【振り返れば馬券になる!】アイルランドの名手も肩を落とした一戦を振り返る!

もうこんな光景を見ることはないだろう。11月3日土曜日、東京9R・南武特別オジュウチョウサン(牡7、美浦・和田郎厩舎)が快勝。帰ってきた勝ち馬が、検量室前で拍手で迎えられたのである。G1では恒例だが、1000万特別を勝った馬を拍手で迎える光景を今後目にすることができるだろうか。貴重な現場に立ち会わせていただいた。とても1000万特別のレース後とは思えない報道陣の数。ざっと、50人近くいただろう。オジュウチョウサンの注目度の高さがうかがえる。

そんな南武特別で苦笑しながら肩を落としていたのが、2番人気ながら6着のジナンボー(牡3、美浦・堀厩舎)に騎乗したC.オドノヒュー騎手だった。「見ての通りだよ。途中からコントロールが利かなくなって、馬と折り合えなかった」と敗因を語る。VTRを見ると、2コーナーから口を割るジナンボーの姿を見ることができる。ただしこれは距離が長いからというわけではないようだ。「ベストは2400mだと思う。前走で2000mを使っていることで、今回は距離延長だった。その影響で苦しがっていたのかもしれない」とアイルランドの名手は分析する。確かに母はオークスも制したアパパネ。距離自体は守備範囲の可能性はある。折り合えなかった今回を見て、次走再度2400mに出走し人気を落とすようなら、妙味のある存在かもしれない。

そんなオドノヒュー騎手は、翌日の東京11R・アルゼンチン共和国杯パフォーマプロミス(牡6、栗東・藤原英厩舎)で制して、日本の重賞初勝利を挙げた。レース後のインタビューで「好きな日本食は?」と聞かれ、笑いながら「ウニ以外全部だよ!」と答える姿が印象に残った。活躍中のモレイラ騎手もそうだが、普段から挨拶を欠かさないナイスガイ。「日本のファンの皆さんの応援が力になります。皆さんのために頑張りたいです」と語る名手の今後の活躍にも期待したい。

そのアルゼンチン共和国杯のレース後、悔しそうな表情を浮かべていたのは5着エンジニア(牡5、美浦・牧厩舎)の北村宏司騎手。「デキが凄く良かったのですが、それだけにこのスローペースで力んでしまいました。もう少し上手になだめられれば良かったです。最後はよく伸びていますが、道中力んだ分、瞬時に反応することができませんでした」とレースを振り返る。元々マイルでも走っていたような馬で、長距離のスローペースで力んでしまうのは仕方ないところ。それでも5着に食い込んでいるあたり、かなり力をつけてきている。次走以降が楽しみになる走りであった。

もう一つ挙げておくなら、土曜3R・2歳未勝利で5着だったリサオブザナイル(牝2、美浦・菊沢厩舎)。先行策に打って出るも、後続に交わされてしまった。管理する菊沢調教師は「力差はないと思います。これから色々と経験していけば良くなると思いますね。今回は3度目の競馬で少し馬が硬くなっていましたし、リフレッシュ放牧を挟んだ仕切り直します」と話せば、鞍上の横山典弘騎手も検量室前に戻ってきて第一声が「馬が硬いな」であった。今回は上がりが速く苦しい展開になったことも大きい。休み明け初戦から狙ってみたい一頭だ。


レース後、ジョッキーたちから発されるコメントは様々である。
「うまくいった」
「調子が良かった」
「馬が強かった」
etc…

もちろんこれらのコメントも非常に重要ではあるのだが、よりオイシイのは、負けたジョッキーのコメントだろう。検量室に引き上げてくるジョッキーの表情はそれぞれ違う。悔しそうな表情を浮かべて戻ってくるジョッキーも多い。道中の不利、自身のミス、理由は様々だが、彼らのコメントこそ、次に繋がる。このコーナーでは現場にいたからこそ知りえる敗因、そしてジョッキーの表情などを取り上げながら、次走以降妙味のある馬を挙げていきたい。