幸四郎、恩人・松本オーナーに捧げる7年振り涙のG1制覇!

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13年5月19日(日)、2回東京10日目11Rで第74回優駿牝馬(GⅠ)(芝2400m)が行なわれ、武 幸四郎騎手騎乗の9番人気・メイショウマンボが優勝。勝ちタイムは2.25.2(良)。

2着には1馬身1/4差で5番人気・エバーブロッサム(牝3、美浦・堀厩舎)、3着には1番人気・デニムアンドルビー(牝3、栗東・角居厩舎)が続いて入線した。


5戦3勝の実績を持ちながらも、前走の桜花賞での10着大敗が響き、人気も急落。9番人気の低評価を受けていたメイショウマンボ。それでも、2枠3番の内枠を利して、レースでは中団のインを追走。虎視眈々とレースを進めた。

「正直、ちょっと危ないくらい入れ込んでたんで、心配でしたね。返し馬が終わって、ゲート前でもほぼパニックみたいな状態だったので、どうかとは思ってたんですけど、競馬も本当にすごい勢い。抑えるのに苦労するくらいの勢いだったんです。厩舎の方が極限まで仕上げて下さってたんだと思います」

そう武幸四郎騎手は振り返ったが、不安視していたという距離も、ラチ沿いを辿って、ロスのないエスコート。直線では空いたスペースを突くと、するすると馬群から抜けだした。

「スタートからゴールまで全部うまくいきました」

鞍上も納得の騎乗に導かれたメイショウマンボ。最後はエバーブロッサムも追いすがったが、天皇賞(春)を制したスズカマンボの父ゆずりのスタミナを武器に、1.1/4馬身差をつけて、オークスのゴールを駆け抜けた。伏兵馬の激勝にスタンドもざわめきが起きたが、鞍上の久々のG1制覇にファンからも祝福の言葉が飛んだ。

「G1に乗る回数も減っていたし、これまでに3回勝たせてもらっているんですけれど、今日の勝利は格別に嬉しいですね」

いつもはマイペース、飄々とみえる武幸四郎騎手も、レース直後にはこう語りながら微妙に声を震わせた。
検量室前では言動には出さなかったが、7年振りのG1制覇に感無量。このチャンスをプレゼントしてくれたオーナーには、さすがに喜びを隠すことはできなかった。

「お年玉をもらうような年齢の頃から、お世話になっていたし、デビュー戦も乗せてもらっていますからね。自分が苦しい時、僕の成績の悪い時に支えてくださった方の馬だったんで、本当に良かったです。案外、平常心だったんですけど、表彰式に行って、オーナーの顔を見たらちょっとダメでした」

松本オーナーと顔をあわせると、こみあげるものを抑えきれなかった。

「そういうキャラじゃないんですけどね(笑)」

オーナーへの感謝の思いをこらえきれなかったが、この勝利も自身の手腕によるところは大きい。

桜花賞の当日の夜にオークスに登録のしていなかったメイショウマンボを追加登録を自らオーナーに進言。初めて騎乗した時から、ストライドの大きさ、エンジンの掛かり方が遅い特性を見抜き、オークス向きとみていたからだ。二つ返事で樫への挑戦が決定したが「『じゃあ、行こうか』とオーナーは行ってくれたので、それに向かって、僕と厩舎スタッフは頑張っただけです」と淡々と返した。

混戦と言われた今年の3歳牝馬世代。それでも、この勝利でメイショウマンボは7戦3勝。うち重賞は2勝と実績で一歩リードした。
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