C.デムーロ、代打満塁サヨナラ弾でアユサンが勝利!!

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13年4月7日(日)阪神6日目11R 桜花賞(G1)(芝1600m)

アユサン
(牝3、美浦・手塚厩舎)
父:ディープインパクト
母:バイザキャット
母父:Storm Cat


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思いのほか、乾きだした馬場コンディション。風になびく芝。しかし時計は雨が降り続いた土曜よりも1秒遅い展開で進む。サマーリーズの逃げ。クロフネサプライズが4角手前で先頭に立ち直線へ。
中団の後ろのエアポケットにいたレッドオーヴァルが、残り300あたりで外から一気に加速してきた。先頭だったクロフネサプライズがアユサンに交されたのも同じ時。
アユサンをレッドオーヴァルが交して前に出たのが残り1ハロン。しかしアユサンももう一度脚を使い出す。兄弟での追い比べ。
最後に雄叫びをあげたのは弟、C.デムーロJだった。ディープインパクト産駒のワンツー・フィニッシュ。
3着にはプリンセスジャックが外から上がり、1番人気のクロフネサプライズは4着の桜花賞だった…。

芝がそよいで波を打つ。まるで五月頃の風景だ。それもスタンドから観ると、ゴールから4コーナーへ向かって。直線は向かい風となる。
まだ何とかこらえた桜並木が見守る中、ゲートインが始まった。
スタートで、ディープインパクトの妹トーセンソレイユティズトレメンダスが馬群から置かれる。クロフネサプライズはジワっとした出だ。クランロゼが一番いいスタートだったが、その内からサマーリーズが出て行った。クロフネサプライズが2番手に上がってきたのが、2ハロンに入るあたり。サマーリーズの1馬身ぐらい後ろに納まって3ハロンを通過する。その後の馬群がひと塊となって続く。ポツンと離れた位置にやや下げたレッドオーヴァル。出の悪かったティズトレメンダスが後ろで、最後方にサンブルエミューズ

前の2頭は、次の前半800を過ぎるあたりでほぼ並んで来た。メイショウマンボが外から差を詰めてきている。
4コーナーへと入る前に、クロフネサプライズがサマーリーズを交して先頭となる。十分に手応えはいい。後続が一気に差を詰めてきている。
直線へと入ってきたが、クロフネサプライズは馬場の真ん中へと進路を取ってきた。1馬身から2馬身近いリード。サウンドリアーナコレクターアイテムが外から姿を見せる。ウインプリメーラが内から顔を覗かせる。だが、ゴールはまだまだ先だ。
残り300を過ぎるあたりで、武豊Jの左ステッキが飛ぶ。サウンドリアーナの外をアユサンが出てきて2番手に上がる。外からレッドオーヴァルが伸びてきている。

アユサンがクロフネサプライズを交したのが、残り1ハロン過ぎ。しかしクロフネサプライズも差し返し気味で抵抗を見せる。外からレッドオーヴァルが一気に来て一番前に出た。アユサンを交して行った。レッドオーヴァルの勝利か!と思えた勢いだった。ところがアユサンが内からもう一度伸び返していく。右ステッキで追っていたC.デムーロJが、馬体を併せてからは手綱をシャクるだけ。それでいて少しずつ前へと出ていく。最後は半馬身近い差に見えたぐらいのクビ差の勝利だった。
ゴールを過ぎて雄叫びをあげるC.デムーロJ。クロフネサプライズは、最後はプリンセスジャックに差されて4着。ローブティサージュが内から5着。最後方からのサンブルエミューズが大外へ出して6着と、いい脚を見せていた。

検量室前のひと仕事を終えてから、急いでパトロールビデオを観にいく。
やや行きたがるクロフネサプライズ。馬群の中で脚を貯めるアユサン。ポツンと馬込みを避けて行くレッドオーヴァル。アユサンは知らぬ間に前へと出てきている。外を廻らざるを得ないレッドオーヴァル。前で壁を造れて脚を貯めていたアユサン。先に先頭に立って一旦交されてからの粘り腰。トライアルとはまったく別な馬の伸び方であった。
レッドオーヴァルも、そのトライアルは大幅に馬体を減らしていた様に、本当の体調ではなかった様子。馬体を少しでも戻せたし、中身が違った様子。何よりも先行馬には辛い馬場コンディションであるのも見逃せない。それをも含めて競馬であるのだから仕方あるまい。

最後の1ハロンの12.7。アゲインストの風と少し速めのラップとなったのが、ここに出ていた気がする。今年も終わってみればディープインパクト産駒の勝利。そして最近、勢いを感じる関東馬の攻勢。これからも続くのであろう…か。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。