすると大変身。
前で競馬ができて、最高に力を発揮できたことだろう。
惜しかったのはアイアンルック
ゲート内で若さをモロに出してダッシュが付かず、後方からの競馬は仕方ないが、道中の手応えや直線に入る時の感触もそんなに余裕がなく、大外へ進路をとれなかった。
最初から大外へ出せていればと思わせる内容も、こればっかりはタラレバ。
『走るわ~!』と鞍上も残念そうであった。


日曜阪神11R
阪急杯(GⅢ)
芝1400m
勝ちタイム1.21.1

勝ち馬:ビービーガルダン(牡5、栗東・領家厩舎)

ビービーガルダンが重賞初制覇を果たす!!

ポンと好スタートを切ったのはドラゴンファング
しかし安藤勝Jビービーガルダンも、好発から馬体を並べてくる。先手をとる気迫であった。
ドラゴンファング武豊Jが、少し馬をひく形となった。
そこへダッシュを利かしたローレルゲレイロが、外から先手を主張。
すかさず馬を抑えてビービーガルダンが2番手、3番手にドラゴンファングと流れが落ち着いた。
マイネルレーニアはあまり先行する気配がなく、4番手ぐらいまで上がってきていたが、それ以上前に上がって気配はない。
3角過ぎぐらいで、外目のファリダットが少し掛り気味な感じとなっている。

意外と縦に長い、前の3頭の位置。
先頭を行くローレルゲレイロ
2番手をビービーガルダンは4馬身ぐらい後ろか。
3番手ドラゴンファングビービーガルダンからそうは離れてはいないが、後ろの動きもない感じ。
最初の3Fの入りは34.1だからそんなに速くないが、その後が11秒台を刻むローレルゲレイロ
でも開幕週だから、これぐらいのペースで推移するのは当然な事。
決して速くは感じないが、後ろのグループから勢いついて上がってくる馬の気配がない。

そして直線に向いた。
前の3頭は当然に内ラチ沿いを進んだ。
2番手のビービーガルダン安藤勝Jが後をチラッと見て、動きを確認したのか前を交しにかかる。
スッと反応して、前を行くローレルゲレイロを交わして楽な手応えでゴールへと進んだ。
3番手で直線に向いたドラゴンファングは、外目に少し出して前を追う態勢であるが伸び脚に加速がつかないようだった。
むしろ、前を行くビービーガルダンのほうが脚色は明らかに勢いがあった。 しかし後続がドッと詰め寄ってくる気配もない。
前の馬2頭がそのままゴールへ進み、3番手を粘るドラゴンファングを追い詰めてきたのはフィールドベアーとその外からきたトウショウカレッジ
しかし伸び脚はそんなに凄くはなく、3着まで間に合わずの4、5着であった。

1番人気のファリダットは、直線で猛追の脚を見せるかと思っていたが、そんな感じは出せずに流れ込んで7着に終わった。
勝ったビービーガルダンからは1秒の後塵を浴びる結果であった。
自分で競馬を作っていくタイプでないから、今日のような競馬の形は不利。
どうやらこの馬の良さを発揮できる舞台とはならなかったのだろう。
マイネルレーニアは好位4番手での競馬だったが、終い全くいい脚を見せずに12着。
GⅠ馬のファイングレインも、59キロや最内枠よりがこたえたというよりも、流れが向かなさ過ぎたのだろう。11着と思わぬ大敗を喫してしまった。

いつもスタートダッシュのいいビービーガルダンが、今回もポンと出て先手を主張しておいて、ローレルが来たら2番手に控え、前々で脚を貯める理想的な競馬を演出。
先行馬有利な馬場コンディションと後続を完封する流れを造れたのが、最大の勝因だろう。
千四の距離で、逆に今まで使ってきた千二以上に楽な競馬っぷりとなり、能力を最大限に出し切ったものであった。
開幕週であり、先行有利な馬場は当然に読めるのだが、こんなにも見事に決まってしまうとは、であった。
3月29日の中京での高松宮杯(GⅠ)に直結する結果とは思えないものの、短距離路線も毎回難しい競馬が続くと実感させられる思いでもありました・・・。