平林雅芳の目

トピックス

土曜中京11R
ファルコンS(GⅢ)
芝1200m
勝ちタイム1.08.9

勝ち馬:ジョーカプチーノ(牡3、栗東・中竹厩舎)

ジョーカプチーノが重賞初制覇!

先週とは、うってかわった好天気の中京競馬場。
大勢のファンが見つめるパドック。馬の匂いまでが届いてきそうな近さ。
ファンと馬とが一体感のあるパドックに18頭が集合した。
一番人気でもソコソコの配当で、レース前から荒れ模様を漂わせるムードであった。
そんな中で、前走小倉戦に続いて連勝で重賞制覇を飾ったのが中竹厩舎のジョーカプチーノ
今回は、中団より差すといった今までとは違う内容で勝ったことで、大いに評価もあがるものことだろう。
短距離路線に、また先々が楽しみなニュースターが現れた・・・。

レースは、横一線に近い揃ったスタートとなった。
やや外目のゲットフルマークスに、中のラブチャーミ-の出が速かったが、ダッシュをつけて先頭に踊り出たのは最内のツルマルジャパン
好枠に恵まれたのもあるが、今までのレースで3角で先頭を他の馬に譲ったことのないこの馬が、今日もやはり先手でレースを引っ張った。
3角では2番手にノアウイニング、その外目にゲットフルマークス
その後に、ルシュクルや、内にスパラート等5頭が、少し後続グループより前目のグループを形成していた。

三浦Jのエイシンクエストが6、7番手の外目に、その後にジョーカプチーノが付けていた。
注目の横山典Jのレッドヴァンクールは、今日もまた内ラチ沿いを絶好の手応えで進んでいた。
けっこう縦長の競馬となって、ブービーに⑤枠の両頭がいた。
外がトップオブビーコイで、内がカツヨトワイニング
そのさらに後が、オメガユリシスであった。
先頭を行くツルマルジャパンは、4角まで誰にも並ばれずに行き切った。
しかし後続の馬のほうが、圧倒的に手応えが良かった。
三浦Jのエイシンクエストがいいポジションを追走して、直線での伸びがおおいに期待される処であり、また5日間騎乗機会重賞制覇のチャンス横山典Jのレッドヴァンクールも、内を虎視眈々と追走して、直線まで忍びに忍んでいる感じに見受けられた。

さあ、直線へ向いた。
先行グループもまだ粘っていた。
横一線気味になった間からルシュクルが躍り出た。
その内でスパラートもまだ粘っていたのが、後1Fあたりか。
しかしアッという間に後続の馬が差を詰め、ひとつの馬の集団となった。
逃げて最内を走っていたツルマルジャパンのまだ内から、最後方に近い位置を進んでいたカツヨトワイニングが、ギリギリの狭いスペースを見つけて瞬間に凄い脚を使って上がって行った。
逆に絶好の手応えで4角を廻ったレッドヴァンクールが、進路を確保するまで待っている間にグッと狭くなり、動けなくなってしまった。
やっと開いた瞬間に前へと進むが、一番内のカツヨトワイニングとはもう差が出てしまっていた。
と同時ぐらいに馬場の真ん中から、ステッキに呼応してジョーカプチーノが素晴らしい脚色で、グイグイと伸びてきた。
最内を伸びるカツヨトワイニングとの差がみるみる無くなり、一瞬に先頭に踊り出て歓喜のゴールを駆け抜けた。
3着にはルシュクルが粘り、4着にレッドヴァンクール
そして5着には4角を最後方で廻ったオメガユリシスが、外を通って上がってきていた。

前半3Fが33秒2。4Fが45秒フラット。そして千通過が56秒9であるから、今時の3歳馬にはかなり速いペースと言える。
息の入らない流れとなったようで、差し馬に断然有利となった。
勝ったジョーカプチーノは、前走の小倉戦はスピードを生かしての逃亡劇で、時計も最終週の荒れた馬場を考慮しても速いものであった。
今日は逃げる戦法でなく控える競馬となったが、鞍上のステッキに呼応しての素晴らしい伸びを見ると、短距離にかなりの適性があるようだ。
2着のカツヨトワイニングの末脚には驚いたが、未勝利、特別と連勝し、フェアリーSでもいい脚を使って上位に食い込んでいる馬。
自分の出番がある時には、キッチリと仕事をしただけの印象である。
そしてルシュクル等、前に行った組では、最先着というか、勝ち負けにまで持ち込んだ馬。早い時期に2勝をあげて、阪神ジュベナイルFでも穴人気した馬。そのレース以来という今回で、この内容。
これからどんどんと成績を上げてくる馬なのかも知れない。
そしてレッドヴァンクール
4角までは最高の形で廻っていながら、直線では最悪の形となってしまった。
進路さえあれば、もっと早めに動けたはずで結果も違っていたように思える。
5日騎乗機会重賞制覇もあったかも知れない・・・。

