平林雅芳の目

トピックス

日曜東京10R
日本ダービー(JpnⅠ)
芝2400m
勝ちタイム2.33.7

勝ち馬:ロジユニヴァース(牡3、美浦・萩原厩舎)

ロジユニヴァース、横山典Jと共にダービー制覇!!

真夏のスコールを思わせる雨が東京競馬場を襲った。
朝から蒸し蒸しで、空には真っ黒な雲が待ち構えていた。
6R途中からかなり激しく雨が降り、9Rからは馬場発表もついに不良となった。
ダービーと同じ距離の青嵐賞は2分35秒台の決着。
上位に来た馬は、後ろから外々を廻った馬ばかりだった。
ダービーのひとつ前のレースは、今度は逆に先行した馬たち3頭の、ゴール前叩き合いのレースとなった。
何やら外が絶対に伸びる馬場かと思いきや、内の先行馬が残る。
ダービーではどっちが有利なのかが判らなくなった。
乗っているジョッキーも判断に迷うだろうなと思えた。

少し止んでいた雨が、またちょっと降りだした。
ダービーパドックで、オーナーサイドが記念写真と洒落ている時にだ。
でもおかげで周回する出走馬18頭が雨に濡れたためか、実によく見え過ぎた。
リーチザクラウンが落ち着いていい感じ。
こんなリーチは見た事がなかった。
アイアンルックは、奥歯を噛みしめてギリギリ辛抱している様子だった。
橋口勢は2頭とも悪くなさそうだと感じて、パドックを早々に引き上げて馬場入りを見るためにスタンバイ。

馬場入りで一番先に入ってきたのはリーチザクラウンだった。
二人引きで芝馬場に入り、一番スタンドの方へと歩ませてから4角に向けてキャンターで去っていった。
次に入ってきたのがアンライバルド
大勢のファンの拍手に送られて、これまた4コーナーへと走っていった。
思い思いの返し馬をして、レース開始時間を待った。
すると間もなく、サブちゃんの国歌独唱が腹に響き、アッと言う間にダービーのゲートオープンとなった。

最内のロジユニヴァースは今回はいいスタート。
リーチザクラウンはちょっとモタッと出た。
それでもダッシュつき、行く構えを見せて1コーナーへと先頭で出て行ったが、ジョーカプチーノが何がなんでもの行く気を見せて先頭に立ち、ドンドンと前へ前へと飛ばして行った。

アンライバルドは、そう無理もせずゆったりと後方につけた。
外枠からは、トライアンフマーチがけっこう前でレースを進めて行った。
前は、ジューカプチーノがどんどんと後続との差を広げて行った。
2番手リーチザクラウン、3番手ロジユニヴァース、そしてゴールデンチケットマッハヴェロシティアントニオバローズと続いた。
その後ろあたりにトライアンフマーチが位置していた。
セイウンワンダーアンライバルドは、まだまだ後ろであった。
先頭を行くジョーと2番手リーチザクラウンの間がどんどん離れて行った。
3角を過ぎて4角までの中間では、『離れすぎでは?』と思ったぐらいだったが、4角が近づくにつれてリーチとの差がなくなってきた。

4角を廻ったあたりで、先頭にリーチザクラウンが立ち、アントニオバローズが上がってきていた。
チラッと後ろを見たウチパクJが、アプレザンレーヴを外へ出した。
リーチザクラウンが先頭に立っていた内ラチ沿いだが、すぐ後ろでこれまたラチ沿いをついていたロジユニヴァースがリーチを抜いて先頭に踊り出て、鞍上の横山典Jが渾身のステッキを使った。
2着にリーチザクラウンが何とか粘ろうとしている処へ、アントニオバローズがジワジワと迫って行った。
2着は粘る内か差す外なのか、どっちだと思えるところでゴール。
外へ出したアプレザンレーヴを、後ろから勢いついたナカヤマフェスタが大外を伸びてかわし、4着に突っ込んできた。
一番いい脚を使っていたのが、シェーンヴァルト
ゴール前ではかなり目立つ脚を見せて、馬の中を伸びてきていた。
直線で追い込んでくるだろうと思われたアンライバルドは、加速しないままであった。
セイウンワンダーの伸びもまったく見られなかった。
後ろで脚を貯めている馬が、実際にはスタミナロスをしている感じであった。
それでもナカヤマフェスタシェーンヴァルトは、目を見張るような脚を使っていた。

不良なんて馬場ではなかった。
極悪馬場といっても過言ではない。
どこを廻っても同じようならば、前で内々での馬が有利になったのは事実。
皐月賞で力を全然発揮出来なかった一番人気馬と二番人気馬が盛り返してのワンツー。
というよりも、ロジユニヴァースが圧勝したダービーであった。
横山典弘騎手の待望のダービー制覇である。

引き上げてきたロジユニヴァース横山典弘Jが地下道に現れた。
当然のように握手をさせていただいた。
検量室前で萩原師にも握手を求めた。
新馬戦で、武豊Jが手綱を取らせて貰ったロジユニヴァースである。
新馬戦の後はずーっとライバルとして戦ってきた。
でもそんないい馬にチャンスを貰ったことはホースマンとして嬉しいかぎりであり、ダービー馬となったからには祝福は当然だろう。
勝利の女神さまも、やっと横山典Jにダービージョッキーの称号を与えるのを思い出したようである。
インタビューで『馬を信じてあげられなくて申し訳なかった』とノリが語っていた。
いつまでも表彰式を眺めていて、本当にこちらまで嬉しくなった今年のダービーであった。
でも来年は、是非ともこちらがあそこに居るぞと、気を引き締め直したのであった…。


土曜中京10R
金鯱賞(GⅡ)
芝2000m
勝ちタイム1.58.4

勝ち馬:サクラメガワンダー(牡6、栗東・友道厩舎)

戦って来た相手が違う、サクラメガワンダー快勝!

