この1年で大きく成長、サウンドオブハートが重賞初制覇!!

トピックス


13年4月6日(土)阪神5日目11R 阪神牝馬S(G2)(芝1400m)

サウンドオブハート
(牝4、美浦・松山康厩舎)
父:アグネスタキオン
母:シンメイミネルバ
母父:Caerleon


【このレースの全着順・払戻金はこちら】

思いのほか馬場が悪くならなかった土曜日。マイル戦で34秒台の決着と良馬場に近いもの。しかし、このレースの前はしっかりと前方から雨が叩きつけてきていた。
ハナズゴールは馬群の真ん中より後ろ。その少し前にいたサウンドオブハート。4コーナーにかかる手前に上がっていく。その後ろからハナズゴールも上げていくが、やや鞍上の手綱が動く。
直線でも馬場の外目をしっかりと伸びていくサウンドオブハート。ハナズゴールは、逆に後ろからイチオクノホシに抜かれてしまい、最後はさらに後ろからのマコトナワラタナに強襲されそうな4着の写真判定。馬場が影響したのだろうか。それにしてもサウンドオブハートはこれで6勝中の半分が関西での勝利。1年前の桜花賞当時から随分とたくましくなった印象であった…。

パドックで馬をジックリと見ていた。ハナズゴールの馬体が420キロを切った。確かにやや細めの体だが元々こんな馬である。影響はないと見た。サウンドオブハート、イチオクノホシ、そしてフミノイマージンのお尻が丸々としていい感じに見えた。マルセリーナもいい雰囲気である。

アスカトップレディだけが1頭遅れたが、後はマズマズ互角に近いスタート。内からクィーンズバーンが出て行く。最初に外をそして内もチラっと観て先手となっていく。それを追いかける様にファインチョイスアイムユアーズが追走する。軽快に逃げていくクィーズバーン。前半3ハロンを35.8と平均ペースに持っていけている。ハナズゴールはと見ると、馬群のやや後方め。その少し前にサウンドオブハートが見える。フミノイマージンとイチオクノホシが並んでハナズゴールの後ろを追走。最後方が変わらずアスカトップレディで、ブービーにマコトナワラタナ。前はクィーンズバーンの逃げだが、2番手グループが半馬身差に迫って残り600を通過。馬群はかなり固まってきた。

コーナーワークで、再びリードを1馬身と取ったクィーズバーン。ファインチョイスとの差が広がる。残り300のオレンジ棒に入る前から各馬が追い出している。それだけ上がり勝負になっている様子だ。
2番手の混戦グループから、外をピンク帽のサウンドオブハートがいい伸び脚を見せる。それを追う様にハナズゴールも来ているが、いつもの弾ける様な脚色ではない。
残り1ハロンを過ぎてもクィーズバーンの脚色は衰えない。内からマルセリーナも一瞬いい脚を見せて2番手に上がる勢いを見せる。ハナズゴールの隣りを白い馬体のイチオクノホシが、ハナズゴールを上廻る脚色で前へと迫っていく。

クィーズバーンを捕えたサウンドオブハート。イチオクノホシが襲いかかってきたが、交されるまでには至らず。
幾分、余裕残しの感じでゴールへと入ったサウンドオブハート。内でクィーズバーンが粘って3着。マルセリーナとハナズゴールとマコトナワラタナの3頭がその後を競って入った。

この馬場で粘ったクィーズバーンに、脚を生かせなかったハナズゴール。対照的な2頭だったが、道中で十分に脚が貯まった感のサウンドオブハートが、早めのスパートで後続をシャットアウト。前も捕えての重賞初制覇であった。

火曜朝に美浦の松山康先生に祝福の電話を入れた。土曜の現場では遠くからおめでとうだけは言っておいたが、改めての祝福だ。
『いや~、弱かった馬がやっとシッカリしてきたね~』と眼を細めているのが見える様な電話だった。『先生、1000勝もこの調子で応援してますからね~』には、『まだまだ残っているからね…』と謙遜気味だったが、まだまだ時間はある。頑張って達成の可能性も十分だ。
おそらくこれから先の時代でも、1000勝を達成できる調教師はそうは出てこない数字だろうと思う。サウンドオブハートはこれからますます強くなって行くのだろう…。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。