今回のジョーカプチーノは札幌デビューだったが、緒戦は鞍上に武豊Jを迎えたものの、勝ち馬の凄さに敗れたものだった。
それから三浦J、デムーロJと乗り替り、初勝利は中京のダート戦だった。
その後に芝路線に替えて見事に開花したわけである。
小倉、中京と同じタイムで走り、適性のある処がハッキリと出たようだ。
これからも芝の短距離路線で見逃せない馬となるのだろう・・・。
藤岡康Jの重賞初制覇。
先週の、兄・藤岡佑介Jの重賞勝利といい、今乗りに乗っている若手でもある。


日曜中山11R
スプリングS(JpnⅡ)
芝1800m
勝ちタイム1.50.8

勝ち馬:アンライバルド(牡3、栗東・友道厩舎)

一瞬の脚がケタ違い!アンライバルド着差以上の快勝!!

ほとんど横一線にゲートを出たのではなかろうか。
遅れたのはメイショウダグザぐらいに見えた。
スッと内からリスペクトキャットが出て行った。
レッドスパーダもキャリアがまだない馬だけに前々の競馬で、マイネルエルフセイクリムズンがその後に続いた。

1コーナーまではそんなに遅くなかったようだったが、2コーナーを廻るか廻らないかのあたりからガクンと遅くなったのか、内のマイネルが掛るシーンをを筆頭に、アチコチで手綱を引っ張るシーンが見られた。
かなりのスローな流れになったようだった。
アンライバルドは、比較的前に付いて外目の7、8番手にいた。
その右後にサンカルロ、その右後にフィフスペトルといった位置どりであった。1コーナーで内から前へ出てきたリクエストソングが、内から掛り気味に前へ前へと上がって行った。

向う正面でも全然ピッチは上がらず、かなり遅い流れとなった。
3角過ぎてもまだ極端にはペースは上がらないが、後ろにいた⑧枠両頭(サイオンセイクリットバレー)が並んで少しずつ進路を前へと上がってきていた。 3角から4角の中間あたり、その⑧枠の馬が動きだすのに併せたかのように、アンライバルドが前へと出た。
ちょっと後ろにフィフスペトル
そこでサンカルロが行き場がなくなったのか、ちょっと後ろになってしまった。4角は内から順々に先に廻った感じで斜めに横一線になったかのように廻る。
内目ではレッドスパーダの手応えが良かった。

直線に向いて、一瞬でアンライバルドが前の馬に取り付き、シューンと唸るように弾けるように出て行った。
その後ろをピッタリとマークするように、フィフスペトルも同様に開いたスペースを付いては行ったが、瞬時に離されてしまった。
その外に、⑧枠両頭が並んで前を追いかける展開となった。
先頭に踊り出たレッドスパーダを、アンライバルドがアッという間に交わして行った。楽々と勝利を確定させる凄い脚色であった。
内で粘るレッドスパーダで2着もほぼ確定の、後続との差があった。
やっと行き脚がついたフィフスペトルが伸びてくるも、その内から4角で後ろの位置になった中からサンカルロがすぐ追いかけて来ていた。
外ではセイクリットバレーの伸びも悪くなかった。
リクエストソングは直線で思う程の伸びを見せず、前に届くような位置どりでもなかった。

前半千通過が1.02.6とかなり、スローな流れを演出した先行馬。
レッドスパーダはそんな有利な流れを造った先行馬で、力を思う存分に発揮。
しかしそれを凄い瞬発力で交わしたアンライバルドの脚。
最後の2Fが11.4に11.5であるのだからかなりの切れが要求された訳だが、直線半ばで見せた一気にスピードアップした脚は凄すぎる。
結果と着差だけを見れば楽勝とは見えないが、あの切れ味は他の馬には出せないものだろうと思える。着差以上の楽勝と言えよう。

皐月賞のトライアル戦であるが、ただただアンライバルドの強さが目立った一戦。
やはり、あの10月26日の京都新馬戦が凄かったことが、ますます証明されたようなもの。
桜花賞本命のブエナビスタ皐月賞へ向けて虎視眈々のリーチザクラウン、その2頭のためにも、その強さを大きくアピールしてくれた、アンライバルドの今回の勝利でありました。

これで、関東馬ロジユニヴァースに絶対有利と言わせない馬の存在をアピールできたことだろう。
「まだまだ西攻勢はこれからですぞ」と、関東のファンに伝わったでしょうか…。