絶好のポジション取り G1初挑戦のビッグアーサーが勝利!

ビッグアーサー

16年3月27日(日)2回中京6日目11R 第46回高松宮記念(G1)(芝1200m)

ビッグアーサー
(牡5、栗東・藤岡厩舎)
父:サクラバクシンオー
母:シヤボナ
母父:Kingmambo

高松宮記念の結果・払戻金はコチラ⇒

前半3Fの32.7には驚かないが、その後も10秒台で行く前の2頭。無謀な争いを避けたミッキーアイルが3番手。その直後の絶好位につけたビッグアーサー。直線で前の2頭は失速。交わしたミッキーアイルが前に出たが、さらにその外へとビッグアーサーはあとは簡単に前を抜くだけ。いともアッサリとG1初挑戦で勝利を勝ち取った。
ミッキーアイルがしっかりと踏ん張って2着。3着には、大外猛追アクティブミノルを抑えて3番人気のアルビアーノが。波乱含みの流れが予測されたが、終わってみればファンの支持どおりの結末であった。レコード続出が今週の芝Bコースを物語っていた。


ミッキーアイルも悪いスタートではなかった。だが外の2頭、ローレルベローチェハクサンムーンの出脚もなかなかのもの。やはりこう言った先行馬は、自己を主張するのも今後のためにも悪い事ではない。その前の3頭の韋駄天ぶりを、ほくそ笑む感じで絶好の4番手に収まる福永Jとビッグアーサー。11.7~10.1~10.9~10.8と、前半の800mが43.5と信じられない速い流れである。当然にこの流れについて行く後続組も、それだけの脚を使いながらである。少しずつ小出しに消耗していく末脚。そんな消耗戦となっていたのかも知れない。スノードラゴンを注目して見ていたのだが、先行馬の後ろでいいポジションに見えた。だが、それが逆に最後の末脚に影響していた様子。直線で凄い脚を使う馬が、それが出せれない流れに乗ってしまっていた様である。

流れはとてつもなく速い。1000m通過が54.6である。新潟名物の1000芝直線競馬。レコードが55.4とある。それをも上廻るハイペースとなっていた。その前を急いだ2頭が、直線半ばで2頭並んで後ろからの馬にズブズブと差されていた。しかし3番手のミッキーアイルはひと伸び、さらにその真後ろのビッグアーサーはさらに伸びて行く。33.4の末脚を使って、初のG1勝利へと栄光のゴールへいち早くたどりついた。
凄い脚を使って突っ込んできていた様に見えたアクティブミノル。結果はアルビアーノとの写真判定にハナ差負けて4着。上がり脚は33.6と、勝ち馬よりも見劣るものだった様だ。

ビッグアーサーは、単勝オッズも最後にミッキーアイルを抜いての1番人気支持。本当に競馬のファンの嗅覚には恐れ入る。ウイン5も、中山メインが8番人気のショウナンアポロンが逃げ切っての穴馬だろうに、665,040円しかつかない。ウイン5って億の配当がつくものだと思って敬遠している当方には、何とも不思議な低配当である。

火曜朝に坂路監視小屋で音無師。『流れは仕方ないとしても、直線であれだけ外に出してこなくとも…』と。確かに映像を見直してみるまでもなく、馬場の真ん中まで出てきている先行馬。後ろの組が内を突いてきているが、前との差があった分だけ届いてないだけ。
スタンドでレッツゴードンキ梅田師にも話が出来た。『直線で3着馬に進路を狭まれて、何も追えずでゴールへと入った。スタートでの躓きもあった。むしろ短距離はいいと思ってますよ』と。帰ってPV映像を見ると、確かにスノードラゴンの外を狙ったアルビアーノが進路を内に替えて来た時に、直後の内にいたブラヴィッシモとレッツゴードンキの進路がなくなり、ジっとする時間があった。なかったらどこまでかは判らないが、勝ち負けまでは至っていないだろう。それほどに1,2着馬のポジションまでが勝ち負けの位置だった今回の高松宮記念だった。

ビッグアーサーは、前走のG3シルクロードSは1番人気の支持ながら5着敗退。中間のフレグモーネの影響が微妙にあったのかも知れない。そこをちゃんと踏まえての今回。1週前にすごい追い切りを消化して、今週はサラリとの仕上げ。パドックでの雰囲気も、ものすごくよく見えていた。藤岡健師はG1初勝利。そして福永Jも完全に復調である。スプリント界に新たなスターが加わった、そんな今年の高松宮記念であった。

久しぶりに関西馬が勝った様な気がしてならない。この流れを、この春は続けて欲しいと願う。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。