18頭のフルゲートではあるが、圧倒的一番人気のサクラメガワンダーが危なげない勝利で重賞4勝目をあげた。
GⅠ馬はシャドウゲイトヴィクトリーの2頭。
その相手の近況からも、ここでは優位に立つサクラメガワンダー
馬場も力を十分に発揮できる良馬場であり、まずは負けられない戦いと見られたレース前であった。

外枠のヴィクトリーよりも真ん中の枠のニルヴァーナの出脚が速く、1コーナーに向う時点で先手を楽に取れて後はマイペースの逃げとなった。
馬場のいい中京コースとしてはそんなに速い流れではなく、十分に息の入る流れを演出。
勝負は上がりの切れを要求されるものとなった。

道中は中団より少し前に位置していたサクラメガワンダーだったが、3角から早めに上がって行くと、直線でも早めに先頭に立って余裕綽々に押し切った。
後続に追いつかれる暇を与えない着差以上の完勝であった。

ハナを奪ったニルヴァーナが、直線1Fあたりまで粘れる展開。
内々のいいポジションを進んでいたシャドウゲイトが渋太く伸びて2着に突っ込んできた。
前々での競馬で終いも鋭く伸びたのは、この2頭だけだった。
3着ホワイトピルグリムは、中団から伸びてきてシャドウゲイトに襲いかかったが、大きなハナ差届かず。
ベッラレイアスマートギアは、道中同じような後方に位置して直線だけで差してきたもの。
ゴール前は凄い脚を使ってはいるが、ここまでが精一杯。
前の馬が終い乱れる流れならばだが、綺麗に流れた競馬では仕方がないもの。

サクラメガワンダーはここでは力が違っていた。
この後は宝塚記念に行くものだろうし、まだ今年2戦を消化したばかり。
上積みの点では大きいだろうし、各馬が暑さに参ってき始める6月後半には、体調の良さが凄く武器になりそうだ。
穴人気をしたスマートギアは、これで阪神戦からは条件にまた下がる。
宝塚記念の日の垂水S(2000芝)で、また条件卒業式をするのだろう。
サクラメガワンダーの力だけが1頭違っていたようなレースでありました・・・。


日曜東京12R
目黒記念(GⅡ)
芝2500m
勝ちタイム2.39.0

勝ち馬:ミヤビランベリ(牡6、栗東・加藤敬厩舎)

もう夏!昨年サマー2000王者、ミヤビランベリ優勝!

ダービーの後のあと、もう暗くやるせない時間の発走となる目黒記念である。
メンバーもよく、ハンデ戦で面白いはずなのに、購買意欲が沸かないのは祭りの後のけだるさのせいである。
厩舎関係者からも『ダービーが一番最後でいいよ。その前に目黒記念をやったら盛り上がるだろうし、我々もいいのに・・』と。
もっともっと工夫がいるこの目黒記念であろう。
ダービーで一年は終わりと思う競馬関係者は多い・・。

何やら最初から荒れそうだと思わせる、ハンデ戦の目黒記念
こんな極悪馬場でのレースを経験した馬は少ないはず。
データも出来の良さもまったく参考にならない感じだった。
ダービーの後の芝レースで、後ろから行くしかない脚質の馬では苦しいだろうとは予測がついた。
でも逃げ馬が絶対に有利かと思いきや、ハンデ戦で軽い馬や行きたい馬がけっこういて、何やら波乱が起きそうなことだけは感じとれた。

ホクトスルタンが行けるのかと思っていたら、やはり外からワンダームシャが出て行った。
最初だけ先手主張の分だけペースは速かったが、後はこの馬場だけにそんなに速い流れにはならなかった。
でも、ただ付いて行くだけでスタミナがなくなるほどの馬場。
前へ行っている馬では、レインボーペガサスの手応えが良かった。
その後ろにいるジャガーメイルも、まずまずの行きっぷりか。
直線まで来ても、どの馬が勝つのかが読めない流れとなった。
ジャガーメイルが伸びかけた時に、4番手ぐらいの内でついて行っていたミヤビランベリがただ1頭だけ違う脚色で伸びて、アッと言う間にジャガーメイルとの差をつけて快勝。
3着にレインボーペガサスが粘りそうといった時に、その外を軽量のハギノジョイフルが伸びて3着に飛び込んだ。
北村友J優勝、石橋脩J2着、三浦皇J3着と、アンダー25のジョッキーの上位独占であった。

ホクトスルタンは、まだまだ調子が戻っていないのだろう。
大逃げで勝利した時の行きっぷりはまだ見られなかった。
もう少し時間がかかるのかも知れない。
ポップロックデルタブルースも年齢的なものとは思えないが、まだらしさが出て来てはいない。
もっとも、この馬場では出来うんぬんを語れるほど目利きと自分を思ってない。
北村友Jはダービーでも鋭い伸び脚で6着。そしてこのレース。
今年は実にいい年廻りになりそうで、今後も注目のジョッキーであろう。
若手がグングンと伸びてきているのを感じたレースでもありました・・。