ステッキを落としても楽勝 アメリカズカップが人気に応える!

アメリカズカップ

16年7/16(土)3回中京5日目5R 2歳新馬(芝1600m)

アメリカズカップ
(牡2、栗東・音無厩舎)
父:マンハッタンカフェ
母:ベガスナイト
母父:Coronado’s Quest

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発表は良でも、だいぶ悪そうに見える芝コース。今日もディープインパクト産駒向きのコンディションではなさそうに見える。
坂路での稽古で素軽い動きのアメリカズカップが、図抜けた支持を受けた。2番手から前を追うゴール少し前、右手から左手へと持ち替えたステッキが後ろへと飛んでしまった松若J。それでも、手綱を押して最後までしっかりと伸びていくアメリカズカップ。逃げたサマーサプライズが人気薄で3着にもクレアチェイスと、ちょっと相手が荒れ気味の結果ではあった。


スタートが一番良かったのはバレーロ。しかしその後はジワっとして、好位でのポジションとなる。前に出て行ったのはサマーサプライズ。ダノンオブザイヤーとアメリカズカップが続くが、アメリカズカップが2番手をキープする。ダノンオブザイヤーとデッラサルーテがその後ろへ続くがゆったりとの流れで、前半3ハロンのラップが12.5~12.2~12.3の37.0と、2歳戦と言えどもかなり遅い流れで、終い勝負のパターンとなる。その流れに乗じて、ダッシュがあまりつかなかったクレアチェイスが後ろから前へと、2ハロン目から3ハロン目の間に動いていき、4番手の外目へ取り付く。ここらがMデムーロJの乗り方である。2番人気の支持を受けたルタンデュボヌールもスタートがそう速くなかったが、二の脚で前へと出ていって、ダノンオブザイヤーの後ろのインで構える。

4コーナーが近づいた時には、先頭のサマーサプライズにアメリカズカップが1馬身ない後ろに接近。さらに半馬身差にデッラサルーテが続き、ダノンオブザイヤー、クレアチェイスの2頭が、1馬身差で前を追いかける。芝を使うレースの最初で、見た目ほどには悪くはないのだろう。

各馬が内目を走って直線へと入ってくる。ラスト400mを過ぎた時には、前の3頭が並びかげんだったのが、外のデッラサルーテの勢いがだんだんとなくなり、前の2頭から遅れだす。
外をチラっと見たアメリカズカップの松若J。前の馬は捕まられる手応えであったのだろう。

ラスト200m、外めをクレアチェイスがいい伸びをみせる。最内をルタンデュボヌールも伸びだしてはいるが、凄い伸びではない。前の2頭が急接近し始める。逃げるサマーサプライズにアメリカズカップ。
ラスト50mを過ぎて、いよいよ追いだそうとする松若Jの、右手から移そうとしたステッキ。それが左手に収まらずに飛んでいくのが見えた。

しかしトップスピードに入っていたアメリカズカップは、鞍上の手助けも要らずに自分自身の力でグングンと伸びていく。
サマーサプライズが粘ろうとするところに、外からクレアチェイスが届いたかと思える脚色。結果はクビ差届かずだったが、なかなかの勢いではあった。
そこから少し離れてダノンオブイヤー、バレーロと流れこんだ。人気のルタンデュボヌールは、最後は伸び切れず10着のデビュー戦であった…。

翌日、競馬場で出会った音無師に《昨日、ステッキなしで勝ちましたね~》とひやかすと『あ、ばれてた~?』とにっこりした。
日曜6Rのオールポッシブルでも勝利した松若Jにも、《2歳馬はいくつ勝った?》と訊くと、すぐに『ハイ、5勝です。未勝利戦を1鞍に、新馬戦を4つ勝たせていただきました』と即答であった。
スタートセンスのいい松若J。自厩舎で2勝、よそで3勝の今年の2歳戦での戦歴。今後も目を離せないジョッキーであろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。