桜花賞馬マルセリーナ、外から伸びて久々の勝利!!…平林雅芳の目

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13年6月9日(日)3回阪神4日目11R 第18回 マーメイドステークス(G3)(芝2000m)

マルセリーナ
(牝5、栗東・松田博厩舎)
父:ディープインパクト
母:マルバイユ
母父:Marju


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毎年荒れるのイメージが確立されそうなレースである、マーメイドS。梅雨時のハンデ戦がそうさせるのか、何せ、難解なレースだ。ただ今年は雨は大丈夫、でもやっぱりどれが勝っても不思議でないと思えるメンバー構成であった。
エーシンメンフィスを、アグネスワルツが抑えて先手。これは予測どおりだろう。そのアグネスワルツが粘りに粘っての最後の1ハロン。中団の外目で競馬をしたマルセリーナが、直線でも伸びが良くキッチリと捕えて、3歳時の桜花賞優勝以来の重賞勝ちとなった。
1番人気のアロマティコは、メンバー中最速の上がりを駆使して追い上げてきたが、アグネスワルツも捕え切れずの3着。やっぱり今年も荒れました…。

桜花賞馬マルセリーナだが、最近のレースではG1馬の優先出走権がなくなり、思い通りに使えていなかった。ただ前走のメイSでも、内目から伸びそうな雰囲気はあったから悪くないはずなのだが、意外と支持は7番人気と低かった。そんな低評価を跳ねのける様な直線の伸び具合であった。
エーシンメンフィスは愛知杯で逃げ切ったが、必ずしも行く戦法をとっている馬でもない。逆にアグネスワルツは今年の2戦目。しかし近走は行っても粘れてない結果である。ここらが微妙な落とし穴的なレースの側面であった様だ。

スタンド前からのスタート。大外のマルセリーナが出てから少し外へ行きかけた分で半歩ぐらい遅い感じだったが、それ以外はほとんど横一線のスタート。外のエーシンメンフィスが内を観ながら前へ行こうかと思っている処を、迷わずアグネスワルツが前へと出ていった。内のピュアブリーゼが待ち構えての3番手で、最初のカーヴへと入っていく。
ひしめく馬群の中で、和田Jコスモネモシンがかなり行きたがっている様子。アロマティコはブービーで、最後方に49キロで乗った武幸四郎Jマイファーストラヴだ。

1馬身から1馬身半のリードを保ってアグネスワルツは先頭をキープして、3ハロンを通過。36.6とかなりゆったりの入りである。4番手にピクシープリンセス。少し内目にマイネオーチャード。そしてすぐ後ろがマルセリーナで7番目。ちょうど馬群のど真ん中だ。アロマティコはまだブービー。先頭から10馬身はある。

向こう正面でややアグネスワルツがペースを落としにかかった処で、2番手グループが急接近。するとまたアグネスワルツは前へとスピードアップ。この1ハロンが11.6となる。1000メートルを1.00.6とかなり遅い。
そして3コーナーのカーヴへと入っていく。好位グループがけっこう前との差を詰めていき、前よりも1頭ずつの間隔が狭くなっていくが、流れ自体はそんなに速くなっていない。そして残り3ハロンを迎えるあたりで、急激に手応えが悪くなったピクシープリンセスの横を、持ったままのマルセリーナが上がって行く。やっとアロマティコが1頭分前へと上がった。

4コーナーのカーヴを廻って直線へと入ってきた。アグネスワルツのリードは1馬身。後続も目一杯に追ってきているが、そんなに交わされる雰囲気の馬はいない。残り300、逆にアグネスワルツのリードはさらに広がったかに見えた。マルセリーナが外から脚を伸ばしてきているのが見える。そのすぐ後ろをアロマティコも来ているが、一気に前を飲み込む勢いには見えない。

残り1ハロン、アグネスワルツのリードがやや少なくなってきたがまだ先頭。マルセリーナの伸びがいい。川田Jが左ステッキから右へと持ち替えて追ってくる。外からアロマティコも一気にこの争いに加わるかの様に伸びてきた。
内ラチ沿いを粘るのではなく伸びているアグネスワルツ。外から猛追のアロマティコだが、その真ん中のマルセリーナの伸びが完全にいい。半馬身先着してのゴールとなった。この3頭から3馬身離れた4着にピクシープリンセス。

56キロのトップハンデのマルセリーナが、2年2ケ月ぶりの勝利。ここでは役者が違ったという事だろう…。それにしても、やっぱり難しいレースのイメージは変わらないマーメイドSではあった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。