クラシックへ向けての意気込みを力強く語ってくれた三浦皇成騎手

3戦3勝とパーフェクトな成績で桜花賞へ名乗りをあげたクラウンロゼ。その実績・レース内容もさることながら、低評価を覆し続けた、いずれのレースも三浦皇成騎手が背中にいたことは忘れてはなるまい。
桜花賞(G1)はクラウンロゼ(牝3、美浦･天間厩舎)、皐月賞(G1)はクラウンレガーロ(牡3、栗東･日吉厩舎)と、“両クラウン”でクラシックへ挑む三浦騎手。4日(木)は栗東トレセンに訪れ、クラウンレガーロの追い切りにも騎乗したが、両馬の展望と直前に迫った桜花賞への勝算について、直撃した。

－：桜花賞のクラウンロゼなんですけど、今日の動きを見られましたか？

三浦皇成騎手：見ました。馬は本当に落ち着いてましたし、幅が出ていた感じがありますね。本当に1戦1戦、あの馬に関してはビックリするぐらい良くなってきてくれています。前々走より前走の方が、乗っている谷中助手も厩務員さんも「格段に良い」と言ってましたし、それよりも「今回の方が良い」と言ってるので。「コッチの雰囲気にもすぐに慣れてくれた」と言ってましたし、精神的にもシッカリしてきたなというか。元々、競馬ではカリカリしている馬だったんですけれど、1戦1戦落ち着いてきましたし、この間もレース前、ドッシリと構えてくれていたのでね。

－：競馬であんまり不安がないタイプですか？

皇：そうですね。本当に色々な競馬をしてきましたし、今回は前に行く強い馬もいますし、後ろから来る強い馬もいますし、そういう意味では今回を見据えた競馬をしたんですけれど、中団でシッカリと折り合って、伸びてこれましたしね。何の注文もなく、不安もなく競馬に臨めると思いますね。

－：この馬は馬場が悪くなったら？

皇：本当に素軽い馬なので、良い馬場がもちろんいいと思うんですけれど……。この馬はどちらかと言うと切れ味というか、常に良い脚をずっと長く使えるのでね。今まで本気で走ってないので、そういう意味では力強さも出てきてますし、渋った馬場で力比べになった時も頑張ってくれるんじゃないかと。

－：乗っていて、結構、弾んで走るタイプ？

皇：本当にトモのバネは良いモノを持ってますし、体全体を使って走る感じなので。阪神の直線も合いそうですしね、コース形態的にも。

－：先週あたりは阪神もかなり外差し馬場になって？

皇：そうなっていますからね。そういう意味では前回のアネモネＳの競馬が活きてくるんじゃないかなと。本当にどの枠でも、どの位置でもペースを見ながら競馬をしようと思っているので。

－：ちなみに、前回のアネモネSで試してみたところがあったら教えて下さい。

皇：今までは、初戦は2番手、前々走はハナに行って勝っていて、まあ本当に調教を見ていても、この馬に乗っていても、もっと終いで脚を使いそうなんですけれど、早く抜け出しちゃうんのでね。ソラを使って、全然こう本気で走ってくれないというか、そういう意味ではもっとタメて我慢して、前に馬、目標を作ったほうが、終い一生懸命走ってくれるんじゃないかなと思っています。

まあ、先行馬でも強い馬いますし、そういう意味でその先行馬を見る競馬っていうことで、前回アネモネS、いろいろ試したんですけれど。本当に、追い出した時は一生懸命走ってくれて、一瞬で抜け出しちゃったのでね。4コーナー、直線回った時は先頭だったので、そこからはずっと遊びっぱなしで、遊んでいても、最後の中山の急坂をしっかり走ってましたし、レースが終わった後もケロッとしていたので、これなら阪神の馬場も大丈夫だなっていうか。

－：ゴール前も抑える余裕？

皇：本当に余裕でしたし、前回に関しては完勝だとは思うんですけれど、それ以上にやっぱり収穫を得るものは大きかったと思うので。相手関係はね、正直、やったことない馬ばっかりですし、そこも周囲に言われているところでもありますし、確かにそこは分からないですけれど、この馬のポテンシャルだったり、競馬のセンスの良さとかで、カバーしてくれるんじゃないかなと。十分にやりあえるまでのステップは踏んできていると思うので。

－：先週、谷中さんが追い切りに乗られて、見ていると、すごく軽く見えたんです。時計は82秒台で終いもけっこう速くて、見た目と時計が全然違うんですよね。

皇：そうですね、元々デビュー前から調教は動く馬でしたし、そういう意味で期待もされていたんですけれども、まあ本当に馬もしっかりしてきて、トモの力がついてきたんで、その分、多分跳びも結構大きくなっているでしょうし、そういう窮屈な走りはしていないんで、それはこの馬の武器でもあるんで、武器というかセールスポイントでもあるんで。

