ベルモントS、パレスマリスが優勝[和田英司コラム]

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5週間の日程で行なわれる米三冠の最終戦、第145回ベルモントステークスが、8日ニューヨークのベルモントパーク競馬場で行なわれ、トッド・プレッチャー厩舎5頭出しの1頭、パレスマリスが直線に入って先頭に立ち、プリークネスステークス勝馬オックスボウとケンタッキーダービー馬オーブを抑えて優勝した。

レースは1番枠に入ったフラックダディーが先行、バックストレッチに入るとオーブとフリーダムチャイルドがプレッシャーをかける。マイル&ハーフの距離で半マイル46秒66のストロングペース、3コーナーを前に早くもフラックダディーが潰れた。パレスマリスが代わって3番手に上がり、3コーナーではオックスボウの体半分差まで馬体を併せて来る。

3~4コーナー中間、フリーダムチャイルドは堪らず後退、前はオックスボウとパレスマリスの争いに変わり、レヴォリューショナリーが離れた3番手で4コーナーに向かう。直線の入口でパレスマリスが先頭に立った。どの馬ももうバタバタの状態で、4番手争いの内インコグニートと外オーブの脚色では後方から伸びたオーブに少しだけ余裕が伺えた。

前はパレスマリスがタイム2分30秒70のタイムで優勝、3馬身4分の1差でオックスボウが2着、1番人気のオーブは1馬身4分の3差で3着、その後ろは1馬身差で外に出したインコグニートがレヴォリューションを半馬身交わして4着ゴールした。去年は三冠レース全て2着に終わったマイク・スミス騎手が最後に意地を見せた感じがした。

パレスマリスは2007年と2008年の2年連続で年度代表馬になったカーリンの初年度産駒で、カーリン産駒の優勝となるとG1はおろか重賞制覇もパレスマリスが第1号である。2戦目となった昨年8月1日サラトガのメイドンに続く2勝目、G2リズンスターSで3着、オールウェザーのG1ブルーグラスSで首差2着してケンタッキーダービーの出走権を掴んだ。

そのケンタッキーダービーでは10番枠から迷わず先行して、泥田の馬場を半マイル45秒33のハイペースで逃げながらも12着、前に行った中では1番枠に恵まれたオーブの6着に次ぐ成績だった。これで通算成績は8戦2勝、2着3回、3着1回。トッド・プレッチャー調教師は、2007年の牝馬ラグストゥリッチーズに続く2度目の優勝になった。

2013年の米三冠は、初戦が不良の馬場で行なわれ、驚異的ハイペースで追い込み馬が上位を独占した。2戦目は逆にペースがスローになり、オックスボウの逃げ切りが決まった。そして最終戦、オックスボウも前々競馬、オーブも追い込み競馬でそれぞれの持ち味を発揮したが、ステイヤー血統のパレスマリスがその上に立った。

5頭出しのプレッチャー厩舎、レヴォリューショナリー5着、牝馬で唯1頭参戦したアンリミッテッドバジェット6着、オーヴァーアナライズド7着、そしてミッドナイトタブー12着。レースの翌日、プレッチャー調教師は夏のプランを明かした。パレスマリスはサラトガに向かい、7月27日のG2ジムダンディーSから8月24日のトラヴァーズSを目指すことになった。

ケンタッキーダービーで14着に惨敗したヴェラザノは、今週末16日モンマスパーク競馬場で行なわれるG3ペガサスSで再起を期す。アンリミテッドバジェットは、ケンタッキーオークス馬プリンセスシルマーとフリゼットS勝馬ドリーミングオブジュリアと共に7月20日に行われるCCAオークスに出走することが決まった。

最後に10日、米ブリーダーズカップ協会は、2014年の開催地をサンタアニタパーク競馬場に決めた。10月31日と11月1日の開催で、昨年2012年から3年連続の開催となる。ブリーダーズカップ~サラブレッド世界選手権は2007年にモンマスパーク競馬場で開かれたのを最後に、ここ数年はサンタアニタパーク競馬場とチャーチルダウンズ競馬場が2年毎にシェアして来た。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。