平林雅芳の目

トピックス

土曜中京11R
中京記念(GⅢ)
芝2000m
勝ちタイム2.00.4

勝ち馬:サクラオリオン(牡7、栗東・池江郎厩舎)

池江郎厩舎の勢い凄くサクラオリオンが重賞初制覇!

冷たい風が吹き荒れ、まだまだ春遠い感の中京競馬場初日。
中京記念に精鋭18頭が集った。
しかもハンデ戦で、何やら荒れる予感を感じさせる戦前の空模様だった。
一番人気は、小倉大賞典で僅差の2着と惜敗だったヤマニンキングリーが、単勝2倍と圧倒的な支持を受けた。中京コース2戦2勝と好相性で、鞍上も武豊J。
大きな期待を受けてのゲートインとなった・・。

内ではレッツゴーキリシマの出はそう速くはなかった。
最初から外のヴィクトリーが先手を主張していた様子で、内へと切り込みながら先頭に踊り出た。
そしてダッシュのついたレッツゴーキリシマが2番手で、最初のコーナーを廻った。
ヤマニンキングリーは最内枠から4、5番手で進んだ。
少し前にセラフィックロンプが、後ろには3頭出しの池江郎厩舎のサクラオリオンが続く位置どりである。
ちょっと速かったのも2コーナーを廻るあたりまでで、その後はゆったりと流れていく平均ペースの競馬となった。

前の馬のポジションは変わらないが、4、5番手につけていた最内のヤマニンキングリーが、前を行くセラフィックロンプの外へと出す動きをした。小廻りコースだけに速めに動ける態勢をとったものと推測された。
その位置のまま4角へ突入。
ヤマニンキングリーの手応えは十二分であった。
直線入り口では、少し前を行く池江郎勢のドリームサンデーを外へ少し弾くようにスペースを広げた。
そして開いた隙間にスッと入って、前を行く2頭を追いかける勢い。
内ラチ沿いをまだ勢い衰えずに粘るレッツゴーキリシマを射程権に入れた。

本命のヤマニンキングリーが4角で通ったその道を、同じようにサクラオリオンが付いて行った。
道中もほとんどヤマニンキングリーを観る形で、絶好のポジションに位置していたもの。
ゴールまで後10メートルを切ったあたりで、前を行くレッツゴーキリシマに並びかけ抜いたヤマニンキングリーは、一瞬だけ先頭に踊り出たはず。
しかし、後から一完歩ずつグイグイと伸びていたサクラオリオンが捕らえて抜き去り、15番人気馬が大本命馬を差し切る波乱の結末となった。
実に26戦目にしての重賞初制覇。
ヤマニンキングリーは力を出し切ったのか、ゴール寸前では内のレッツゴーキリシマのほうへと、少しもたれ加減となってしまった。
1、2着の差より2、3着の差が少ないのは、ヤマニンキングリー自身が最後にバテたような感じとなってしまったからか。

それにしても驚くべきは、3頭出しの池江郎厩舎。
バトルバニヤンドリームサンデー、そして3頭の中でもっとも人気が薄いサクラオリオン
そのサクラオリオンヤマニンキングリーをマークする形となり、そのまま差し切った大金星。
オープン入りして4戦目での快挙で、千八やニ千を主体に使われてきた馬だった。今回も前2、3走前と同じようにハンデ戦で53キロでの出走。
前に目標がいたとは言え、外から差し切った脚はなかなかのものであった。
一方敗れたヤマニンキングリーは、むしろ前走小倉大賞典のほうが惜しかったような内容。
今回は完全に勝ちパターンの競馬で、自分さえそのまま伸びれば優勝のシーンをものに出来なかった。
ハンデ戦だけに軽量馬にやられたのもあるが、自身が持てる力を振り絞ったとはいいがたい感じの結果ではあった・・。


日曜阪神11R
フィーリズレビュー(JpnⅡ)
芝1400m
勝ちタイム1.22.4

勝ち馬:ワンカラット(牝3、栗東・藤岡健厩舎)

今年の緒戦を快勝で桜へ、ワンカラット輝く!!

一番先にゲートを出たのが、ワンカラットであった。
そして大外枠から、ダッシュを利かして先頭へとラヴェリータが飛ばした。
いや飛ばしたのは3角までで、後は平均ペース。淡々と流れたのである。
2番手には、内からキリコンサート
ワンカラットは3番手となり、その横にレディルージュ
その後にアイアムカミノマゴといった態勢。
ミクロコスモスは、ゲートはそう速くもなく遅くもなく、ジワッっと出て枠順のなりで、中団の外目といった位置であった。

前を行くラヴェリータに内のキリコンサートだが、すぐ後の2番手グループも追走が楽なほどの流れとなった。
中団の外目を行くミクロコスモスがどこで上がっていくのか、どこで一気に勝負に出てくるのか、場内が固唾を呑んで見守っているのがよく判るような『ま』が感じられた。
しかし、前を行く馬達のスピードがそんなに上がったようにも見えないし、本当に淡々と流れていくうようなトライアル戦となった。
4角手前で、外から楽に上がってきたミクロコスモス
しかし横に広がる4角のコーナーリングとなり、内を行くグループとはちょっと離れた位置となっているように見えた。

直線に向いたところで、3番手で上手く流れに乗り脚を貯めにためていたワンカラットが、最内を狙った。
その後のレディルージュも、追いかけるように伸びていた。
先頭を行っていたラヴェリータも大きくはバテてはいないが、明らかに2番手グループ達の伸びのほうが優っていた。
アイアムカミノマゴが内から外へと進路をとって、前を行くレディルージュワンカラットを追った。
ミクロコスモスは大外から伸びては来ているが、ジワジワっとした勢いで内目の3頭との差は、はがゆい程に縮まらなかった。

直線1Fを過ぎて、レースの大勢は内の3頭の争いとなった感があった。
やはり一番先に抜け出たワンカラットの勢いがよく、ゴールにグングンと近づいて行った。
粘るレディルージュを外からアイアムカミノマゴが抜き去るが、その前には届かない勢いだった。
最後は前の3頭が同じような間隔でゴール。
そこから少し水が開いた感じで、ミクロコスモスが流れこんだといった感じの4着。
5着は最後方グループを進んでいたアイレンベルクが、いつの間にか来ていたといった感じだった。

惜しいとか、凄い脚を使ったとかの内容でなかったミクロコスモスであった。
藤岡佑介Jは、先週のブエナビスタの2着サクラミモザといい、今回のワンカラットといい、大殊勲の競馬っぷり。
もっともワンカラットは、暮れの阪神ジュベナイルに出走していた馬。
当時5番人気であったが、結果は12着。
今回リフレッシュ放牧明けでの出走で、見事結果を出したもの。
当時3着だったミクロコスモスが、休み明けからこちらの2戦がちょっと足踏みの内容。明暗を分ける結果となった。

やはり最近の馬場状態と競馬の流れからも、先行する馬、内目を通って競馬する馬に好結果が出ているようだ。
もっともブエナビスタは大外を廻ってもキッチリと桁違いの脚を出しているように、今年の牝馬では抜けた存在であるようだ。
桜花賞の優勝レイは、ブエナビスタの胸に架けられる公算がますます高くなったのは事実のようだ・・・。