ゴールドシップ、鞍上の気迫勝ち!宝塚記念を制覇!!…平林雅芳の目

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13年6月23日(日)3回阪神8日目11R 第54回 宝塚記念(G1)(芝2200m))

ゴールドシップ
(牡4、栗東・須貝厩舎)
父:ステイゴールド
母:ポイントフラッグ
母父:メジロマックイーン


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朝からファンが多い。それも年代層が若い。いつもならオヤジ達が多い競馬場なのであるが、今朝はどこを見ても若者ばかり。そして場内もその若者が通路の端や直接座って場所をとるのか、狭くてなお混んでいるのでフットワークよくパドック、レースと見る事が出来ない。本当に『珍しくお客の入りがいいな~』と思えたもの。
レース発走前のファンファーレの生演奏やスターターが登場した時の場内の興奮の高まりは凄かった。昨年の年度代表馬のジェンティルドンナ。それに有馬記念馬のゴールドシップ。春の天皇賞馬フェノメノと役者は揃い、ファンならずとも豪華な顔ぶれに固唾を飲んでのゲート・オープンであった…。

ひとえに気迫勝ちとでも言っていいのだろうか。それ程に内田Jの気迫でゴールドシップを前へ前へと出していった。
外のジェンティルドンナがいいスタート。少し牽制する様に内へと切れ込んでいく。そんなに出の速くないゴールドシップだが、ウチパクJがステッキこそ入れないが、押して押して前へと促す。2200芝だから、ゴールではもう200メートル走った格好になる。そこを通過する時には、ゴールドシップはジェンティルドンナの直ぐ後ろの1馬身外にいた。ジェンティルドンナの内にダノンバラード。その先にはシルポートが逃げの手で、もうドンドンと行く。シルポートの逃げは、行くだけ行くの構え。2番手のダノンバラードと向こう正面では1ハロン近い差となった。前半の1000メートル通過が58.5は短距離の入りだ。しかし2番手ダノンバラードはマイペースを保ち、自分自身が先頭のつもりで行く。そこから2~3馬身離れてジェンティルドンナ。その後を白い馬体、ゴールドシップ。フェノーメノ、トーセンラーと続きヒットザターゲットナカヤマナイト。新鋭ローゼンケーニッヒは最後方だ。

3角を廻っていく。場内のオーロラビジョンも、先頭シルポートは映さずに、ダノンバラードから始まる2番手以降を映しだす。3角から4角の中程でゴールドシップの鞍上の手が動きだす。決して数字的にはペース・アップされた訳でもないのだが。その後ろのフェノーメノも武豊Jのトーセンラーも、同じく手が動きだす。いわゆるこの馬場だけに、勝負のポイントが早めの追い出しなのかも知れない。

4角手前でシルポートはまだ5、6馬身先で涼しい顔で逃げている。後続馬が一斉に追い出していく。カーヴを廻っていく時に、ジェンティルドンナの岩田Jがステッキを入れて促している。すぐ隣のゴールドシップは手綱をシャクっているだけ。フェノーメノももう目一杯の追い出しだ。
直線入口、ジェンティルドンナとゴールドシップがやや接触した様に見えた。残り300のオレンジ棒。一気にシルポートのリードがなくなって、ダノンバラードが追いつく。ジェンティルドンナより前に出たゴールドシップが、ダノンバラードに並んで一番前に出た。外のフェノーメノは伸び脚が物足りない。
残り100のオレンジ棒。完全にゴールドシップが先頭で、もう勝利は間違いない。問題は2着争い。内で粘るダノンバラードにジェンティルドンナが迫ろうとしていくが、その伸びがまどろっこしい。結局クビ差でダノンバラードが2着。フェノーメノが4着。そこから2馬身離れてトーセンラーが5着だった。

火曜の朝、坂路監視小屋の中。橋口師須貝師に《涙を流していたんじゃないか~》と冷やかす。《いや~汗が…》と須貝師は言う。
まずこの宝塚記念を終えて須貝師がこの場所にいた事に驚く。セレクト・セールも近いし牧場廻りかと思っていたのだが、やはりゴールドシップの使った後の確認とかで出かけなかった様だ…。音無師も交えて、今後の話とかイロイロと聞かせて貰った。残念ながらそこはご勘弁願う事として、『ああいった乗り方をして欲しかった…』が須貝師の本音だろう。そしてオルフェーヴルを入れての戦い。3歳馬キズナも交えての国内最強馬争い。これが今後のテーマでありましょう。



平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。