5月4日のケンタッキーダービーに向けて[和田栄司コラム]

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5月4日の第139回ケンタッキーダービーまでひと月を切った。今年からポイント制で出走権を決めるトライアルは、現在150ポイントでオーブとヴェラザノが首位に立ち、129ポイントでゴールデンセンツ、110ポイントでレヴォリューショナリー、100ポイントでG2UAEダービーを勝った愛バリードイルのラインズオブバトルと続いている。

30日、マイアミのガルフストリームパーク競馬場で行なわれたG1フロリダダービーは、G3ホーリーブルSで2歳チャンピオンのシャンハイボビーをトラックレコードで破ったイッツマイラッキーデーを、3番人気のオーブが16ポール(残り100ヤード標識)で捕えて2馬身4分の3差で快勝した。

オーブは4戦目のアケダクト競馬場でメイドンを勝って以来、今季はガルフストリームパーク競馬場でアロワンス、ヴァイオレンスを破ったG2ファウンテンオブユースSとイッツマイラッキーデーを破ったG1フロリダダービー、目下4連勝で通算成績を7戦4勝、3着1回とした。因みにこのレースで5着に敗れたシャンハイボビーは、やはりクールモアには高い買い物になったようで、ダービー戦線から離脱した。

同じ30日、ニューオリンズのフェアグラウンズ競馬場で行なわれた総賞金100万ドルのG2ルイジアナダービーはレヴォリューショナリーの勝利だった。14頭立ての後方12番手に位置を取り、バックストレッチの半ばで仕掛けて、直線8ポール(残り1ハロン標識)で先頭に立ち、マイルートの急追をクビ差退けたもの。こちらも4戦目にアケダクト競馬場でメイドン勝ちして以来、今季はG3ウィザーズSとG2ルイジアナダービー、3連勝中である。

6日、ニューヨークのアケダクト競馬場で行なわれたG1ウッドメモリアルSでは、ヴェラザノがスローペースの2番手から3コーナーで先頭に立ち、ノルマンディーインヴェイジョンの追い込みを4分の3馬身差凌いで勝った。ヴェラザノもレヴォリューショナリーと同じトッド・プレッチャー厩舎、こちらは3歳デビューで目下G2タンパベイダービーとG1ウッドメモリアルSまで無傷の4連勝中である。

1930年の三冠馬ギャラントフォックス以来、2000年のフサイチペガサスまで、ウッドメモリアルとケンタッキーダービーのダブル優勝した馬は11頭いるが、ヴェラザノが12頭目になれるかも興味の1つになった。クールモアはタンパベイダービーの後、ヴェラザノの権利獲得に動き、レッツゴーステーブルから半分を購入している。

ウッドメモリアルでヴェラザノを優勝に導いた殿堂入りジョッキーのジョン・ヴェラスケス騎手は、翌7日の第7レースで落馬、タンカーで運ばれた。その日の午後に病院で診て貰った結果は、右第1肋骨のひびと右手首の近いところに小さな骨片が見つかる軽度のものだった。41才のヴェラスケス騎手は、週明けの月曜日に再度病院で全治2日間の診断を受け今は安心している。

2着ノルマンディーインヴェイジョンは、2歳時のG2レムゼンS2着と併せて44ポイント、クビ差3着したヴァイジャックは今季G2ジェロームSとG3ゴッサムSを連勝して4戦4勝でレースに臨んだが、初の敗戦となった。ポイントは70で当確圏内だが、ヴェラザノとの差は8ポールから詰まらず、逆にノルマンディーインヴェイジョンに交わされた点は本番でも気になるところである。

同日、ロサンジェルスのサンタアニタパーク競馬場で行なわれたG1サンタアニタダービーは、4日の朝のジョグ中にG2サンフェリペSを勝ったヒアザゴーストが怪我をして戦列から離脱、ボブ・バファート厩舎のフラッシュバックに注目が集った。しかし、4コーナーで捲ったものの、先行策から直線先頭に立ったゴールデンセンツに1馬身4分の1差突き放されて、これで3戦連続の2着である。

ゴールデンセンツは今季G3シャムSを勝ったものの、前走G2サンフェリペSでは5着に敗れ、ここは8頭立ての5番人気だった。対照的にフラッシュバックは7日、右脚の踵に骨片が見つかりダービー戦線からの離脱が決まった。先行して3着に終わった同じバファート厩舎のスーパーナインティーナインはG3サウスウエストSを勝ったものの30ポイントでは出走は難しくなった。

バファート厩舎では24日のG3サンランドダービーを勝ったガヴァナーチャーリーが既に50ポイントを獲得して本番直行を決めている。同じ50ポイントのイッツマイラッキーデーと23日ターフウェイパーク競馬場のポリトラック馬場でG3スパイラルSを直線先頭に立って勝ったブラックオニックスも本番直行を決めている。

今週はオークローンパーク競馬場でG1アーカンソーダービー、キーンランド競馬場ではポリトラック馬場でG1ブルーグラスSが行なわれる。既にG2レベルSを勝って60ポイントのウイルテイクチャージはブルーグラスSに登録しているが、タンパベイダービー2着のジャワズウォーやスパイラルS2着のアンキャプチャードが出走権利獲得に血眼になって来る。

アーカンソーダービーでは、レベルS2着のオックスボウや同3着のデンズレガシーも同じである。また、ボブ・バファート厩舎は3月15日のサンタアニタパーク競馬場のアロワンスを3馬身半差で勝ったクールモアのウォーアカデミーも登録して来た。勝てば100ポイント、2着40ポイント、3着20ポイント、4着10ポイントのレース、終盤のトライアルは出走20頭の指定席目指してのポイント争いも熾烈である。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。