G1馬ニホンピロアワーズが貫禄勝ち!…平林雅芳の目

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3年5月18日(土)
3回京都9日目11R 第20回 平安ステークス(G3)(ダ1900m)


ニホンピロアワーズ
(牡6、栗東・大橋厩舎)
父:ホワイトマズル
母:ニホンピロルピナス
母父:アドマイヤベガ


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本日、ここまで昆厩舎が新潟と京都で2勝。大橋厩舎は京都の朝に未勝利戦ながら勝ち星を2つあげて勢いづいてきている。ニホンピロアワーズとハタノヴァンクール、共にG1馬ではあるが、やはり中央での先輩であるニホンピロアワーズが堂々の圧倒的1番人気。その2頭に割って入れるのか、逃げるトウショウフリークという下馬評。

しかしトウショウフリークの逃げは、そうたやすくさせては貰えぬ。大橋厩舎の僚馬ナムラタイタンが2番手をピッタリ、いや先頭を奪いかねない勢いでついてくる。大本命ニホンピロアワーズも早めの3番手。4角入口ではこの3頭が横並びになる。その後ろではハタノヴァンクールの手応えが悪い。ついて歩くのに苦労しているが、いつもの事だ。
直線に入って抜け出すニホンピロアワーズ。粘るナムラタイセイだが、割って入ったのがナイスミーチュー。この速い上がりの決着を、凄い切れ味で迫っていく。しかしニホンピロアワーズには半馬身届かず。ナムラタイセイがクビ差3着。ハタノヴァンクールは5着で、トウショウフリークは7着の結果であった…。

今年の初陣をホッコータルマエに負けたニホンピロアワーズだが、使っている分の差もあった。一度使った今回は当然の人気。しかし1.4倍の圧倒的人気には驚く。
スタンド前だが、少し4コーナーよりからのスタート。一番出が早かったのがナムラタイタン。最内のニホンピロアワーズもいいスタートで、無理せず行けている。
トウショウフリークがいちばん前へと出たのは1周目のゴール手前ぐらい。勢いづけて最初のカーヴを斜めに内へと入っていって先頭となる。2番手ナムラタイタンが1馬身半ぐらいで続き、その後をニホンピロアワアーズとアントニオピサが並ぶ。ハタノヴァンクールもけっこう前位置で7番手で外目にいた。

次のカーヴへと入るあたりで、だいぶペースダウンできたトウショウフリーク。しかしナムラタイタンが間合いを詰めてきていた。向こう正面手前ではニホンピロアワーズが単独3番手となって前を追う。その後ろがズラーッと続き、ハタノヴァンクールもニホンピロアワーズから2馬身ぐらいの位置で戦っている。キングスエンブレム、ナイスミーチューと各馬がいい手応えで続く。1000メートルを1.00.8だから緩いペースである。13.2と、息を入れて逃げるトウショウフリーク。しかしナムラタイタンがすぐ後ろを楽な手応えで追走してくる。

3コーナーのカーヴを廻っていく。3番手ニホンピロアワーズが先ほどよりも間を詰めて接近している。内にマルカプレジオが潜りこんでいる。
さらに4コーナーが近づいていく。ニホンピロアワーズがさらに前に接近。直後にハタノヴァンクールもいるが、鞍上の手が激しく動きだした。
最後のカーヴを廻る時には逃げたトウショウフリーク、ナムラタイタン、その外へニホンピロアワーズが並ぶ。直線へと入ってきた時には、最内のトウショウフリークの勢いよりもナムラタイタン。さらにその外ニホンピロアワーズの手応えが上廻っていく。

ゴールまで残り1ハロンを過ぎる前、ニホンピロアワーズと酒井学Jはゴーサインを出す。内でついて来ていたナムラタイタンを置き去りにし、さらに前へと出ていく。ナムラタイタンの後ろが開きだす。ハタノヴァンクールが、例のもがきを見せるが、今日は伸びもいまひとつ。むしろその内をナイスミーチューが勢いよく前へと出て行った。さらに内目をアメリカンウィナーがこれまたいい伸び。
ゴールはもう間近、ニホンピロアワーズに最後のひと振りと左ステッキが揮われる。ナイスミーチューが猛追していくが、あきらかに届く距離ではなかった。ナムラタイタンを差して2番手まで。クビ差でナムラタイタン、アメリカンウィナーが4着。ハタノヴァンクールはそこから3馬身離れた5着であった。

11秒台の切れこそ要求されなかったが36.6の速い上がりタイムである。そこをすごい勢いで差してきたナイスミーチューもなかなかではあるが、59キロを背負って早めの競馬。半馬身差ながら、危なげない勝ち方のニホンピロアワーズ。6月26日の『帝王賞』へと駒を進めていくはずだ。
ローマンレジェンド、前走苦杯を喫したホッコータルマエ。他にもまだいてワンダーアキュートと強烈な相手との戦いが待っている。

酒井学Jを主戦として乗せているニホンピロアワーズ。この前のNHKマイルCの勝ち馬、マイネルホウオウ柴田大知J。そして日曜、オークスのメイショウマンボ武幸四郎Jと、いいと一貫した気持ちで乗せてくれているオーナーサイドの気持ち。これぞ日本人といいたくなるような、嬉しい采配ぶりである。失って欲しくない『心』を感じるものであった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。