－：じゃあ、土曜日の阪神はあまり大量に雨が降って欲しくないというのが本音ですか。

皇：いやまあ、別にどんな馬場でもこの馬のリズムで走れればしっかり走ってくれると思うので。そんな道悪がダメなイメージはないですし。でも、やっぱりG1ですからね、晴れた良い馬場でやりたいのは確かですし。それはどの陣営の人も願っていることだと思うので。良い馬場でいっぱいお客さんが入った中で競馬をしたいなっていうのはあります。

－：今年の3歳牝馬路線はかなり混戦で……。

皇：そうですね。

－：どれがどうとか分からない。

皇：そうですね、まあ混戦ですけどね、どの馬もレベルが高い馬だと思うんで、乗り方だったり、展開、馬場、枠順、もうそれホント一つで全部変わってくるんじゃないかなとは思うので……。まあフタを開けてみたら分からないですけれど。まあ、運にも味方してもらいたいなというのはありますし、いや、大丈夫ですよ、内枠でもどこでも。競馬が上手なので。後は流れを見ながらじっくり行きたいなというのはあるので。

クラウンレガーロを管理する日吉調教師(左)とクラウンロゼのラボファミリー・谷中助手(右)の“チーム・クラウン”

－：阪神の1600m芝というのは、乗りやすいコースですか？

皇：う～ん、そうですね、乗りやすいのは乗りやすいですし、本当に持久力がある馬っていうか、力がある馬には持ってこいの馬場だと思うので、そこでロゼの良さを活かせればなっていうのはありますけれど。距離的には正直、もうちょいあったほうがいいのは確かなので……、ただ広いコースですし、ゆったり構えられるんじゃないかなと思いますけど。

－：アネモネSを見たら、外を回して、あれだけ余裕で勝てるというのはないのかなという……。

皇：いや～結構ね、見た目以上にキツい競馬をしてるので……。最初、行きたいところを我慢して折り合って、もう3コーナー前から、前の馬を見ながら自分で外から動いていっている競馬をしてるので、それであれだけ余裕があるのは心肺機能もしっかりしている証拠ですし、能力のある証拠だと思うんで。道中もね、コースが広い分、コーナーそんなに仕掛けなくていいので、直線までしっかり脚をタメられると思いますし、あとはどれだけ弾けてくれるかっていうことですね。

－：弾けられる馬場だったらいいですけどね。

皇：まあ、そうですね。

－：雨降ったら、こうね……。

皇：でも、どの馬もそれは一緒だと思うので。あとは、無事に競馬まで行って欲しいですね、それだけです。

－：フェアリーで、ずっとハナに行っていますけれど、それもソラを使いながらですか？

皇：もうそうですね、4コーナーからずっとこう外張って、内物見しながら走っていて、で、もう1馬身くらい交わされているんですけれど、1馬身交わされて、ようやく馬がハミを取ってくれて、また並びかけて遊んでって。ずっとその繰り返しだったんです。

－：ずっとそのまま2頭で。

皇：もう本当に、一回もこう本気になって走らせてあげられなかったので、そういう意味で、いろいろ考えてアネモネＳは乗ったんです。それでも遊ばれちゃったんでね……、逆に言えば、それがこの馬の良さでもありますし。

－：じゃあ、強い馬がいてというのが、ちょっと楽しみですね。

皇：そうですね、これで本当にいい競馬をしてくれるのなら相当なものだと思います。みんな気にしているのは、今までよりやってきた相手関係だと思うので……。これまでもやっとこさっとこ勝っていた競馬じゃないんで、もう余裕を持ってね。勝つよりも、競馬を教えようという競馬で勝っているというのは、やっぱり力がある証拠ですし。まあ、あとは「楽しみにしていてください」というところです。

－：桜花賞、皐月賞両方クラウンに乗る。これも珍しい。

皇：ねえ、ビックリですね、いや～、何かの縁なのかなと思いますし。

－：両方チャンスありますね。

皇：そうですね、本当に。その期待に応えられるように。本当に、男馬も女馬も今まで自分で権利を取ってきて段階踏んできてっていう馬が、今まで経験上そんなになかったんで、この若馬Sで、そういう経験をさせてもらっているってことも本当にありがたいですし、任せられた以上、やっぱりしっかり結果も出さなければいけないと思うんで。一戦一戦、本当に気を引き締めながら乗っていますし、今回が一番の勝負だと思っているんで。でも、どちらにしても将来性ある馬なので、そのへんもしっかり考えながら、いい競馬してあげたいなとは思いますけどね。

－：突然の取材でしたが、ありがとうございました。

三浦皇成騎手インタビュー続編
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